不登校生徒のその後


(※追記 『不登校の真実』は2017年にDVD化しました、TSUTAYAのドキュメンタリーコーナーで借りることができます)


わたし巨椋修(おぐらおさむ)は、01年に『不登校の真実』という本を書き、03年に同じ題名の映画を監督しました。
 それ以来、不登校をはじめ、ニート問題やひきこもりといった社会問題について調べることが多くなり、現在にいたっています。そこで以前、不登校だった児童生徒が、その後どのように成長しているのかを調べてみました。

平成5年度に不登校であった生徒のその後を、平成11年に文部科学省が追跡調査した結果によると、


不登校経験者の高校等への進学率が65%
・ 中学卒業時点で不登校経験者の進路は、就業率が28%
・ 就学も就業もしない者が13%

となっています。

当時の日本平均の高校進学率は、約94%で中学卒業の就職率は0.8%ですから、不登校を経験した人が、その後の進路について厳しいものがあるというのが、実情のようです。


また、不登校経験者の中学校卒業直後の高校進学者については、そのうち38%が中退を経験。
(当時の日本平均の高校中退率は、1.9%)


高校中退せずに学業を継続しつつ、大学・短大へ進学した者は全体の13%と、不登校でなかった人に比べて、中卒、高校中退が多いという結果がでています。

 
内閣府文科省の協力で得た調査によると、平成16年(2004年)に中学校不登校だった生徒が平成21年(2009年)にどうなっていたかというと


1、 「現在、学校に行っている」(39.4%)
2、 「仕事をしている」(26.6%)
3、 「仕事にはついておらず,学校にも行っていない」(16.5%)
4、「仕事をしながら学校に行っている」(7.3%)

 という結果がでています。


 つまり、不登校経験のある若者100人中16〜17人が、ニートやひきこもりになっているということになります。
 

 確かにニートになる確率は高いのですが、「学校に行っている」と回答した人39.4%と、「仕事をしている」と回答した人26.6%、「仕事をしながら学校に行っている」7.3%を合計すると、73・3%の人が、学校に行ったり就業をしていることになります。


 次に、高校中退者の中学時代における欠席状況を調べたところ、高校中退者のうち約4分の1が中学時代に不登校経験があったという結果も出ています。
 

 不登校となるきっかけとしては、「友人関係のトラブル」や「教師との関係が悪い」、つまり「人間関係が悪い」というものが多いようです。


 もし仮に、不登校の解決が「学校へ復帰する」ことや「就業する」ということにであったとしても、再び学校に行った先で、同級生などとうまくいかなかったり、就職しても上司や同僚、取引先の人とうまくいかなかったりすると、大変つらい思いをすることになるでしょう。


 実は、ニートやひきこもりになるきっかけも、「職場不適応」や「対人関係」ということが1番多いのです。


つまりは、不登校・ひきこもり・ニート系の多くの人は、人とコミュニケーションがうまく取るのが苦手という傾向があるようです。


 不登校の原因として、「授業についていけない」「学力不振」というものもあるのですが、たとえ、学力が多少低くても、人とうまくやっていける能力があれば、学校復帰や進学をしてもうまくいきますし、職場でもやっていくことができる可能性が広がります。


 他にも「病気」が不登校のきっかけになることも多くあり、中でも心の病気であることも少なくありません。心の病気も、対人関係とかかわってきますので、一人で悩まず早めに病院等に相談をしてほしいと思います。


FHN放送局代表
巨椋修(おぐらおさむ