性風俗と最貧困女子

●支援者も避ける性風俗従事者への支援

 昨日、経済学者で最近ではよくテレビでコメンテーターをやっている飯田康之氏主催の忘年会に出席してきました。


 人工知能を研究している大学の先生や、脳科学者、芸能記者、ライター、編集者、女優、弁護士、カジノ研究を去れている方(この方はついさっきテレビをつけるとあるワイドショーに出演されていてビックリ(笑))などなど実に多彩な方々との出会いがありました。




 その中でも今回取り上げたいのは、一般社団法人GrowAsPeople代表理事である角間惇一郎さん


 ウィキペディアによると角間さんは『土日だけ自身で運営していたまちづくりNPOのイベントにて偶然風俗店経営者と出会い、国内の性風俗の現状や課題が社会側に正しく認識されていない現実を知る。ほとんど同時期に発覚した大阪2児餓死事件に対する偏見や報道のあり方に疑問を抱き、2012年に一般社団法人GrowAsPeopleを設立』


 とあります。つまり、性風俗産業で働く人達の支援ですね。角間さん曰く


「相談者に対して、性風俗を辞めるように説得するのではなく、風俗業ができなくなった後に向けた準備を促す活動を軸としている」


 そうです。


 よく事情を知らない男性や考えが足りない男性が「女はいいよな〜、最後は体売ればいいんだから」などとしたり顔でいう人がいますが、事態はそう甘くはないようです。


 現在、性風俗産業は“斜陽産業”の一つで、不景気と男性の草食化、社会的偏見等で風俗営業、警察の締め付けなどなどで、性風俗店は減る一方であり、また『週刊SPA!』によると風俗業界に「面接する女性の75%は落ちる」というのです。


 性風俗は貧困女性の最後のセーフティネットと言われたりしますが、そうそうできない仕事になっているようです。かつては月に100万円以上性風俗で稼ぐ人もめずらしくなかったそうですが、いまではそれな一部の女性だけで、風俗嬢の平均収入は約30〜40万円程度だそうな。


「40万円なんていいじゃないか」という人もいるかも知れませんが、一般社団法人GrowAsPeople代表理事である角間惇一郎さんによると


性風俗の仕事を続けているうちに、1日2〜3万円稼げていたのが、1日1万円になって、5千円になって……場合によっては、時給換算するとマクドナルドのバイトより稼ぎが悪くなったりすることもあります。」(風俗嬢が直面する「40歳の壁」――相談相手のいない女の子たちのリアルを支援団体代表が語る


 稼げるのは若い時だけで、30歳を超えたり子どもができたりすると、収入が減るそうです。そして40歳くらいで体力の限界がきてしまい続けることが困難になってしまうそうです。


 また性風俗で働く女性は心の病を抱えている方も、かなり多いそうです。



●最貧困女子の三つの障害と三つの無縁

 さらに鈴木大介が書いた『最貧困女子』(幻冬舎新書)によると、


精神障害

発達障害

・知的障害 


 の人が再貧困女子になる率が高く、また虐待を受けて育った人も少なくないらしい。


 そのため、家出などで家族から離れ、都会をさまよっているうちに、性風俗のスカウトに誘われて・・・ という例もあるらしいのです。


 そういった女性は『三つの無縁』(家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁)と、人、地域、生活保護社会保障、社会サービスから縁が切れてしまうそうです。



 下の方の画像は、『最貧困女子』の帯の部分ですが、こういった女性たちのことを「それは本人が選んだ道。すべて自己責任」という人がいるかも知れませんが、それはあきらかに間違っています。


 これはひきこもりやニートと同じく個人責任ではなく、社会責任です。


 しかし、こういった女性たちが性風俗という社会悪と考えられている産業に働いており、それがために支援者もあまり関わりたがらないというのは、いかがなものでしょう?


そもそも憲法では、

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。


2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
(引用:http://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM


 とありますよね。


 憲法とは、国民の権利・自由を守るために、国がやってはいけないこと、またはやるべきことについて国民が定めた最高法規だったはず。


 ぜひ、国家はこの憲法を守ってほしいものです。


 また、性風俗はとかく【社会悪】とみなされがちですが、そのようなレッテルを張って切り捨てるのではなく、この業種の人たちを否定排除するのではなく、偏見を捨て普通に接することではないでしょうか?


 否定排除しても、裏に回っていくだけで解決にならないでしょうから。


(※最後に性風俗産業に行ったらから貧困になるのではなく、いろいろな事情で最後に性風俗にしか行けなくなってしまった女性の話しで、別に障害を抱えている人や貧困を抱えた女性は性風俗に行くとかということではありませんので念のため)



FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)