長期化する不登校やひきこもりは問題解決を欲していないから


ひきこもりの長期化が問題になっています。その理由は、ひきこもり当人の高齢化です。

また、不登校も放っておけば長期化します。不登校の場合、子どもが学校に通うには期限というものがありますから、長期化といっても数年ですが、小学校中学校で不登校が続けば高校進学が難しくなったり、就業が難しくなったりする可能性があります。


『「引きこもり」の実態に関する調査報告書? −NPO法人全国引きこもりKHJ親の会における実態−』 によりますと、ひきこもりの平均期間は約10年、平均年齢は約31歳、両親の平均年齢は62歳というのが実態です。


両親の年齢が60歳を超えているというのは切実な問題で、やがてくる親の退職や介護といったリアルな問題が刻々と迫ってきているということでもあります。


しかし…… 長期化するひきこもりや不登校は、親が問題解決を放棄してしまっている場合が少なくないのですよ。


ひきこもりの当人は行動できません。行動できないからひきこもりなわけです。

しかし、保護者は行動できるわけです。

では、なぜ保護者である親は問題解決に向けての行動しないのか?

多くの場合、ひきこもり始めたときに、なんとかしよう・なんとかしたいと思い、いろいろと行動したり、子どもの話しを聞こうとします。


しかし、子どもはなかなか喋ってくれなかったり、時として暴言や暴力を行って、家の中は大変荒れた空気になってしまうこともあります。

親は困ってしまうわけで、そのとき支援者などから「子どもを信じて待ちましょう」とか「だまって見守りましょう」といったアドバイスを受けます。

そうやってずっと待っていたり、だまって見守っていたりしているうちに、1年、2年、5年、10年と時間が経過していってしまうのです。


「子どもを信じて待つ」とか「だまって見守る」といったアドバイスは、必ずしも間違っていません。

そのときは「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があるように、「人事を尽くす」ことが必要です。つまりいまできることは、なるべくやる。その後に天命を待つ。

待っている間にまたやるべきことが見つかればちゃんと人事を尽くす。



ただ何もせずに待っているだけだと、ひきこもりや不登校を長期化を助長してしまう場合があるのです。

だまって見守っていて、自然治癒的に当人が動き出してくれればいいのですが、そうではないこともあります。

そうならないため、ひきこもり当人は、行動や活動ができない代わりに、保護者は問題解決のための行動や活動をする必要があります。これが人事を尽くすということ。

しかし中にはその行動や活動を放棄しちゃう場合がある。

なぜかというと、ひきこもりや不登校初期のときに、なんとかしようとしたときに、暴言や暴力とか嫌な空気で家が荒んでしまうという苦労をした。

しばらく「だまって見守って」いると、そのうち落ち着いてくる。

落ち着いている間は平和だから、そのまま一日一日と過ぎていく。


さらには、ひきこもりや不登校当人が、ひきこもるには、人間関係や学業の苦労や失敗、就業、進学などなど現実的な困難があったからなのですが、ひきこもりや不登校から立ち直って、社会や学校に出て行くと、またこの現実的な問題と向き合う必要がでてきます。

だからどことなく「ひきこもりや不登校は直ってほしいけど、現実的困難に立ち向かうのはちょっと・・・」となってくる。

前回、ときとして病気は救いになると、病気を理由や言い訳になる『病気という救い』という記事を書きましたが、この場合も、ひきこもりでいる、不登校のままでいると、現実的な困難から回避できるという利益があるため、積極的な問題解決への行動や活動を放棄するということが起こってきます。


そのため、子どもの不登校やひきこもりがある程度長期化した親が、カウンセラーや精神科医に相談に行って、アドバイスを受けても、そのアドバイスを実行することが少ないといいます。

そしてカウンセラーや医者が本気でなんとかしようとすれば、もう相談に来なくなるということが実際にあるようです。


放っておくといつか破綻するとわかっていても、きょう一日が安泰であれば、明日も同じような一日が来ると無理やり納得して、何もしない毎日が続く……

こういうことが不登校やひきこもりの長期化の裏にあったすることがあるのです。






FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)


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