科学的にみて、なぜ体罰がいけないのか?

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● なぜ体罰がいけないのかを理解していないと、これからも繰り返されるおそれがある


 いろいろな学校で、いまだに体罰事件が起こり問題となっています。しかしいまだに多くの人は「なぜ体罰はよくないのか」ということを科学的にわかっていない人が多いのではないでしょうか?



 わかっていないからこそ、いまだに「教育の一環」「しつけのため」「気合いを入れるため」「子どもは動物と同じだから、叩かないとわからない」といったことがいわれ、教育のプロであるはずの教師やスポーツ指導者までが、法律違反である体罰を行っているのではないでしょうか?



 なぜ体罰が悪いかということが、よくわかっておらず、ただ「いまは時代が違うから……」というだけでは、おそらく体罰はなくならないことでしょう。
 

 体罰が発覚し、その教師やスポーツ指導者が罰せられるというだけで終わるとすれば、今後ますます体罰の隠蔽が起こってしまうかも知れません。

 今回はなぜ体罰がよくないのかを、法律や人権の立場ではなく科学的に見てみようと思います。



●長期的に体罰をうけると脳が萎縮する


 08年、熊本大学の友田明美准教授(小児発達社会学)が米ハーバード大医学部との共同研究でまとめた結果によると次のようなことがわかりました。

 2008年10月24日 朝日新聞によると

『研究は米国で、4〜15歳のころに平手打ちされたり、むちで尻をたたかれたりするなどの体罰を年12回以上、3年以上にわたって受けた米国人の男女23 人を対象に実施。


磁気共鳴断層撮影装置(MRI)で脳の断面図を解析したところ、体罰を受けず育った同年代の22人に比べ、感情や意欲の動きにかかわる前 頭前野内側部が平均19.1%、集中力や注意力にかかわる前帯状回が16.9%、認知機能にかかわる前頭前野背外側部が14.5%小さかった。


 小児期に過度の体罰を受けると行為障害や抑うつなどの精神症状を引き起こすことは知られているが、脳への影響は解明されていなかった。今回の研究で脳の萎縮がみられた人については、体罰でストレス下に置かれた脳が、前頭葉の発達を止めたと考えられるという。』
(参考・引用 2008年10月24日 朝日新聞より)

 という記事が出ています。



 なんと、この研究によると、体罰を長期に受けた人は、脳の発育が止まってしまうことが科学的にわかったということです。



 それも前頭前野内側部の発達が止まったり萎縮したりするのです。前頭前野とは、思考、知覚、行為、人格、適切な社会的行動の調節など人間が人間であるためにもっとも大切な部分の部分が、発達を止め萎縮してしまうというのです。



体罰を受けた子どもの調査結果

 精神科医の明橋大二氏の著『翼ひろげる子』によると




【二〇〇二年、アメリカで、体罰についての、大がかりな研究の成果が発表されました (Gershoff ET,2002)。調査は、全米の約三万六千人を対象に、約六十年前までさかのぼっ て体罰の影響を調べました。その結果、体罰を受けた子どもは、その時には、親の命令に従 う、といった「効用」があるが、一方で、長期的には、




1.攻撃性が強くなる

2.反社会的行動に走る

3.精神疾患を発症する




などのさまざまなマイナス面が見られることが判明しました。】

 という記事が載っています。さらに


【〇歳〜六歳の子どもを追跡調査した「大阪レポート」(服部祥子・田原正文『乳幼児の心身発達と環境―大阪レポートと精神医学的視点―』)でも、体罰を用いたしつけは、短期的に見ると有効に見えても、時間がたつにつれ、子どもの発達に悪影響を与えることが明らかになりました。体罰を用いて育てられた場合、特に言葉、社会性の発達に、はっきりと遅れが生じていました。


 とも書かれています。


また体罰はスポーツ界でもよく問題になりますが、日本女子体育大学の阿江美恵子教授によると


・当該スポーツを見ることができない:ドキドキする,気持ちが悪くなる,などの身体的な不調が起きる.

・ 行動の委縮:指導者の顔色を気にする,一つ一つのプレイごとに必ず指導者の方を確認.

・ 指示待ち:失敗を恐れる,言われないとできない.

・ 自己主張できない:指導者の考えに反論する,意見を言うという自由な雰囲気の凍結.

(引用:『運動部活動における体罰が子どもに及ぼす影響』より)


 と、述べています。これは幼い子どもではなく、中学高校大学等の、運動部のことでありましょう。


 
どうやら、体罰によって子どもが良くなることは、ほとんどなさそうです。



 他にも、いろいろな調査で、体罰が人間の脳に悪影響を与えることが証明されていて、小児期に体罰を受けると脳の萎縮のみならず、身長や体重の成長が止まることもわかっています。


 また、体罰を受けて反省するかというと、そういう子どもはわずか16%程度で、半数以上が反発を感じたり、なにかしないと気がすまないという気持ちになるというアンケートや、いじめっ子の多くが体罰を受ける子どもあったという調査結果もあるくらいです。



体罰を行使する人は、攻撃の抑制が外れる傾向がある

 さらに、スポーツにしても、学校の勉強にしても、体罰を受けることによって、競技力が伸びたり成績がアップすることはありません。


 また体罰は、それを行う人にも影響を与えます。


 1961年、アメリカのイェール大学の心理学者、スタンリー・ミルグラムがおこなった「ミルグラム実験」というものがあります。


 これは、あらゆる階層の男性を「体罰と学習効果の測定」の名目で80名が被験者として参加したもので、隣の部屋にいる「生徒役」に電気ショックを与えるというもの係を行うというもので、「先生役」は、質問を「生徒役」に出し、もし間違えたら、電気ショックという体罰を与えるというものです。


 実は「生徒役」には本当に電流が流れるわけではなく、お芝居で苦しんだり、叫び声をあげたりするのですが、「先生役」はそれを知りません。


 その結果、半数以上の人が「生徒役」が致死レベルの電気ショックを与えたというものでした。


 人間は、なにか大義名分があれば、相当に残酷になれ、また攻撃の抑制が外れる傾向にあるようです。その大義名分は「教育の一環」や「試合に勝つため」という大義名分でも同じといっていいでしょう。


 体罰は、いうことを聞かない人や、ミスをした人に対して行う制裁ですから、体罰を行う人は、「痛い目にあいたくないなら、オレの言うとおりにしろ」という行為です。


 体罰によって、人は一時的に服従するかも知れませんが、それ以上に脳や心に大変悪い影響を与えることがわかっているのですから、教師や指導者、我が子をより良くなってほしい親は、やるべきではないは言うまでもありません。








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巨椋修(おぐらおさむ)拝



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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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