叱られ続けて育った子どもの将来は？ - おぐらおさむ（巨椋修）の不登校・ひきこもり・ニートを考える

　最近、数年前の新聞における人生相談に対する、心療内科医の海原純子さんの回答が話題になっているそうです。

　ちょっと引用してみましょう。

「厳しく育てた息子がうつ病」
　　読売新聞2015年4月14日（火）「人生案内」　回答者：海原純子（心療内科医）
　

厳しく育てた息子がうつ病
70代の男性。
30代の息子がうつ病と診断されました。
私の言葉の暴力が原因だと言われショックです。
息子は気が弱く優しい性格です。
立派な大人にするため、子どもの頃は剣道、水泳を習わせ、家庭教師をつけました。
息子のためと思い、逆らうとたたいたり殴ったり厳しくしつけました。
おかげで一流企業に勤めています。
悪いことをしたとは思っていません。
子は親に従い、妻は夫に従うべきだと思います。
先日、息子が「会社に行くのがつらい。休職したい」と言うので、「うつ病など根性がたるんでいる」と言いました。
息子は「もう追い詰めないで。母さんにも同じ事をしないでほしい」と言います。
本人のための助言を、言葉の暴力だといわれるのが理解できません。
家族への接し方が間違っていたとは思いません。
ぜひ専門の方に助言をいただきたいです。
（東京・Ｄ男）

　それに対する海原医師の回答は・・・

就職先だけを見れば間違ってないでしょう。
しかし、自分の望む生き方を選び人生に満足しているかという点で大いに疑問がある。
一流企業に勤めるだけが立派な大人ではない。
ご自分の価値観を子や妻に押し付けるのは間違いで
相手の人生を否定することになりますよ。
あなたの奴隷ではなく、自分の価値観に従って人生を選ぶ
ひとりの人間です。
ご自分の価値観を認めてもらえず、反論すると叩かれ殴られたらどうなさいますか？
息子さんがうつになるのも理解できます。
どれだけ我慢し続けてきたか想像してください。
休息が不可欠です。
今回の病気は、安心して自分の人生の方向を考える機会になる。
一方あなたは、一流企業に勤めていなくても、人生に充実感を持ち社会参加している人と関わったり、自分と違う価値観の人の意見を聞く機会を作ることを勧めます。

　不登校・ひきこもり・ニート系、生きぞこない系の人には、親からとても厳しく育てられた人が少なからずいます。

　親とすれば「子どものために」と厳しく育てたことと思います。

　この投稿者のお父さんや母親のように「本人のための助言を、言葉の暴力だといわれるのが理解できません。家族への接し方が間違っていたとは思いません。」と、理解できない・理解しない人がほとんどでしょう。

　しかし、厳しく育てるのには、大きなリスクがあるのが、現在の教育学、発達心理学、精神医学等で指摘されています。

　そうやって育てられた子どもはどうなるのか・・・

「嘘で身を固める」「響かない振りをする」「親や社会への恨みを募らせる」「問題から逃げまくる」「反抗がエスカレートする」「考えることを拒否する」というような行為に出やすい。
つまり「防御」か「反撃」しか道がなくなるのである。

（『母親に叱られ続けた子供行き着く先は「防御か反撃」しかない？』より引用）

・他にも精神疾患の原因になる

・不登校・ひきこもり・ニートの原因になる

・重大犯罪の犯人には厳しく育てられた人が多い

・自分で決断ができなくなる

・自己肯定感が低く、自信が持てない

・自分より弱い者をいじめるようになる

　等々、あまりいいことはないようです。

　叱ってはいけないということではありません。適切なしつけは絶対的に必要です。

　同じようにまったく叱らないで育てると、やなり多くの問題を抱えてしまうようです。

　現代社会はとても子育てがしにくい時代で、親がとても苦労し、ストレスを抱えてしまっても仕方がないといえる状況にあると思います。

　親御さんは、なんとか工夫をして自らのストレスを発散し、上手に子どもの向き合っていただきたいものですね。

　ってことで、子育てのオススメ本です。

　ぼくの友人でもある精神科医の明橋大二先生の本『子育てハッピーアドバイス大好き!が伝わるほめ方・叱り方』とそのシリーズである『子育てハッピーアドバイスシリーズ』はオススメです。

ＦＨＮ放送局
巨椋修（おぐらおさむ）拝

●オススメ本

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わたし（巨椋修（おぐらおさむ））が監督した映画『不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? 』ＤＶＤになりました。
精神科医や不登校に携わる皆さんにインタビューをしており、問題解決のヒントになれば幸いです。
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