不登校と反抗期


不登校は反抗期のときに起りやすい
 もしこれを読んでいる人が大人だったら、ほとんどの人は小学校高学年から中学生を中心に、高校の1〜2年くらいの間に経験します。

 この期間のことを、反抗期、思春期、第二次成長期ということもあります。

 このときの子どもの心理は、まさに嵐! ある日いきなり、いろいろな所に毛が生えてきたㇼ、初めての生理がきたり、声変わりが起き、急速に身長が伸びてくる。

 さらに心理的にも不安定になり、学校ではいじめの件数が急激に増える時期でもあります。



  学年別いじめの認知件数

「平成22年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/08/__icsFiles/afieldfile/2011/08/04/1309304_01.pdf



 この時期は不安定ですから、暴れてみたり、親に反抗して家を飛び出してみたり、友だちと徒党を組んで悪い遊びをしてみたりと、問題が多い時期。そしてこの時期にもっとも多く出る状態の一つに不登校があります。




https://www.hare-navi.com/nayami/futoukou/data.htmlより引用



 不登校の原因は多々ありますが、不登校がこの時期に出てくるということは、反抗期の一つの減少として不登校があると考えてもいいと思います。



●反抗期がない子どもはやがてどうなる?
 いま、反抗期がない子どもが増えているそうです。一見すると反抗期がない子どもというのは、いい子であると考えますが、必ずしもそうではありません。

 そもそも反抗期というのは、子どもから大人へ成長しようと子ども自身が必死にあらがっている時期のことなのです。

 この時期に反抗期がないということは、子どもから大人へ成長しようとする戦いを経験せず、大人になり切れないまま肉体だけ大人になっていくということで、あまりいいことではありません。

 もっとも、親が子どものことをとても尊重していて、子どもにすでに自分のやりたいことがあって親がそれに協力するような親子関係の場合、子どもは反抗する理由がありませんから、反抗期は起きにくいのですが、こういう例はあまり多くないことでしょう。

 また、子どもがすでにあきらめてしまって、親に対して「どうせ自分のやりたいことを言ったことで、親に聞く耳なし。いうだけ無駄」と思い、表向きだけ親に「はいはい」と答えている場合、親は子どもの反抗期に気が付かない場合もあるようです。

 

Eテレ『噂の保護者会』より引用



 では、反抗期がなかった子どもが、大人になったときどうなるのでしょうか? 反抗期がない子どもは、その前から「いい子」で過ごしてきた子どもが多く、思春期中も「いい子」を演じ続けている人でもあります。

 反抗期がないということは、言ってみれば親のいうことを全て聞いて生きて来た人です。親に反抗しなかった人です。そんな人が大人になった場合、自分で物事を決める力を欠いています。そのため、仕事が長続きせず、ニートやひきこもりになってしまうことも少なくないといいます。

 また、反抗期がないということは、ほとんどの場合、親に抑圧され続けてきたということですから、心の奥底にドロドロとした憎悪を育ててしまい、大人になってから、その憎悪が親自身や他人、または自分自身を攻撃することもあります。


 親のいうがままに生きて来た人は、就職も恋愛もうまくいかないことも知られています。就職や恋愛に関して、親の希望に添おうとしたり、親の言いなりになってきた人は、自分が望んでいたわけではないので、いろいろと就職先や恋人に不満をもつようになる傾向があります。そして、悪いのは自分ではなく、自分をこのようにした親や相手の恋人のしいにしがちです。

 このように反抗期がないと、後々苦労しそうですね。反抗期は親にとってやっかいで面倒くさいものですが、子どもが大人になるためには必要な過程であるようです。



不登校・ひきこもり・ニートという反抗期
 さて、不登校・ひきこもり・ニートというのは、人それぞれに理由があり、また原因や理由は一つでないことがほとんどですので、こうすれば必ずよくなるなんてことはありません。

 ここでは不登校の原因の一つに『反抗期』であると仮定(仮に定めること)します。ニート・ひきこもりの原因は、遅れて来た『反抗期』と仮定しましょう。

 さて不登校の原因が親への反抗と考えた場合、これはむしろラッキーだと言えるかも知れません。反抗期における子どもの反抗はいろいろとあり、皆さんも経験があるでしょうが、親の言うことを無視する。親に罵声を浴びせる。いいつけを破る。言うことを聞かないといったものから、親の金を盗む、親を殴ったり、家具を壊す、万引き等非行や反社会的行動をするなどということもあります。

 ラッキーと書いたのは、不登校というのは、まだ少年期と若く、いまのうちにしっかり反抗期を味わってもらって大人の階段をこれから登って行ってもらえばいいからです。これが思春期の反抗期としての不登校が出ず、40代50代になってから大人の反抗期となり、長期のひきこもりになるよりはラッキーということ。


 こういった反抗をする子どもの心はどんなものでしょうか? すごく楽しいなんて思っている子どもはほんの少しでしょう。それよりも心の中には不安と親が自分を理解してくれないという悲しみで一杯である場合がほとんどです。

 子どもはほとんどの場合、親の期待に添いたい、親の期待に応えて喜んでほしいと望んでいるものです。

 いくら親に罵声を浴びせたり、親を無視しようと、心の奥では親に喜んでほしい。しかし、それがなかなかうまくいかない。それは自分の希望が親と違うから親の希望に添えない。高校受験、友だち関係、恋愛などで心は不安で一杯です。

 
 そんなとき多くの親がとる態度は、「テストの成績が悪い」「もっと努力しろ」「おまえは間違ってる」他の子どもと比較するなどなどでありましょう。


 子どもは自分を理解してほしいと思っているのに、親は子どもを追いつめることばかり。


 学校に行きたいけど行けない子どもに対して「おまえさえ学校に行ってくれればすべてがうまくいくのに・・・」と言ってしまったり、一見優しく接していながら、ため息をついて「お母さん(お父さん)は、おまえを心配して疲れたり、ガッカリしている」ということを暗に伝えようとしてしまっています。


 そういうことは、子どもはすごく敏感に感じ取ります。そして自分に対してガッカリし、自己肯定感がどんどん低くなっていきます。




不登校・ひきこもり・ニートの子ども時代の特徴は『いい子』であること
 不登校・ひきこもり・ニートの子ども時代の特徴として「思春期前までは育てやすくて手のかからないいい子だった」という場合が少なくありません。

 これはつまり、親を悲しませないために、ずっとムリに演じて来たということです。

 そのムリに限界がきて、不登校になった。

 ムリがきて学校に行きたいけど、行けなくなったわけですから、親はその苦しい心の内を認めて、ムリに学校に戻そうとするのではなく、寄り添うくらいでいいのではないでしょうか?

 子どもが反抗的な態度をとったら、「反抗したいのはわかるけど、そんな態度をとられたら親だってつらいよ」と、やんわりと受け流してください。

 ときどきでいいですから、キッチンや居間で無駄話ができるような環境になれば、かなりいいと思います。

 不登校やひきこもりの家庭の中には、家庭内戦争が起ってしまいお互いに口をきかない、口を開けば罵り合いになるなんて場合もあります。

 家が子どもにとって安心できる場になっていれば、問題の解決はすぐそこです。




FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝



わたし(巨椋修(おぐらおさむ))が監督した映画『不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? 』DVDになりました。
精神科医不登校に携わる皆さんにインタビューをしており、問題解決のヒントになれば幸いです。
TSUTAYA』のドキュメンタリーコーナーにも置かれておりますのでご覧になってください。


●巨椋修(おぐらおさむ)の著書



ビックリ!おもしろ聖書物語 (リイド文庫)

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新版 丹下左膳

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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

陽明門護身拳法のHPはコチラ。門下生募集中!
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