受け入れるという難しさ
生きることに悩んでいる人に対するアドバイスに【自分をありのままに受け入れる】というのがあります。
でも、自分をありのままに受け容れるっていうのは、口でいうほど簡単じゃありません。
他人より、家族。
家族より自分。
自分を受け容れるというのが、一番難しい。
それは、自分のことは、知らなくていいこともで知っているからかも知れません。
過去のくやしい思いや、忘れたい思いもある。
人が知らない思いや過去も知っている。
空想や妄想の自分ではなく、現実の自分を知っている。
それを受け容れる、認めるっていうのは、実につらいことだと思うんです。
これは、『不登校・ひきこもり・ニート』当人だけじゃなくって、それらの子を持つ親御さんなんかもそうでしょうね。
キューブラーロスという医師がいて、癌患者など、死の病にかかってしまった人の、心理過程を次のように書いています。
(1)否認と孤立
(2)怒り
(3)取り引き
(4)抑うつ
(5)受容。
わたしは、この過程が不登校の子をもつ親御さんの心理過程と似ているなあと感じ、かつてコラムに書いたことがあります。
精神科医の明橋大二先生は、わたしのコラムを読んで、この五つの段階にさらに、6番目の心理として『子どもへの感謝』を付け加えた文章を、その著書『この子はこの子でいいんだ。私は私でいいんだ』にて、書いてくださいました。
『不登校・ひきこもり・ニート』の当人も、親御さんにとっても、現実を受け容れる、認めるというのは、簡単ではないと思います。
でも、性格や人格というのは、これまで生まれ育ってきた考え方や行動を積み重ねてできたものですから、これを変えたいと思ったら、いまある自分をいったん受け容れたほうがいい。
そしてどこをどう変えたいかを整理してみる。
そしてイメージする。
そのイメージを実現するべく行動を変える。
考え方や行動というのは、一種の癖であり習慣ですから、それを変えるというのは、大変かも知れませんが、自分のイヤな所を直したいと思うなら、
これまでの行動習慣を変える
ということが近道なんでしょうね。
ただ、いくら自分を変えたとしても、「アナタがアナタであることに違いはない」ということも、忘れてはいけないのだと思います。
FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)