ひきこもりは病気か?



不登校・ひきこもり・ニート』の当事者、親御さんの中には「自分は(この子)は、精神病じゃないのか?」って、疑う場合もあるかと思うんですよ。

わたしは、医者じゃありませんので、医学的なことについては、正確に言えないんですけど、医師に聞いたところによると、当てはまる場合と当てはまらない場合とがあるらしいんです。


不登校・ひきこもり・ニート』っていうのは、“状態”のことですから、それだけで『病気』と言うワケではないということです。


斎藤環医師が書いた『ひきこもり救出マニュアル』という本によると、

「対人恐怖症が強い場合には「対人恐怖症」、強迫症状が強い場合には、「強迫神経症」といった診断名をつけるのが、精神科医の一般的なやり方」

というふうに書いています。


他にも「統合失調症」(精神分裂病)や、「うつ病」、各種の「神経症」、各種の「パーソナリティー障害」(人格障害)、自律神経失調症、対人恐怖症などと診断されることもあるようです。


不登校やひきこもりの人と話していてよくあるのが、“病院を変わるたびに病名が変わる”というものや“診療を受けているうちに病名が変わる”というもの。


それはあきらかな病気とわかるもの以外、いろいろな病状や障害が重なっていたり、病名に一貫性がないといったこと。


また、病名は問診から診断されることが多いのですが、傷ついている患者に、厳しい質問などできるはずもなく“とりあえず病名をつけておいて”診断を進めていくうちに、だんだんと隠れていた病気が発見され、病名が変わっていくということもあるそうです。


多くの病気もそうなんですけど、「どこからが病気で、どこからが病気でないか」という判断は、難しいところがありますよね。

例えば、「どこからが便秘で、どこからがそうじゃないか」とか。

風邪にしても、大した事がなくても病院にいったら、『感冒』なんて立派な病名をつけてくれます。

“心の病”というものにしても、病院にいったら何らかの病名を付けてくれる場合が、ほとんどみたいなんですね。


これには、いい面と悪い面があって、『不登校・ひきこもり・ニート』の人が、精神科や心療内科に行って、何らかの病名が付いた場合、本人や親御さんが

「甘えや怠けじゃないんだ。病気だから、仕方がないんだ」

と、安心できる場合と

「オレは病気なんだ! もうダメだ!」

と、荒れたり落ち込んだりする場合があるみたいなんです。


わたしが聞いた中では、「甘えや怠けじゃないんだ。病気だから、仕方がないんだ」と、かえって安心するという場合がほとんどでした。


ここで改めて書いておきますが、『不登校・ひきこもり・ニート』というのは、病気ではない。ひとつの“状態”である。

ただし、病理性のあるものもある。


ということです。


もし、病気であるとしたら、治療をすればいい。

と、いうことですね。


不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)