日本の学校制度が不登校を生んだ

●日本と海外の違い

 日本の学校制度は、海外に比べれるとかなり変わっているということを、日本に生まれ育ち海外の学校を知らない多くの日本人は知りません。


 もっとも海外といっても、韓国、台湾といった国は、日本の影響のせいか、あるいは儒教文化の影響か似ているところが多々あるそうです。


 これら東アジアの学校の似ている点は、先輩後輩の身分制度の厳しさ、詰め込み教育、授業では教師が一方的に喋る講義型、教師による体罰の多さ、学校内の部活動多さ、そして不登校児童生徒の多さが特徴だといいます。


 一方、欧米の学校は、先輩後輩の身分制度はないか、あるいはあってもゆるい。欧米の授業は教師と生徒との対話、議論が中心。体罰はヨーロッパでは全面禁止。親が子どもを叩くのを禁止している国もある。アメリカでは州によって体罰容認と禁止がある。部活動はあるが日本のように熱心ではない。スポーツは町のクラブチームが中心。学校に行かない子どもはいるが、不登校という言葉はないし問題にもなっていない。


 体罰は、元々日本にはほとんどありませんでした。皮肉なことに明治政府が学校制度を欧米から輸入してきたときに、欧米から一緒に入ってきた教育法なのです。欧米はキリスト教文化で、聖書にこんなことが書かれています。


「まだ望みのあるうちに、あなたの子を打ち懲らせ」(箴言19章18節)、キリスト教徒は聖書のいいつけを守らないといけませんので、欧米の人たちは子どもを鞭打って育ててきましたが、19世紀あたりから体罰は教育に良くないんじゃないかという考えが広まり、現在にいたっています。


 日本の学校教育でも戦前までは体罰禁止。教師が子どもを殴ったら暴力事件として教師が逮捕される事件がかなりあったり、親が学校に怒鳴り込んでくることもめずらしくなかったといいます。生徒も小学生でもそんな先生は、首にしろを学校に迫るくらいでした。


 旧日本帝国の軍隊では、太平洋戦争のときに当たり前のように古参兵や先輩からの体罰があったようですが、これも日中戦争以前では上官や先輩兵が後輩兵へ体罰をしようものなら軍法会議で罰金であったそうです。
(参考:『戦前は学校でも軍隊でも体罰が絶対禁止だった : 少年犯罪データベースドア』)



 

●欧米では不登校が問題にならない理由

 では欧米なぜ学校に行かない子ども、行けない子どもたくさんいるけれど、それが問題となっていないのでしょうか?


 それは多くの国でホームスクーリング制度(家庭教育を義務教育として認める制度)があり、学校に行かなくても家庭での教育が認められているので、不登校が問題にならないのです。ドイツでは児童生徒、保護者に学校教育を拒否する権利は認められていないため、親が学校に行かせないと逮捕されることもありますが、やはりホームスクールは認められています。また心理的な問題で不登校になった場合、医師診せ診断がくだれば問題なし。デンマークは就学義務がないので不登校問題は起りようがありません。


 アメリカでは、ホームスクールの子どもは全体の1割。100人中10人ですからまあ普通のことなんですね。理由は日本の不登校児童生徒の同じ場合だったり、あるいは親が不良の多い学校に通わせたくないとか、校風が合わないと判断した場合とか、宗教上の理由だったり、学校の周りの治安が悪いから危険を避けるためなどなど。


 ただしホームスクールの申請をしていないと虐待とみなされ、親が逮捕されたり子どもが施設に送られるなんてこともあるとか。


「ホームスクールはいいとしても学力とかはどうなんでしょう?」と思う方もいるかも知れません。アメリカやイギリスにはコミュニティカレッジ(2年制の大学)という義務教育段階をもう一度教えてくれる公的な学校があり、無料か格安で教育を受けられる制度があり、職業訓練や就職支援をしてくれたり、あるいは4年生の大学に編集する人も多いそうです。


 またヨーロッパの多くの国では「就学義務」ではなく「教育義務」の考え方にのっとっているので、学校に行かなくても問題とされず学習塾のようなものはあまりないようですが、生涯学習の考え方が発達しているので、後で取り返せると考える人も多く、これも問題とならないようです。



 結局、日本は同調圧力が強く、みんな一緒にじゃないといけないという考え方に縛られており、硬直した学校制度や教育システムで、不登校児童生徒を量産するようにできているということですね。


 教育システムをすぐに変えることは難しいでしょうが、でも個人の考え方を変えることは、比較的かんたん。


 不登校で苦しむことなどないと思いますよ。そもそも少なくとも欧米では学校に行かないことなど問題になってないんだから。


 

FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)