【文科省】不登校を問題行動と判断してはならない

文部科学省不登校を問題行動と判断してはならないと全国に通知

 文部科学省初等中等教育局長が、全国の都道府県・指定都市の教育委員会教育長、都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長等などに

不登校を問題行動と判断してはならない」

という通知を2016年9月14日に通知しました。


 さらに


不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し,学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが,児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要 であり,周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり,結果として児童生徒の社会的自立につながることが期待される。」


 とあります。


 これらの言葉は、以前から不登校支援者や関係者が言い続けていたことで、文科省もようやく同じ意見に至ったということです。



●なぜ不登校は問題行動ではないか?

 とはいえ、まだまだ「不登校は問題」「不登校はいけないこと」といった意見が大半を占めていると思います。


 しかし、文部科学省初等中等教育局長が言うように、不登校は問題ではありません。学校に行く・行かないは各子ども自信もしくは保護者が決めることであり、特に子どもの意志を尊重するべきだからです。


 過去、不登校になった子どもが保護者や、あるいは学校サイドから、強引ともいえる登校圧力を受けたり、嫌がる子どもの腕を引っ張って無理やり学校に連れて行くということが数多くありました。


 その結果、子ども自身がより深く傷つくということになったという暗い歴史があります。


 もしあえて問題点を挙げるとするなら、学業成績の低下や進学就職への心配でしょう。


 しかしこれは文部科学省の『不登校の定義』にある


 
『何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの』


 とあります。この定義を見てもわかるように、不登校には様々な要因があって、学校に行かない・もしくは行けないわけです。


 それら要因を無視して、「学校の成績が下がるから」「進学や就職が心配だから」と、無理やり学校に行くように強要した場合、それが原因で大きなストレスとなり、自傷行為や不安障害、最悪は自殺の原因となってしまうこかも知れません。


 それはまだ来てもいない未来のことを心配するあまり、いま現在を生きている子どもの意志を無視し、いま生きている子どもの自己肯定感を低め、いま生きている子どもの心を大きく傷つけることになり、その子の将来を大きくゆがませることになりかねません。

 
 教育とは「教え育むこと」であり、子どもを傷つけることではないことは言うまでもありません。


 問題行動としては、「学校に行かない・行けない子ども」よりも、「無理やり学校に行かそうと強要する大人」の方がはるかに問題が大きいということがお分かりいただけたでしょうか?


 
●本当の子どもの問題とは?

 不登校になるきっかけは実に様々。一般に思われている「いじめ」は意外に少なく、本人の「不安など情緒的混乱」「無気力」が多いのですが、これは「本人が悪い」というものではなく、大人が考えねばならないのは、「なぜ不安など情緒的混乱、無気力になっているのか? どうすれば(不登校ではなく)、不安や情緒的混乱、無気力が解消できるのか?」ということが問題になります。


 不登校から再登校へというのは2の次となります。


 なぜなら不登校を問題行動と判断せず、それ以外の子どもの問題を解決することが大切なのです。



(出典 「 内閣府 平成25年版 子ども・若者白書(全体版) 第1節 教育」



FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)