若者より多い中高年のひきこもり

f:id:fhn:20180802175755j:plain

(私、おぐらおさむが描いた漫画『まり先生の心のお薬研究室』ぜひお読みください)

 

内閣府が中高年ひきこもりを初調査

 以前からひきこもり支援者や関係者の間で「もはやひきこもりは若者だけの問題ではない。おそらくもっとも多いのは中高年だ」と言われてきました。

 

 そして今回、内閣府がはじめて中高年のひきこもりを調査した結果、15~39歳の推計54万1千人に対して、40~64歳が、全国で推計61万3千人というものでした。

 

 これまで中高年の「ひきこもりは若者の問題」という考えが強かったと思うのですが、それが最近になって8050問題(はちまるごうまるもんだい)が話題にでるようになってきたからでしょう。

 

 8050問題とは、これまでひきこもりやニートの子どもの生活を支えてきた親が80代と高齢化し、子どもを支えきれなくなってきたという問題です。

 

 

●中高年ひきこもりの実態

 ひきこもりに詳しいライターの加藤順子さんの記事から、私が個人的にきになったところをいくつかピックアップしてみると・・・

 

<家の生計>  主に本人が生計を立てているという回答が最も高く、約3 割にのぼった。次いで、「父」、「母」、「配偶者」と続き、「生活保護など」は8.5%、「きょうだい」という回答も6.4%あった。

 

 であるそうです。生活保護がわずか8.5%というのは、自己責任論が強く、ひきこもりや病人、介護等家族のことは、国や行政ではなく家族が面倒をみるという傾向が強いことを表しているのでしょう。

 

<通院や入院経験>  複数回答で、「精神的な病気」を挙げた人は、広義のひきこもり群では31.9%と多かった。一方で、「その他の病気」「あてはまるものはない」と回答した人も多かった。

 

  ちなみに広義のひきこもりではない人の場合、5.6%であったそうです。

 

<ひきこもったきっかけ>  複数回答で最も多かったのは、「退職」。次いで、「人間関係やうまくいかなかった」や「病気」、「職場になじめなかった」が挙がった。

 

 というものでした。

(引用:Yahooジャパンニュース『内閣府調査の中高年ひきこもり「推計61万人」報告で見えた、人は何歳からでもひきこもる現実』より)

 

 

● 批難・攻撃・自己責任論よりも社会的な理解を

 中高年のひきこもりについて、これまで「とにかく働け、それしかない」といった意見が中心であると思います。

 

 ひきこもり支援も、これまで「いかにひきこもり者を就職させるか」の一点張りであったように思います。

 

 しかしいま、中高年のひきこもりの人っていうのは、そういった支援の中で、ずっとひきこもりのままであった人が多いわけです。

 

 つまり支援が届かなかったか、あるいはその支援策が通じなかった人たちでもあるわけです。

 

 私個人の考えでは、1億2千700万人いるこの国で、若者中高年含めてひきこもりの人が100万人以上いるということが、特別異様であるとは思っていないのですよ。

 

 異様なのは、大多数の人々が、こういった問題に無関心であり、無関心でない人の多くが、ひきこもりやニート不登校といった人たちに、支援どころか攻撃的であるところにあるかと思っています。

 

 中高年ひきこもりに限らず、問題解決を個人や家族のみに求めるのではなく、理解できるようになることが必要なのではないでしょうか?

 

 ひきこもりにせよ、社会的に弱い立場になってしまうことは、誰にでもある日突然起こってしまいうることなのですから。

 

 

おぐらおさむ拝