ひきこもりの親の平均年齢は60歳以上

ひきこもりの高齢化が問題になっています。

年々悪化しているといっていいでしょう。

そしてこの問題は、そのまま親の高齢化という問題にも直結します。

2010年にNPO法人全国引きこもりKHJ親の会が発表した【「引きこもり」の実態に関する調査報告書?】によると、

家族回答者の年齢は,平均60.9歳であり,最年少が43歳,最年長が79歳でした.母
親の年齢に関しては,平均59.9歳であり,最年少が43歳,最年長が79歳でした.父親
に関しては,平均62.9歳,最年少45歳,最年長78歳でした.家族回答者の年齢も上昇
している傾向があります.


とあります。

ひきこもりの子どもを持つ親がこの調査に回答しているわけですがその平均年齢は


母親の平均年齢,59.9歳


父親の平均年齢,62.9歳


ひきこもり者の平均年齢は30歳を越えていますから、親の年齢も納得できるものです。


ひきこもり本人の不安はもちろんですが、60歳前後になった親御さんの不安も、いかばかりなものでしょう。


不安に思っている親御さんには、ひきこもり問題に古くから第一線でたずさわっている精神科医斉藤環さん、ファイナンシャルプランナー畠中雅子さんの共著「ひきこもりのライフプラン−「親亡き後」をどうするか −」という本があるので、ご一読をオススメします。



また、この調査によりますと、ひきこもり者の半数50.5%が不登校経験があるといいます。


以下の文は、いまから約5年前にわたしが書いたものです。

参考までに、ここに貼り付けておきます。



<引きこもり>平均年齢30歳超す 「親の会」331人調査
毎日新聞 - 2008年4月10日 15:11)

 全国引きこもりKHJ親の会(奥山雅久代表)の会員を対象に毎年行われている調査で、引きこもり状態にある人の平均年齢が初めて30歳を超えたことが分かった。新たに引きこもりとなる若年層がいる一方で、長期間にわたり引きこもりから抜け出せない30〜40代の層が確実に増えている実態が浮き彫りになった。

 境泉洋・徳島大学准教授らが、会員を対象に07年11月〜08年1月、記入方式でアンケートし、331人の回答を分析した。


 それによると、引きこもり本人の平均年齢は30.12歳で、男女別では男性30.35歳、女性は28.87歳。最年少は13歳、最年長は52歳で、引きこもり期間は平均8.95年、最長は25年だった。


 同会の会員を対象とする調査は02年から毎年行われており、平均年齢は02年が26.6歳、前回調査の06年は29.6歳で、上昇を続けている。親の高齢化も進んでいる。平均年齢は父親が63.23歳、母親が58.28歳だった。


 「家族から見て引きこもり本人が要望している支援は何か」という問いでは、「経済的支援」が最も多く50%以上で、「カウンセリング」や「医師の診断」を上回った。自由記入欄には、「安心して死ねる体制を整えてほしい」「社会保障制度を確立してほしい」など自身の死後を不安視する声が目立った。


 奥山代表は「本人と親の不安が家庭の破たんにつながり、親殺しや心中、自殺などの最悪な事態が出始めている。何らかのセーフティネットがあれば、安心感にもつながる」と訴えている。


 同会では、ファックス(048・758・5705)で相談を受け付けている。【市川明代】



ひきこもりの高齢化は非常に深刻な問題です。


ひきこもりは長引けば長引くほど、社会に出て行くことが難しくなってくるとういことがひとつ。


ひきこもりには、経済的援助者が必要なのですが、その経済的援助者である親も年々高齢化し、自分の老後の心配とともに、ひきこもったままの子どもの心配とダブルでの心労が襲ってくるからです。


この調査によると、ひきこもり者の親の平均年齢は





父親が63.23歳


母親が58.28歳





普通なら、そろそろ引退して、悠々自適の第二の人生を歩み出す年齢であるにも関わらず、自分の老後の不安、子どもの不安で苦しんでいるということになります。


それでも、ひきこもり者の家庭が、それなりに裕福であったり経済的に安定しているのなら、少しはその状態での耐えることができるかも知れませんが、低収入であったり、親が病気がちであったりする場合は悲惨です。


そして「ひきこもり者を抱える家庭」全般を見た場合、低収入世帯が決して少なくないらしいのです。


ひきこもりが長期化・高齢化している原因のひとつとして、


不登校支援の対処法をそのままひきこもりにスライドさせたためではないか?」


というものがあります。


不登校支援の場合


「登校刺激をせず、そのまま見守っていきましょう」


という考え方があって、それは必ずしも間違っていないのですが、不登校という問題は、子どもの年齢が学校へ行かなくてもいい年齢になると、自動的のなくなってきます。


いまの時代、義務教育なら学校へほとんど行かなくても卒業させてもらえますし、高校を卒業しなくても、高校卒業認定を受けることで大学受検もでき、また、中卒であるからと就職できないというわけでもありません。


しかしひきこもりの場合、卒業の年齢などというものがあるはずもなく、どうもひきこもり者というのは、自分だけや家族だけの力では、なかなか社会に出ることが難しいらしいのです。


つまり、家族外からの第三者介入がもっとも有効であるらしいのです。


三者の介入といっても、それほど大仰なものではなく、本人や親が相談機関や医療機関に足を運ぶとか、そういった支援サークルや親の会に行くなどといったこと


本人が友人や知り合いと電話やメールで連絡を取り合うなどといった程度で、ずいぶんと違うようなのです。



しかし第三者の介入は当人や家族が非常に嫌がるのが現実でもあります。


当人も親も、やがて親の老後や死後にもっと大きな問題が起こるとわかっているのですが、なかなか動こうとしません。


また、そういった人に対して第三者が介入をすることはできません。

さらに、本人や親がまったく行動をしようとせず、この記事にあるように『経済支援』だけを求めるという場合、多くの関係のない人々から反感を買うことでしょう。



また、この記事にある


「自由記入欄には、「安心して死ねる体制を整えてほしい」「社会保障制度を確立してほしい」など自身の死後を不安視する声が目立った。」


と、いう一文は、あまりにも切実で、親や家族の方々が想像以上に苦しんでいるということを現していると思います。





ひきこもり者には、社会的訓練の不足。打たれ弱さ。コミュニケーション能力の低さなどがある場合が多く、これらは訓練や練習によって改善が可能です。


この場合も、まず、本人が自分を何とかしようと思い動き出すことが一番大切なのでしょうね。


最後に、この記事で奥山代表がおっしゃっているように



「本人と親の不安が家庭の破たんにつながり、親殺しや心中、自殺などの最悪な事態が出始めている。何らかのセーフティネットがあれば、安心感にもつながる」


これも、ものすごく深刻な問題だと思います。


これら重大な問題が起こる前に、本人、親、周囲の人が、何らかの手を早めに打っておくことが必要ですね。








不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)


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