2000年前と後で日本社会は大きく変わってしまった!
●2000年前後で日本人は変わってしまった!
私が不登校やひきこもりまったについて取材をはじめた2000年代初頭の頃からですが、個人的に日本社会、日本人の世界観はこの2000年前後で大きく変わったと思っています。ちょっとデータを見てみましょう。不登校は平成13年(2001)まで急激に増え、その後はゆるやかに上下しつつ横這い状態のようです。ニートは平成14(2002)年に大きく増加した後横這いしながらも、少しずつ増えているようです。
(平成27年度学校基本調査(確定値)の公表について - 文部科学省より)
ひきこもりは、全国におよそ70万人と言われていますが、ひきこもりだけに正確な数字はわかりません。不登校新聞の『ひきこもり報道史』に朝日新聞にどれだけ「ひきこもり」の報道件数を調べたものによると、1999年から劇的に増えていることがわかります。
(不登校新聞『ひきこもり報道史』より)
自殺やうつ病も1997年あたりから急激に増えておりますし、どうやら世紀末から新世紀にかけて、日本は大変ショックなことでもおきたのでしょうか?
景気を反映すると言われる就職求人倍率は・・・
これも98年から落ちている。いったい世紀末や新世紀初期になにがあったのか・・・ 実は97年に消費税が3%から5%に引き上げられているんです。
その一年後、自殺は増え、大人の影響は子どもや若者など弱い人に降りかかってきて、やがて不登校やニートも増えた。
いやその前の89年、まさに世はバブルの好景気真っ盛りの時代に3%の消費税を導入! もともと無理があったバブル景気は一気にはじけた! これまで成功するかと思えたアベノミクスは、2014年の消費税5%から8%に導入したところ、いきなり失速! 日本経済はいまだに平成不況から脱していない。恐るべし消費税!
もちろん、消費税だけが日本経済を悪くしているわけではありませんが、2000年初頭と現在の不登校・ひきこもり・ニート事情で最大の違いは明らかに【貧困】です。2000年初頭はいま同様、不景気でしたが、【貧困】とか【子どもの貧困】などという言葉を聞くことは、まずありませんでした。しかし35年も続く不況。その間、日本経済は何度か立ち直ろうとしましたが、消費税の値上げやリーマンショック等でうまくいきませんでした。
しかしです、不登校・ひきこもり・ニートの人たちは親が裕福な人も少なくない。そういった家庭の人たちも、不登校・ひきこもり・ニートになっているではないかとおっしゃるかも知れません。
●不寛容な時代と日本社会を覆うストレス
しかし日本全体が景気が悪いと、社会全体がギスギスして不寛容になっています。まさに不寛容時代! いまの日本は裕福な家庭でもその家庭の空気は決して豊かではない! むしろギスギスしているのが現状です。貧しい人も当然ギスギスして、裕福な人も貧しい人も大きなストレスを抱えているのが我が国の現実!
不登校・ヒキコモリ・ニートが世紀末から新世紀初頭に急激に増えて、横這い状態なのは、このギスギス状態、ストレス過多の状態がまったく改善されていないことを現していると思うのです。
不登校・ひきこもり・ニートの原因は、本人のストレス、家庭や学校、職場、人間関係で抱えてしまったストレスです。
不登校・ひきこもり・ニートではなくても、不景気によるブラック企業が横行する日本社会では、誰もが過大なストレスを抱えています。
人間、過大なストレスを浴び続ければどうなるか?
まず不安で情緒不安定になり、それが続くと無気力になるのです。
まさに不登校の原因として、トップにあるのが無気力で不安で情緒的混乱!
ひきこもりの原因トップは、職場不適応、病気(この病気のうちうつ病といった精神疾患が4割!)、不登校!
自殺の原因トップは、健康問題(当然、うつ病といった精神疾患が多く含まれます)、経済問題!
これらのことから何か見えてきませんか?
不登校・ひきこもり・ニートの原因は、子どもの頃から少しずつボディブローのように受け続けた身心ダメージの発露!
そのボディブロー、すなわちギスギスした人間関係や職場環境、生活環境を作っているのは社会や世間!
変な話しですが、2000年あたりから、特に不登校や自殺が増えていないのは、不幸中の幸いかも知れません。ただしひきこもりは増え続けていると推測できます。なぜなら国はひきこもりを35〜40歳以上の年齢を調べていない!
ひきこもりに関しては35歳以上が半数近くいるのではないかと言われているにも関わらず!
つまり不登校・ひきこもり・ニート問題の責任者は世間や社会! ひいては政治です!
しかし彼らのほとんどはその責任を自覚していない!
では最後に、不登校・ひきこもり・ニートに対処する方法を教えましょう。
抱えているストレス、ギスギスした人間関係を捨てることです。
変な話しですが、不登校の子どもは親から【期待され過ぎた】結果であることが少なくありません。親が子どもに期待するのは当たり前と言われるかもしれませんが、実のところ子どもへの期待は親の欲であることが少なくありません。
子どもは子ども、親は親です。
また不登校・ひきこもり・ニートのご本人であれば、プライド、意地、見栄といったものを捨てて、気楽になることです。親にしても子どもにしても、プライド、意地、見栄というものを捨てること、これはとても難しいことなんですけど、捨てることが悩みを捨てることでもあります。
人生なんて適当でいいじゃありませんか。
FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)