親の異常な愛情

不登校・ひきこもり・ニート』の親御さんと話しをしていて、ときどき見られるのが、【子離れできない親 】です。


我が子が、不登校・ひきこもり・ニートになると、親は多いに悩むものですが、ときとして、子どもは問題から立ち直っているのに、親が立ち直れないでいるということが見受けれます。


わたしの知っている例では、息子が不登校・ひきこもり・ニートとというコースをたどり、やがてアルバイト、就職をしたという母親から電話がかかってきたことがあります。


最初は、お子さんが現在も、不登校なりひきこもり、ニートであるから悩んでいるという話しかと思っていたんですが、どうも様子が違う。


お子さんは、不登校になり、やがてニートになったのですが、やがて就職を決め、いまではサラリーマンとして、毎日働いているというのです。


「お子さんの年齢は?」


と尋ねると、もう40歳になるとおっしゃる。


お母さんの年齢は、65歳ということです。

不登校ニートとはいえ、いまではちゃんと毎日働いているのですから、なんら問題はないと思ったのですが、もしかしたらその時代のことについて、お子さんから責められたり、家庭内暴力などがあるのかも知れない。

その点を聞くと、まったくないとおっしゃる。


よくよく聞くと、息子さんはやや無口で、母親との会話もあまりない。
何を聞いてもウンとかスンとかしか答えてくれない。

それが母親には不安でならないというものでした。

そしてその原因は不登校にあるのではないか……と……


しかし普通成人した男性は、母親になんでも話すということはないものです。

話しを聞く限りにおいてですが、この場合、その母親が子離れできていないのでは? と思ったものです。


こういったことは、他でも結構よく聞くことで、ひきこもりだったお子さんが、アルバイトや就職をしようとすると、母親が


「そんな仕事をさせるために、アナタを育てたんじゃない」


とか、不登校だったお子さんが、大検を経て大学に進学したら


「そんな大学じゃダメよね」


と、足を引っ張るようなことを言われて傷付いてしまった話しも聞きます。


ある場合は、そんな母親が嫌になって、一人暮らしを始めるのですが、それでもずっと付きまとってくるという悲鳴や、

これは父親が娘に対してなんですけど、娘が遠方に引っ越し一人暮らしをすると、休みのたびに娘を追いかけて行き、ときには待ち伏せまでしてしまい拒否されると、それがショックで父親の出社拒否、ひきこもりが始まってしまったなどという話しもありました。


こうなったら、すでにストーカーと化しており、いささか病的にさえ思えますが、こういった状態を、“共依存” といいます。


不登校・ひきこもり・ニートという問題は、子ども個人の問題ではないという場合が、とてもたくさんあります。



FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)