「ひきこもりのライフプラン」を読んで


精神科医斉藤環さんと畠中雅子さんお2人の共著「ひきこもりのライフプラン−「親亡き後」をどうするか −」を読んだのですよ。

もし親御さんたちで自分の子どもがひきこもりであった場合、ご自身たちが亡くなった後、ひきこもりのお子さんたちを心配していとしたら、ぜひ読んでいただきたい本です。

著者の1人、斉藤環医師は10年以上前から、「高齢化」するひきこもり者の「親亡き後」を真剣に心配していた人でありました。

いま1人の著者、畠中雅子さんは、ファイナンシャルプランナーで、個人のマネー相談,金融機関のアドバイザー業務などを行うお金のプロの方。

畠中雅子さんは「働いていないお子さんの生活設計」を相談されることが近年増えてきたことから、この本をお書きになった方です。

斉藤医師は、ひきこもり者が「プライドは高いが自信がない」といういびつな自己愛を抱え込んでおりひきこもりが自分と家族だけだと、ほとんどの場合、ひきこもりから脱出することが難しいこと。

高齢のため、やがて子どもであるひきこもり者の面倒を見切れない親たちへの具体的アドバイス

福祉制度サービスの受け方などなどを書いておられます。


畠中雅子さんは、資産や負債の洗い出しや、相続の仕方。他の兄弟姉妹との軋轢の防ぎ方、お子さんの1人暮らしのための準備や訓練(役所の利用の仕方や銀行の利用の仕方など)などなど、生々しくも具体的なことを書いておられます。


この本にも書いていますが、親御さんとしては「先のことは,できるだけ考えたくない」「いつかは考えなければならないことだけど,できれば今は考えたくない」と思っていることでしょう。

しかしひきこもりの高齢化は現実として、1日1日進んで行きます。
親御さんも、いつまでも子どもの面倒を見れるわけではありません。

かつて、「不登校」や「ひきこもり」は暖かく見守っていけば、自然と元気になるという“支援者”と称する人たちがたくさんいました。

自然と元気になってくれれば、それでいいのですが、現実としては「ひきこもりの高齢化」は進んでいて、面倒をみる親御さんご自身も介護を必要とするような年齢になっていることが少なくありません。


もし、お悩みの親御さんがいれば、ご一読をおすすめする一冊です。



FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)