相手をおとしめて自分は正しいという人の心理とは - おぐらおさむ（巨椋修）の不登校・ひきこもり・ニートを考える

●その正義は本当に正しいのか？

　先日、精神科医の片田珠美さんの著書『正義という名の凶器』という本を読みましてね。本当に“一方的な正義”を主張する人って迷惑で面倒くさいなと思った次第なんですよ。

　あ、以前にも「正義論　あなたの正義に気をつけろ」ということを語ったことがあります。ラジオ代わりにでも流しながら、このブログを読んでいただければと思います。
（へんな恰好をしているのはハローウィンの日に収録したからです(笑)）

　いまや「正義を主張し誰かを悪と決めつけ徹底的に叩く」ということが多発する時代となりました。

　例えばヘイトスピーチとかはその代表的な例ですね。在日コリアンや中国人とかを悪と決めつけ、ヒステリックに徹底的に叩く。これをやっている人は自分たちは正しい。正義であると思ってやっている。

　生活保護受給者を「非国民」といって徹底的に叩く。これも自分たちは正しいと思って発言しているに違いありません。

　世界で起きているテロも、あるいは戦争も「自分たちは正しい。正義である」と思ってやっているのだと思います。

　でもその正義って本当に正しいことなんでしょうか？

●相手をおとしめて自分は正しいという人の心理

　相手をおとしめて自分は正しいという人の心理はどのようなものかというと、心理学でいうところの「投影」ということになります。

「投影」とは、相手に自分の影を投げかけることをいいます。ヘイトスピーチは「極端な民族主義・排外主義的主張運動を行う人たち」のことですが、彼らがいう言葉はかつて彼らが排除されたり、排除されるかもしれないという不安感から、発せられる言葉であり、それに「愛国心」とか「日本人のため」という【正義】が彼らを支えているということになります。

「投影」は鏡に映ったもう一人の自分に対して行うもので、その心理は「悪いのは自分ではない。悪いのはアイツだ」と主張しているのですが、それは「悪」をどこかに仕立て上げることで自分の「悪」を打ち消そうとする心理だそうです。

　例えば最近では「不倫」で報道されたタレントを徹底的に叩く。「不倫は絶対に許されない」と声高に叫んでいる人自身が不倫をしていたり、あるいは不倫願望があるのを、他人を叩くことで「自分にはそんな欲望はない」を必死に叫んでいる姿であったりもします。

　そして相手をおとしめて自分は正しいと主張する心理の裏側には「嫉妬」や「アイツらだけうまいことやりやがって」というねたみがあることも知られています。

●嫉妬、被害者意識、うらやましさに正義の口実が与えられると・・・

　前述した『正義という名の凶器』という本によると、中世ヨーロッパで行われた魔女狩りも、中世キリスト教は「性欲は悪」という思想があり、抑えつけられた性欲が「魔女は悪魔と性交し、男を誘惑する悪いヤツラであり、そんなヤツラは焼き殺してもいいんだ。いや、焼き殺さなければならない」というように考え、「それは神様や教会がお望みのことなのだ」と正義の理由をつけることで実行されました。

　またヒトラーは自分の出自に差別されていた「ユダヤ人の血が入っているかも知れない」と怖れ、それが逆にユダヤ人を迫害・虐殺することで「私はユダヤ人ではない。その証拠に私はユダヤ人を滅ぼす。そしてこれは正義だ」という心理があったといいます。

『正義という名の凶器』という本に次のような文章がありましたので引用します。

いい年をした大人でも、自分自身の無能さに直面して「自分はダメだ。何もできない」と自分の無力さにさいなまれるのに耐えられず、家族のせい、職場のせい、社会のせいなどにして、怒りの矛先を向けることがある。自分がうまくいかないのは、誰かが不正に恩恵を享受しているからだと他人のせいにすれば、自分の無能さに目を向けずにすむし、怒りを正当化することもできるので、一石二鳥なのである。

　こういう心理は誰にでもあることでしょう。しかしあまりよい心理でもよい方法でもないのではないでしょうか？

　そういう心理に憑りつかれないためには、しっかりとした自己肯定感を持つこと。

　そしてその主張が本当に正しいのか？　一方的になっていないか？　などをよく考えることだと私は思います。

ＦＨＮ放送局
巨椋修（おぐらおさむ）

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