自立支援という名の犯罪


 不登校やひきこもりが社会問題になったころから、あるいはその以前から“支援”を称する犯罪まがいの団体が常にいました。

 自殺者や事故者を多数出しながら、いまでも一定の支持を集めている戸塚ヨットスクールや、不登校やひきこもりの部屋に強引に乗り込み、無理やり引っ張りだすような“支援団体”が後を絶ちません。

 きょうの産経新聞に次のような記事がありました。長い記事なので要約します。


・小説家を目指し千葉県内のマンションで一人暮らしをしていた20代女性がいた。

・平成27年9月末の昼下がり、内鍵を壊して8人の男らが突然、部屋に乗り込んできて、身元も名乗らず、女性は両脇を抱えられて連れて行かれ、行き先を伝えられないまま、千葉県内の賃貸アパートに住まわされた。

・女性の母親は、女性が母親を責め、手をあげたので自立支援施設の電話相談に電話をした。

・自立支援施設の事務所では「娘さんの未来を買いましょう」「お金を残しても何もならない」などと7時間説得され、朦朧(もうろう)としたまま約570万円の社会復帰名目の契約を結んだ。

・アパートでの生活は、布団やテレビ、テーブルしかなく、食事は職員と外食したり、買い物で調達したりで、1日1食か2食だった。

・外出は図書館、スーパー、散歩しか認められなかった。携帯電話、財布、身分証を取り上げられ、「あなたが逃げたら友人が逮捕される」と脅された。

・自立を目的としたカリキュラムはなく、女性職員がいたものの、相談にのったり、指導したりすることはなかった。

・一度だけ逃げたことがあるが、連れ戻され、正座で7時間説教され、「箸で刺すなどの暴力を振るわれた」。

・最終的に監視役の職員の目を盗み、友人の力で逃げ出すことができた。

・女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、薬を飲む日々となった。

・今年4月、東京地裁に損害賠償訴訟を提起した。

(産経新聞【ニュースの深層】 『被害者は語る「生きた心地しなかった」「ひきこもり解決」自立支援施設が拉致・軟禁 “法の抜け穴”実態把握なし』より引用)


 この記事の中で精神科医斎藤環氏は


「こうした支援は、精神医学的な問題がある。かえって傷口をこじ開けるような活動がされている。(自立支援に向けた)解決方法はいくらでもある」


 とありますが、その通りでしょう。

 ではなぜ、多くの人がこのような犯罪まがいの支援施設に頼んでしまうのかというと、親御さん自身も追い詰められており、物事をちゃんと考えることができなくなってしまったか、あるいは短絡的に


不登校やひきこもりは、部屋から強引にでも引っ張り出せば問題解決」


 と、思ってしまったからだと思います。


 人が家に閉じこもってしまったり、学校に行けなくなってしまうのは、まず「家や学校がその人にとって安全な場所ではない」とその人自身が意識的、あるいは無意識的に感じ取り、自分守るためでありましょう。

 不登校やひきこもりは、決して、強引に家から連れ出したり、学校に連れていったりすることで解決するものではありません。

 不登校やひきこもりの人は、心に深い傷を負っているから、家から出られなかったり、学校に行けなかったりするのです。

 まずはその人が安心していることができる場所を確保し、心の傷を癒すことであると思います。







FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝


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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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