不登校児童生徒のその後（データ集） - おぐらおさむ（巨椋修）の不登校・ひきこもり・ニートを考える

先日、映画『不登校の真実』上映会＆トークショーをやったとき、不登校児童生徒に関するデータをスクリーンに映しながら、お話しをしました。

主にこのブログで、以前に紹介したもので、不登校問題に対するとき“不登校の現実”をなるべく知っておいたほうが、より有効に動けると思い、ここに発表したく思います。

まずは、中学不登校の児童生徒が、5年後にどんな生活をしているかからどうぞ。

平成5年度に中学不登校であった生徒のその後を、平成11年に文部科学省が追跡調査した結果。

・不登校経験者の高校等への進学率が65%。
（全体での進学率は約９６％）

・中学卒業時点で不登校経験者の進路は、就業率が28%。

・就学も就業もしない者が13%。

・不登校経験者の中学校卒業直後の高校進学者については、そのうち38%が中退を経験。(日本平均の高校中退率は、1.9%)

・不登校児童で、高校中退せずに学業を継続しつつ、大学・短大へ進学した者は全体の13%。
（※参照・引用　「不登校に関する実態調査」（平成五年度不登校生徒追跡調査報告書）について　）

※ここで注目したいのが、せっかく高校に進学したにもかかわらず、38％もの人が高校中退をしてしまっていることです。日本平均の高校中退率が、わずかに1.9％なのですから、その数字は、あまりにも多いと言わざるを得ません。

内閣府が文科省の協力で得た調査。平成16年(2004年)に中学校不登校だった生徒が平成21年(2009年)にどうしているか？

1、「現在、学校に行っている」(39.4%)。

2、「仕事をしている」(26.6%)

3、「仕事にはついておらず，学校にも行っていない」(16.5%)

4、「仕事をしながら学校に行っている」(7.3%)

（※参照・引用　『高校中退者・中学校不登校生徒の「その後」と地域における支援』）

ここでは、不登校経験のある若者100人中16〜17人が、ニートやひきこもりになっていることがわかります。

総務省の調査によると、若年無業者（ニート）は15歳〜39歳の日本国民のうち、わずかに2.3％ということですので、不登校経験者のニート率がいかに高いかがわかります。

ただし、「学校に行っている」39.4%＋「仕事をしている」と回答した人26.6%＋「仕事をしながら学校に行っている」7.3%＝73.3%

ですから、73％の不登校経験者が、学校に行ったり就業をしていることになりますので、現在、不登校の人や親御さんは、あまり過剰に心配しなくても良さそうです。
　

高校の卒業率と進路

・中学生の高校進学率　約９６％

・そのうち、全日制　約９２％が卒業

・定時制高校だと７０％前後が卒業。
・通信制高校だと、公立の卒業率　11.7％　私立の卒業率　35.6％
（※参照・引用　必要知識通信高校　卒業率・留年率　）

中学不登校の生徒を比較的多く受け入れている定時制高校や、通信制高校は、卒業率が低いことがわかります。

また、通信制高校の現状として

・通信制に通っている約19万人
・うち、7割が一度学校を辞めた生徒
・4割が中学校までに不登校経験者
・学校によっては9割近い不登校経験者を抱えている。
・学校基本調査では、通う生徒のうち2人に1人は進学も就職もしない、という現状。
※参照・引用　ＢＬＯＧＯＳ『2人に1人は進学も就職もしない。通信制高校の知られざる現状』）

などがあげられています。

では、不登校と関係の深いフリースクールではどうかというと、これは、数年前に東京シューレのスタッフの方が、放送大学でお話ししていたことなんですが、東京シューレの場合、六歳から二十歳くらいの児童生徒さんが通っていて、特に入学卒業が何月とかはないということ。

ですから、シューレを出た人の進路はというと

約５０パーセントが再登校・進学（予備校含）
約２５％が、フリーターとかアルバイト
約２５％が自宅にいたり、またシューレに戻ってきたりする。

とのことでした。

全体的にいって、不登校経験者は高校中退やニートになってしまう確率は、他の人より多いようですが、多くの人は学校にまた行くようになったり、何らかの仕事に就いているようです。

次回は、「なぜ不登校になってしまうのか？」をテーマにデータから考えたいと思います。

ＦＨＮ放送局
巨椋修（おぐらおさむ）

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