隠れた問題 多重債務

ニート・ひきこもりによくある周辺問題として、多重債務があります。

こう書くと、「なんで、ニートやひきこもりと関係があるの?」という人が結構います。


でも少し考えればすぐに想像がつくこと。

ひきこもりやニートは、働いていない。

しかし、欲しいものはたくさんある。

親からの小遣いでは足りなくなったり、親にはいえない物が欲しいときもある。

そんなときは、親の財布からお金を失敬するか、あるいは手軽に借りられるクレジットカードや、消費者金融のお世話になるしかない。


幸い現代社会は、身分証一枚あればカンタンにお金が借りられるシステムがたくさん揃っているんです。

最初は数万円。

それは、次のお小遣いで支払うことが可能かもしれない。

しかし、“打ち出の小槌”であるカードは残る。

やがてまた借りるようになる。

繰り返しているうちに返せなくなる。

そこで考える。

「ご利用は計画的に」とあるように、計画的に別の消費者金融から、お金を借りて返金に回す。

これはいい考えだって思っちゃう!

やがて、消費者金融のカードは3枚になり、4枚になりドンドン増えていく。

同時に借金も、10万、20万、やがて100万、200万、300万とドンドン増えていく。

そんな自転車操業では長続きはしやしません。

やがて返金が滞るようになって、督促の電話がかかってくるようになり、やがて親の知るところとなり、大騒ぎになる。



これがひとつのパターン。



いまひとつは、親の多重債務というのもあります。

以前『依存症について』のところで、


不登校・ひきこもり・ニートは家族障害であるかもしれない」


ということを書きましたが、親に問題がある場合だってあります。


親が、アルコール依存症であったり、ギャンブル依存であったりした場合、そのお金を捻出するために消費者金融に手を出し、やがて多重債務になってしまうなんてこともめずらしくなんですよ。


子どもが多重債務になる場合にせよ、親がなる場合にせよ、ギリギリに追い詰められるまで、問題は発覚しにくいのが、こういった問題の特徴です。

そして、こういう問題が発覚した場合、親や親戚が出てきて


「わかった。もう二度とやらないと約束するなら、とりあえず今回だけ、立て替えておいてやる」


と、尻拭いをしてくれる場合がほとんどのようです。



ぼくが見てきた限りの答えをいうとこの尻拭いは、ほとんど裏切られる結果になる場合が多いんです。



実に安易に、同じ問題が繰り返される。


繰り返される。


繰り返される。


では、どうすればいいかといいますと、弁護士や司法書士に依頼して、債務整理をしてもらうという方法が、一番いい。


これで、かなり借金を減らすことができます。

さらに、弁護士に債務整理をしてもらうと、しばらくは消費者金融やカード会社からお金を借りることができなくなる。

つまり、再発の予防にもなるということです。


繰り返しますが、家族や親族が“立て替え”などをしても


「アルコール依存患者が、今日だけ飲ませて、明日から二度と飲みませんから」


というのと一緒で、またどこからから借りるようになります。


ただ、ニートやひきこもりは、収入がない。そういう場合は、親や親族が立て替えざるをえないということもあるでしょう。


そういう場合は、例え、親子や家族間でも、弁護士等に「契約書」を作成してもらい、親子親族であろうとも、本人の借金は本人が返すというようにしないと、必ずまた同様のことが起こると思っていいでしょう。


アルコールやギャンブルにハマっている場合は、特に気をつけないと、安易に立て替えても、すぐにまた借金まみれになってしまいます。


多重債務も一種の“依存症”ですから、本人はもちろん、家族親族なども相当な覚悟で対峙しなくてはいけません。


また、金を手にするため、親や親族、知人への暴力や、泣き落とし、逆恨みなどが、起きる場合も当たり前のようにあります。

こういった場合、弁護士や警察といった司法や、病院といった医療との連携が必要でしょう。


おそらく『不登校・ひきこもり・ニート』を支援している人で、多重債務について考えている人は、あまりいないかも知れません。

しかしぼくが見てきた中で、このような問題は、よくあることであり、現実的な問題でもあります。

真剣に考えてほしいと思います。



『FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)