セーフティネット利用法とメンタルとの付き合い方

本当に苦しいのに理解されにくい心の障害

 心の障害、メンタルの病気というのは、100人に8〜9人いると言われています。だいたい10人人が集まれば1人くらいはいる『よくある病気』といっていいでしょう。

 しかし心の病気は目に見えない病気であり、おまけに誤解や偏見がすごく強い病気なので、あまり理解されていない病気ともいえます。

 いまでも「心の病気なんてただの怠け」「頭がおかしい人」と、差別意識が強い人も少なくありません。


 しかし、メンタルの病気はすごくつらく、どれくらいつらいかというと、うつ病双極性障害躁うつ病)の生涯自殺率は15〜25%。統合失調症は10%の生涯自殺率。

 つまり自ら死を選びたくなるほどつらい病気なのです。



 それほどつらい病気にもかかわらず誤解や偏見が強いため、病気を抱えている人はそれを人にいうのが困難です。

 もし自分がメンタルの病気であるとみんなに知れたら、仲間外れになれるのではないか・・・ 仕事から外されるのではないか・・・ バカにされるのではないか・・・ いわれない差別を受けるのではないか・・・


 この思いは本人だけでなく、家族にもあります。


 もし我が子(あるいは自分の親・兄弟)の病気のことが世間に知れたら、他の兄弟の結婚に差しさわりがあるのではないか・・・ 家の恥となるのではないか・・・ などなど家族ぐるみで病気を隠そうとしたり、あるいは初期の病気が出たときにそれを認めようとせず、重篤な状態になるまで病院に連れて行かずに、大変なことになったり、あるいは最悪の事態を招いたり・・・(この場合の最悪の事態とは自殺です)

 そどということが、たびたび起っているのが現実です。


 そのため、メンタルんの病気の人ほど、人に気を使って生きることになり、余計にストレスをため込むことになりがちです。

 弱い立場の人ほど「甘えなさい」といいたいが現実では、誤解、偏見、差別のため、逆に弱者ほど甘えが許されない社会となってしまっているようです。



実はハードルが高いセーフティネット

 そういった人たちのために、障害者年金や生活保護といった社会保障があるのですが、これらを取得するのがなかなか難しかったりします。

 例えば障害基礎年金ですが、そもそもこの年金は自ら請求しないと受け取ることができません。

 例え障害年金を受給できる要件を満たしていたとしても、自動的にお知らせの通知が届くわけではありません。

 そして、何らかのきっかけで障害年金の存在を知っても手続きが複雑すぎて難しく途中で諦めてしまうケースが多いそうです。


 手続きは年金事務所の窓口を通して行うのですが一度に書類をすべて渡されるということはほとんどなく、慎重にひとつひとつ進めていくスタイルを取っていることが多いため、ケースによっては何度も足を運ぶことになります。


 それには初診日を証明するための書類や医師に診断書を書いてもらうにはお金がかかるということから、誤って余分に負担のかかることのないようにと考えられての事のようですが、何度も通うというのはただでさえ病気を抱えて大変な時に精神的にも肉体的にもさらに疲れてしまうというデメリットのほうが大きいようです。


 
●もし一度障害者基礎年金取得に失敗したら・・・
 
『不支給決定』の通知が届いた場合でも、納得いかない場合は不服申し立てをすることが出来ます。

 通知を受け取った翌日から起算して60日以内に行わなければならず、二審制となっており、一審目が審査請求、二審目が再審査請求といいます。

 しかし、一度決まった決定を覆すには以前に提出した内容よりも相当の強い証拠や確信となるものを揃えなければならず、かなり難しい作業となります。


 申請は一発勝負!! くらいの心構えでのぞむ事ですね。


 また、社会保険審査会「年度別制度別受付状況」を見てみると、他の給付種類に比べると圧倒的に障害者年金の不服申し立てが高く(療養費や傷病手当等が二桁代にとどまるも障害関係は600〜700人代)、障害者年金はこの数字だけを見ても、複雑で難しく、納得のいく結果を得られていない人が多いという事が分かります。



●難しいので申請にはプロに頼もう!

 代行をお願いしたい時・・・・ というか代行をお願いしないと難しいと思われる障害年金の請求手続きは『社会保険労務士』だけが行うことを国が認めている業務です。

 社会保険労務士を探すときは障害年金を得意とする事務所にお願いしましょう。

 これは生活保護なども同じで、いまでも生活保護の窓際作戦というのがあるらしく、それとなく、ときにはあからさまに、あるいは役所によくあるたらい回しで、生活保護を受けさせないようにするそうです。


 働けないほど弱っているときに、1人でこういうことをされてしまうと、誰だって挫けてしまうものですから、できれば弁護士さんや支援団体の方に同行してもらって、助けてもらうのが得策でしょう。


 生活保護もまた、誤解や偏見、差別にさらされており「生活保護は怠け」とか「年金より生活保護のほうが多く貰っているのはおかしい」といった意見をメディアやネットで見かけたりします。

 
 ちなみに生活保護を受けているのは、半数近くが働けない高齢者であり、傷病者・障害者なのです。



参照:日本弁護士連合会 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf



●セーフティネット利用法とメンタルとの付き合い方まとめ

 ではちょっとまとめてみましょう。


・1人で悩まないこと

・申請にはプロに頼もう

・『社会保険労務士』『弁護士』『支援団体』が強い味方に
※ネットで障害者年金に強い事をアピールしている社会保険労務士や支援団体のサイトを見ているだけでもかなり勉強になります。何件か吟味し、できれば自分の居住している地区で実績をあげている事務所があればベスト。

・地域によって障害基礎年金の申請は違いがあります 
厚生労働省が平成22年度から24年度までの3年分の不支給割合を都道府県ごとに算出したものを比較すると、最も多い大分県では24.4%、最も低い栃木県は4.0%であり、地域差が認められる(※精神障害者のみのデータはない)。自分の住む地域が支給に対して審査が厳しいのか等、事前にあらかじめ知っておくのも大切。


・病気とは無理をしないで付き合いましょう




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