自殺は激減しているのにうつ病が増えている理由 - おぐらおさむ（巨椋修）の不登校・ひきこもり・ニートを考える

●自殺と完全失業率は関係がある

　上の図は評論家の宮崎哲弥さんが提供されたこのグラフであるそうです。

　このグラフを見てもわかるように、自殺と完全失業率はかなり深い関係があるのがわかります。

　下のグラフを見てください。

　このグラフを見てもわかるように、自殺をする人の半数以上が無職者なのです。

（ちなみに日本において、無職者とは働いていない人で、その中でハローワーク等で仕事を探している人を失業者といいます。こんな統計の仕方をしているのは日本だけで、一説によるとお役所が完全失業率を上げたくないために、仕事を探している人を失業者にカウントしないという説があります）

●自殺の一番のいわれているうつ病は減っているのか？

（厚生労働省『自殺の統計：各年の状況』より引用）

　自殺の原因とされるのは、健康問題といわれています。ついで経済問題、そして家庭問題。

　健康問題の中でも自殺ともっとも関係が深いとされているのが、うつ病です。

　厚生労働省の『政策レポートには次のように書かれています。

「自殺既遂者に対する調査からは、うつ病等の気分障害が自殺の要因として特に重要であることが明らかになっており、厚生労働省における自殺対策においても、その中核となっているのはうつ病対策です。」

　近年自殺は減少しているのですから、その原因として特に重要とされているうつ病は減っているはず・・・　と思いきや・・・

（厚生労働省『自殺の統計：各年の状況』より引用）

　かくのごとく、うつ病の患者数は年々増加！　これは一体どういうことなのか？　厚生労働省の意見として

「厚生労働省が３年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成８年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成２０年には104.1万人と12年間で2.4倍に増加しました。「患者調査」は、医療機関に受診している患者数の統計データですが、うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。」

　自殺が減っているのに、うつ病の人が増えているのは、どうやら病院にいって治療する人が増えたということであろうということです。

　厚生労働省の文に「うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており」と書かれているように、うつ病の人の受診率は低いのです。自分が「うつ病かも？」と思っても、患者は精神病に対する自らの偏見のため、病院に行くのをためらう傾向があるようなのです。

　しかし、最近では、少しずつうつ病や精神病への偏見がなくなってきて「受診する人が増えて来た」＝「患者数が増えた」ということのようです。うつを放置せずに治療することで、結果、患者数（受診者）は増えたように見えるのだけど、実はうつ病等が治って自殺者が減ったということなのでありましょう。

●自殺予防には、仕事をすることと受診。そして環境改善

　まとめましょう。

・失業率と自殺はリンクしている

・自殺者が減っているのにうつ病患者が増えているのは、うつ病への偏見が少なくなって医療にかかる人が増えてきたから。つまりうつ病や気分障害をちゃんと治療して、自殺しない人が増えてきたから

　つまり自殺者を減らすためには、正規雇用じゃなくても、バイトでも契約社員でも派遣でもいいから、収入を得るようにする。
（ただし、ブラック企業や、あまりに嫌な人がいる職場はオススメしません。そういう場合は、とっとと別の仕事を探すべし）

　もし、何をやっても楽しくないとか、うつうつとした気分が続くようなら、遠慮なく精神科か心療内科にいって受診すること。

　ただし、心の病は基本的にお薬による治療が中心となります。当たり前の話しですが、例えば暴飲暴食をしてお腹を壊したしましょう。そこで病院にいって胃腸薬をもらって飲みますよね。でも、暴飲暴食をやめなかったら、なかなかお腹の調子は治りません。

　さて、それは医者がヘボなのでしょうか？　違いますよね、お腹の調子が悪いのは暴飲暴食です。お薬はあくまで補助なんです。それと同じで心の調子が悪いとき、その環境を改善しないといくらお薬を飲んでもなかなか効きません。

　ですから、まず悪い環境を変えるようにするべきなのでしょうね。

ＦＨＮ放送局
巨椋修（おぐらおさむ）拝

●オススメ本

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

作者: 永田カビ
出版社/メーカー: イースト・プレス
発売日: 2016/06/17
メディア: コミック
この商品を含むブログ (26件) を見る

わたし（巨椋修（おぐらおさむ））が監督した映画『不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? 』ＤＶＤになりました。
精神科医や不登校に携わる皆さんにインタビューをしており、問題解決のヒントになれば幸いです。
『ＴＳＵＴＡＹＡ』のドキュメンタリーコーナーにも置かれておりますのでご覧になってください。
不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? [DVD]
出版社/メーカー: グラッソ(GRASSOC)
発売日: 2017/02/24
メディア: DVD
この商品を含むブログ (90件) を見る