不登校児の居場所利用率が、わずか2割なのはなぜか?


川崎市によると、不登校児童生徒を対象にした市の適応指導教室や市内の民間フリースペースなどの利用者は、わずか2割しかないといいます。

読売新聞に以下の記事が出ていました。

不登校児の「居場所」利用、わずか2割…川崎


 不登校となっている川崎市の児童生徒のうち、市の適応指導教室や市内の民間フリースペースなどの利用者は23・5%(2012年度)にとどまっていることが、市の調査でわかった。


(中略)


横浜、相模原でも低迷

 利用率の低迷は横浜市相模原市でも同様だ。両市とも民間のフリースペースなどに通う児童生徒数を把握していないが、市が設置する適応指導教室などの利用率は横浜市が12・2%、相模原市は13・6%にとどまっている。


横浜市教委人権教育・児童生徒課は「民間施設を紹介する機会を増やし、子供たちのニーズに合った利用ができるよう支援していく」としている。ほかにも、保護者が同じ悩みを共有できる場を充実させ、まずは親に元気を取り戻してもらう取り組みを充実させていく方針だ。


(2014年2月18日 読売新聞)


不登校支援の難しさは、不登校者自身が、百人百様の事情があることはもちろん、適応指導教室もちろん民間フリースペース等に出かけること自体が難しいことにあるのではないだろうか?

中には外出することも、難しい子どもがたくさんいることだろう。


なぜそんなに外出が難しいのだろうか?


不登校経験者の多くは、自分が学校へ行っていないという【罪の意識】があり

【外出したときに、友だちや知り合いに会ってしまったら、何か言われるのではないか?】という恐怖心や、恥の意識があるという。

もし、不登校の支援施設の利用をもっと高めたいなら、彼らの【罪の意識】や【恥の意識】という壁をどう乗り越えてもらうかが要点のような気がするのだ。


それには、まず彼らが【不登校はいけないこと】という意識を植え付けないか、あるいはその意識を取り払う必要があるのだが、これもまた難しい。

彼ら不登校の子どもたちに、そういう意識を植え付けてしまうのは、親や教師といった大人たちなのである。


おそらく、不登校の子どもたちが学校に行けなくなったとき、親や大人たちは焦るか、あまり深く考えずに


「学校に行かなくてどうする? 学校に行かないとダメになってしまうぞ!」


と、子どもに「学校に行かないことは悪いことだ。恥ずかしいことだ」と脅すようにして、何とか学校に行かせようとしているのではないだろうか?

本来であれば、子どもに対して学校に行かないと……と、脅すよりも、じっくりと話しを聞くことからはじめることができれば、いいのだろうが、多くの場合、親自身もそんな余裕もなく、子ども自身も親には話したくないこともあり、意思の疎通が難しくなっているのではないだろうか?


この【罪の意識】【恥の意識】というのは、不登校の子どもだけではなく、その親にもありはしないだろうか?


もしその【罪の意識】や【恥の意識】があるとすると、それは


「こんな子どもを作ってしまった罪」であり「こんな恥ずかしい子どもを作ってしまったという気持ち」であるかも知れない。


だとすると、その意識は、自分と子どもを責めているだけで、その意識からは得るものはない。

不登校問題の根底には、学校に行くとか行かないとかいうものだけではなく、そういった意識もあるのではないだろうか?


だとすれば、そういった【罪の意識】【恥の意識】という考えから離れることが、解決への第一歩なのではないだろうか?


不登校は罪でも恥でもないのだから。




FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)