AKB握手会襲撃犯と不登校・ひきこもり・ニートの犯罪

いま大ニュースになっているAKB48の握手会で3人に怪我を負わせた容疑者は、ニートでありひきこもりであったようです。


といっても、昨年12月まではアルバイトをやっていたといいますから、特に重度のニート・ひきこもりというわけではなかったようです。


厚生労働省のひきこもりの定義によると

「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」 時々は買い物などで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含める

と、ありますからギリギリひきこもりの定義に入るといったところでしょうか。


犯人は24歳。

高校はいじめに合い中退。その後通信制高校編入し卒業。

卒業後はアルバイトをしていたようですが、12月にやめてそれからニート・ひきこもり状態であったといいます。

容疑者は、普段はおとなしいが突然キレるなど荒い性格だったという報道もあります。


さて、このブログは不登校・ひきこもり・ニートについて考えるブログですので、【不登校・ひきこもり・ニートは罪を犯しやすいのか?】について考えてみましょう。


不登校・ひきこもり・ニートは罪を犯しやすいのか?


まず、最初に答えからいいますと、不登校・ひきこもり・ニートもしくはそれらの経験者が犯罪者になってしまう確立は、残念ながら多いと、いうことができるかと思います。


え? 巨椋さん、不登校・ひきこもり・ニートの味方じゃないのかよ! なんていう人がいるかも知れませんが、冷静にみると、どうもそういう答えになってしまうようです。


なぜかというと、例えば不登校というと、学校に行かなくて部屋にひきこもっているイメージがありますが、そんな人ばかりではなく、学校に行かない不良少年や非行少年が多く含まれています。


またずっと部屋にひきこもっている人も、家庭内暴力という犯罪を行ってしまう場合もあります。ただし、完全なひきこもりとなると、家庭内以外では社会との接点がほぼないわけですから、ひきこもりの犯罪率は、とても低くなるようです。
(参照:井出草平の研究ノート『ひきこもりの犯罪率』より


犯罪白書によると、家庭内暴力でもっとも多いのは、中学生であり次いで高校生、その次が無職となっているのですが、不登校生徒の場合、中学生なら中退はまずありませんので、不登校中学生の家庭内暴力は中学生とカウントされます。


高校の場合、不登校を続けて行くと留年か退学となり、退学となった場合、どこかの高校なりに編入か就業しないと無職となります。


ニート・ひきこもりも無職ということになりますが、もっとも犯罪率が高いのがこの無職なのです。



犯罪白書より



記憶に残るような犯罪でも、


97年の神戸連続児童殺傷事件の犯人も不登校


00年の西鉄バスジャック事件は、高校を不登校の後、中退。


同年、山口母親殺人事件で、母親他、2人の女性を殺した16歳の少年も不登校


07年の会津では母親の首を切り落とした事件も、高校を不登校後、中退。


08年の土浦9人殺傷事件の犯人はひきこもりがちであり、妹が不登校、弟がニートニートといっても、まだ17歳であり、不登校であったか高校中退か、あるいは高校進学しなかったかは不明。


これら以外にも探せばもっと出てくるかと思います。


また、大阪大学社会経済研究所教授 大竹文雄の論文によりますと、過去5年間に失業経験がある人と無い人を比べた場合、あきらかに失業経験がない人の方が幸福感が高いという報告があります。



いわゆるニートとは、若年無職者のこと。そしてひきこもりは、当然無職。


無職の人は、働いている人よりも幸福感が少ないという現実。


また、ニートやひきこもりの人たちの多くがもっている自尊感情の低さ。


自尊感情とは、自分を大切にするという感情であり、自尊心の強い人は、犯罪を行うことは少ないのです。なぜなら、犯罪は他人を傷つけるだけではなく、自分の心をも傷つける行為なのですから。


そんな自尊感情が低くなってしまった人が「誰でもいいから痛めつけてうっぷんを晴らしたい」と、犯罪行為に走ってしまうことはめずらしいことではありません。


もし、また今回AKB48の人たちを襲った犯人やその他、不登校・ひきこもり・ニートによる犯罪を防ごうと思うなら、彼らに本物の自尊心を持ってもらうべきでしょう。


よくニートやひきこもりの人はプライドが高いといいますが、ニートやひきこもりの人のプライドは本物のプライドではありません。そのプライドは、誇りや自尊心ではなく、見栄や虚栄心、恥をさらしたくないという心理でありましょう。


不登校・ひきこもり・ニートの人たちは、本物のプライド、本物の誇り高さ、本物の自分の尊厳をこれから育て上げてほしいと思います。


社会や世間は、個人の誇りや尊厳を高めてくれるようなことは、あまりやってくれませんので、それを高めるには、何よりも自分自身の覚悟と決断、そして行動によるのではないかと思っています。


そして最後になりましたが、被害に遭われた方々には一日も早く回復するようお見舞い申し上げます。




FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)