30代以上のひきこもり


不登校というのは、主に10代の問題と言ってもいいですね。

その不登校経験のある人の中で、約3分の1ほどの人が、成人してからもひきこもりとなると言われています。

2008年の東京都によるひきこもりを調査した発表では、35・7%が不登校経験者でした。

平成5年と古い調査ですが、文科省によると中学卒業後に「就学・就労ともにしていない者」が23%いるとされています


以前同様のコラムを書いたとき、ある有名な【不登校支援者】の方から


「私たちの経験値としては、それはどこの国の話なのかという感じだ? 

わたしたちは不登校に10年以上かかわってきて(不登校・ひきこもりの)長期化の割合はどんどん減ってきている。

文科省の平成5年調査については、その中には、専業主婦や家事手伝い、浪人生なども入っていて、いわゆる引きこもり状態を示すものではない。

その当時の大卒者の調査(学校基本調査)でも、就職・進学していないものが、全体の20%だから他の若者と一緒である。

また、引きこもりの親の会では、ほとんどが不登校未経験で、不登校経験者は、そのほとんどが20代前半までにはだいたいカタがついているので不登校は問題ない」


というクレームが来たことがあります。


正直、そんなに不登校が問題ではないのなら、その人は何のために支援をしているのかなと、苦笑してしまったことがあります。

ちなみに、不登校者の7〜8割はその後、何らかの形で就業をしています。支援者であるならば、「問題ない」と安心感を与えることも大切ですが、もっと重要なのは取り残された2〜3割の人たちを、無視するのではなく、いかに助けるか、そうならないようにするかだと思うのですがねえ……

そして、ひきこもりに関しては、ひきこもりになった人の3割弱が3〜5年ほど続いている人が一番多く、次いで7年以上の人も2割いるというのが実態で、むしろひきこもりの長期化・高齢化は深刻な問題となっています)






ひきこもりの原因で多いのは、職場不適応、病気(精神疾患も含まれると思われる)、不登校です。


ひきこもりに最初になった年齢は、20代後半が多く、もっとも多い年代は30〜34歳で、ひきこもり全体の約3分の1もいるのですが、実は東京都にせよ、文科省にせよ、厚生労働省にせよ、34歳までしか調べていないんです。


つまり、35歳以上の人はカウントされず、見捨てられた状態で年々増加していると考えられるのです。


結果、30代後半、40代、ときに50代のひきこもりがとても増えていると考えられます。


中には、結婚し子どもがいる人もいます。

中には、40代になっても、働いた経験がほとんどない人もいます。


ひきこもりの人が、生きていくには、スポンサーが必要です。


そのスポンサーの多くは親なのですが、30代、50代ともなってきたら、スポンサーの親は定年退職をむかえます。


親の死も身近に感じるようになってきます。


親がそこそこお金持ちで、親の遺産をすべてひきこもりの子ども一代で消費してしまおうという覚悟があれば、それはそれでいいのですが、それほどのお金持ちでない親や当事者にとって、切実な問題となります。

そして、年齢を重ねるほど就職やアルバイトが、少なくなるのも事実だったりします。

わたしは、人生はありとあらゆる生き方があり、反社会的でなければどのような人生を選択してもいいと思っているのですが、高齢になって、短期ならまだしも長期化しているひきこもりは、決してオススメはできません。


30代以上のひきこもりは、深刻な問題です。


80年代、90年代にひきこもりになって、いまや40代、50代になっている人もいます。


いまこれを読んでいる人の中にも、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?


長期のひきこもりは「暖かく見守る」のみだと、なかなか出られません。

長期のおよぶひきこもりの場合、親もかつて、子どもが家庭内で荒れていたときがあり、少なくとも“今は”家庭内暴力等がなくなっている場合など、波風を立てたくなく、そのまま5年、10年と年月が重なったいく場合もすくなくありません。

しかしそのまま放置していると、子どもを見守るではなく“見捨てる”という結果になるかも知れません。

ひきこもりは家族だけだとなかなか解決できない一面があります。

もしお悩みの方は、相談機関に連絡して行動を起こしてみてはいかがでしょうか?





FHN放送局代表
巨椋修(おぐらおさむ)