スクールカーストとその後の人生とアドラー心理学 - おぐらおさむ（巨椋修）の不登校・ひきこもり・ニートを考える

　スクールカーストという言葉をご存じでしょうか？　スクール（学校）のクラスにあるカースト制度（身分制度）や序列のことです。そういうと何となく皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか？

　さてさて、この前映『不登校の真実DVD化記念上映会』をやったとき、文筆家で評論家の古谷経衡（ふるやつねひら）さんが来てくれまして、最近の著作であるところの『意識高い系の研究』という本をいただきました。

　その本の帯には『スクールカーストが生んだ被害者「意識高い系」に迫る！』とあります。本の内容はとても面白く、一読に値する内容で「ちょっとめんどくさい意識高い系の人は、スクールカーストで中位であり、そのコンプレックスゆえに大学デビューでこれまでの冴えない自分とオサラバし一発逆転を狙い、SNS等でちょっといいレストランや場所で、自撮り写真をやたらと投稿したり、意識高いからこんなセミナーでましたとか、こんなカッコイイ人脈ありマス的な「私って実はこんなにスゴイのよ〜」という小自慢をSNSで連発する理由等が書かれています。

（たとえばこんな写真を乗せたりするところが意識高い系（笑））

　それを読んで「うん、ぼくはスクールカースト最底辺で大学にもいってないけど、立派な『意識高い系』だわ」と妙に納得した私でした。

　それはともかくなんとスクールカースト（中学高校時代の環境）の与える影響の強い事よ！　と、この本を読んで改めて思ったのであります。

●小中学高校時代のスクールカーストが後の人生や性格を決める？

　たしかに小中高時代のスクールカーストは、成人後の人生にかなりの影響を与えます。

　小中高時代に良い友達に恵まれ、充実し自信に満ちた日々を送ることができたなら、その後の人生もかなりの意味で自信を持った日々を送れることでしょう。しかし、小中高時代にいじめにあったり、劣等感にさいなまれて育ってしまった場合、その後の人生、自信を取り戻すのに少々苦労するかも知れません。

　そういう意味で、小中学高校時代のスクールカーストが後の人生や性格を決めるといっても過言ではないでありましょう。

●アドラー心理学がスクールカースト下位者を救うかも

　劣等意識に対しては、アドラー心理学が役に立つかも知れません。アルフレッド・アドラーは１００年ほど前に生きた心理学の泰斗（権威者・大物）ですが、幼少のころから病弱で満足に運動もできず、身長も１５０センチととても小柄でした。そんな彼は肉体的コンプレックスに大変悩んでいたようです。

　アドラーはやがて医学の道に進みますが、その彼がテーマにしたのが、「劣等感の克服」です。

　アドラー心理学では「原因」を重視しません。これからの「目的」と重視します。

　例えば、いじめが原因で不登校やひきこもりになったとします。そこでカウンセラーから「あなたが不登校（あるいはひきこもり）の原因はいじめです」といわれたとします。しかしそんなことをいまさらいわれても、なんの解決にもなりませんよね。

　そこでアドラー心理学が重視するのはいじめという「原因」ではなく、これからその人がどうしたいのか？　という「目的」です。

（オススメ本　アドラー心理学入門にはいいと思います。『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』）

　アドラー心理学では、過去に植え付けられた劣等意識よりも、「これからの目的」のために人生を再選択するにはどうすればいいかということを重視します。

　不登校・ひきこもり・ニートにしても、そうで不登校・ひきこもり・ニートになった人には、それなりの「目的」があって不登校・ひきこもり・ニートになったのであって、それは間違った選択ではなかったのです。

　無理をして不登校・ひきこもり・ニートを選択せず頑張っていたら、事態はもっと悪くなっていたかも知れません。どんな人でもその瞬間瞬間に、「いまの状況ではこうするのが最適」という方法を選んで、生き残っているのです。

　生物は、まず生き残るのが目的ですから、いま生き残っているということは、その選択は間違っていなかったということです。

　そして問題はこれからです。誰もが、次の再選択を託されているのです。

（アドラー心理学については「アドラー心理学=マンガで分かる心療内科」がわかりやすいかと思います）

　ＦＨＮ放送局
巨椋修（おぐらおさむ）

●オススメ本

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

作者: 永田カビ
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わたし（巨椋修（おぐらおさむ））が監督した映画『不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? 』ＤＶＤになりました。
精神科医や不登校に携わる皆さんにインタビューをしており、問題解決のヒントになれば幸いです。
『ＴＳＵＴＡＹＡ』のドキュメンタリーコーナーにも置かれておりますのでご覧になってください。
不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? [DVD]
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