カウンセラーに向かない人

不登校・ひきこもり・ニート』の経験者、関係者がもっともなりたい職業のひとつに「カウンセラー」があったりもします。

そこで今回は、逆にカウンセラーに向かない人について書きましょう。


不登校・ひきこもり・ニート』のグループに、「相談受け付けます」としているところも多いのですが、その係りをやっている人や自称カウンセラーと言っている人の中には


「辞めた方がいいじゃない?」


なんてと思える人もいます。


では、どのような人が向かないのか・辞めた方がいいと思えるのかというと……




●自らが不安定な人
よく「わたしも、不登校やひきこもりの経験があるので、力になれると思う」と、言う人がいます。

もしその人が過去の苦しみから立ち直り、自分自身が十分に安定した精神ならいいのです。

しかし、自分自身が不安定のまま当事者に相談に乗ったりすると、過去のトラウマを思い出してしまい相談者以上にショックを受けてしまったり、感情的になってしまったりすることが少なくなく、逆効果になってしまうことがあります。




● 知識と経験の欠落
現在、『カウンセラー養成所』などと称して、30時間ほどの講習と数十万円の講習費で「カウンセラー資格」を与えるような民間団体があります。

人間の心は、そんなに短い期間で理解できるようなカンタンなものではありません。

また、悩みを持って相談にくる人は、精神的な病気であったり、不登校やひきこもり、ニートの裏側に多重債務の問題や、暴力団がからんでいる場合もあります。

近親相姦、ドラッグ、悪質な家庭内暴力、犯罪、異性間の問題など、多種多様な問題が裏側に隠れていることも多く、それらに冷静に対処する能力も必要です。

相談者も、精神的に不安定である人も多く、いきなり罵声を浴びせられたり、暴力をふるわれることもあります。

それらに対処するには、多くの知識と配慮が必要とされます。




守秘義務を守れない人
わたしは、相談を受け付けたりすることもなく、職業は作家であり取材をして公表する立場の人間です。

しかしながら、相手のプライバシーに関しては、それなりに気をつけています。

公表の許可を本人に取った後でも、やはり公表をしないことも多かったりします。

ところが……、守秘義務をもっとも守るべきカウンセラーや、不登校やひきこもりの「親の会」などで、「相談受け付けます」と明記し、その言葉を信じて相談者がきたところ、翌日はみんなにその人の秘密がバレてしまっていたということがありました。

秘密を守れない人、約束を守れない人は、カウンセラーや相談を受け付ける資格はありません。




● 線引きができない人
相談を受けるというのは、特にそれが『不登校・ひきこもり・ニート』などのグループで公に受け付けるという場合、相談者との線引きが必要です。

「自分のできることはここまで」という“線引き”が出来ない人は、おうおうにして相談者に振り回されたり、逆に介入しすぎて問題をより大きくしてしまうことがあります。

自分と他者の境界をハッキリと出来ない人は、辞めた方がいいでしょう。




● 思考の柔軟性を欠く人
不登校・ひきこもり』者の特徴として「オール・オア・ナッシング」、ゼロか100か、敵か味方かという極端に片寄った思考、思想を持つ人が多くいます。

こういった思考・思想をする人は、相談を受ける人に向きません。

また、直情径行(ちょくじょうけいこう・思ったありのままの感情を、何も考えずそのまま行動すること)人も相談を受ける人には向きません。

相談者には、いろいろな事情や、経歴、思想・信教があり、それらを尊重する必要があるのは言うまでもないことです。

また、マニュアル通りにしか動けない人も向きません。カウンセラーや、相談を受ける人には、柔軟な思考が必要となります。




● 決断力のない人
緊急をようする相談もあります。

そのとき、優柔不断であれば命にかかわることもあります。

いざというときに、即、行動が必要なこともあります。




● 覚悟のない人
不登校・ひきこもり・ニート』の相談というのは、人間の裏側を見る行為でもあります。

暴力をふるわれたり、ストーカー行為をされることもあります。

柔軟でしたたかな精神のない人には向かない仕事といえるでしょう。

何が起きるかわからないだけに、それなりの覚悟が必要です。






と、いろいろと書いてきました。

わたしはいろいろな精神科医や、臨床心理士、自称カウンセラーと会ってきました。


その中には、相談を受ける人と言う前に、人として『?』な人も多くいたのです。


実際に、相当に「困ったちゃん」も何人かいました。



また、「相談を受ける職業に就いて、苦しんでいる人を助けたい」という人とも、多く会ってきましたが、人として『?』な人や、「困ったちゃん」も多くいたのです。



不登校・ひきこもり・ニート』の相談を受けるというのは、友だちの恋愛相談や、井戸端会議の延長ではないわけですので、それなりの覚悟をもって、やって欲しいし、志して欲しいものです。




不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局代表』
巨椋修(おぐらおさむ)