平和とは何か?
2001年、9.11テロがニューヨークとワシントンで起き、アフガン空爆があった頃、わたしは『世界の紛争・局地戦が手にとるようにわかる本』という本を軍事アナリストのケン浜田氏と共に書いた。
イラク問題で多くの日本人が騒いでいるとき、わたしはひどく醒めた思いであった。
そのときの気持ちをカンタンに言うと、
「イラク問題や自衛隊派遣問題で大騒ぎをするのもいいが、中東以外で、戦争の舞台になりやすいのが、極東だということに日本人は気付いているのだろうか?」
という気持ちであった。
極東、すなわち日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮である。
中国台湾問題は、いつ戦争になってもおかしくなかったし、いまでもそうである。
中国の日本海における油田開発問題もしかりで、昔ならとっくに戦争になっていたかも知れない。
北朝鮮はいつ崩壊してもおかしくない状態であり、万が一崩壊すれば、おそらく大量の難民が日本海を渡ってくるであろうし、それがキッカケで極東のパワーバランスが崩れるおそれがある。
少なくとも、日本と韓国の経済状態には多大な影響がある。
そして昨今、話題になっている領土問題もしかりである。
いつ戦争の舞台になってもおかしくない国。
それが平和大国ニッポンの実情というワケだ。
さて……
このブログは国際問題を論じるブログでも、戦争反対を論じるものでもない。
誰だって、戦争か平和かと言うと「平和」と答えるであろう。
では、ここで改めて聞く。
「なぜ戦争はいけないのか?」
多くの人はその問いにキョトンとし、やがて「当たり前だろう!」と怒り出すかも知れない。
おそらく多くの人の答えは
「戦争は多くの人が死ぬからいけない」
「人間が殺し合うからいけないのだ」
とお答えになるであろう。
では……、だ。
みなさんはご存知だろうか?
年間、地球上で何人の人が戦争で亡くなっているのかを。
WHO(世界保健機構)の発表によると2001年の場合、全世界で約23万人の人が戦争で亡くなっている。
これが多いのか少ないのか、それは知らない。
殺人事件によって亡くなっているのは、世界で約50万人である。
驚くべきことに殺人事件の方が、戦争の倍も多いのである。
もっと驚くべきことがある。
世界で自殺によって亡くなっている人は、約100万人であるということだ。
戦争で亡くなる人の4倍以上も多いのである。
誰だって戦争は嫌だろう。
その理由が、人が死ぬから、殺し合うからだとすれば、戦争が起こっていない場合、つまり平和な社会であっても、つらく悲しい事件がいかに多く起こっているかということも考えてほしい。
平和とは何か?
それは戦争がないだけの状態ではない。
肉体的にも、精神的にも、社会的にも、安全で安心な暮らしができることなのだ。