ひきこもりはすでに若者の問題ではない


これまでも、再三『高齢化するひきこもり』について書いてきました。

実際、これは切実な問題で、ひきこもりやニートは放っておくと長期化することが少なくありません。

つい先日のJ-CASTニュースにこんな記事が載っていました。

「中高年ひきこもり」が過半数を超えた 40代が最も深刻、期間10年以上も

ひきこもりは、今や若者の問題ではない。山形県島根県の調査で、40代以上でひきこもっている割合が半数に達したことがわかった。

(中略)

疾病、本人の性格、失業が引き金に

(中略)

年代別に最も該当者が多いのは30代、次に40代となる。いわゆる「働き盛り」世代がひきこもりの中心なのだ。さらに40代以上の年代の割合の合計は44%と、半数に迫る。


期間も長い。10年以上と答えたのは33%に上り、5年以上10年未満と合わせると半数を超えた。高齢化と長期化が、山形県のひきこもりの実態を示すキーワードだ。

(中略)

島根県でも、同様の調査結果が出た。2014年3月の「ひきこもり等に関する実態調査報告書」によると、アンケートで把握できた該当者は1040人で、最も多い世代は40歳代だったという。


さらに、40歳以上の比率は53%と「高齢化」は山形よりも顕著になっていた。県の健康福祉総務課に聞くと、「ある程度の割合は予想していたが、39歳以下の世代より多いというのは予想しなかった」と驚いた様子だ。


調査を担当した民生委員が該当者本人にたずねた「ひきこもりに至った経緯」は、「分からない」を除いて最も多かったのが「疾病、本人の性格」で、「失業」がこれに次ぐという。

(引用:http://www.j-cast.com/2014/03/21199815.html?p=all


この調査によると、10年以上のひきこもりが34%にもあがるといいます。

ひきこもりがある程度長期化すると、家族にもひきこもりの人を何とかしようという気がなくなってきます。

ひきこもりが始まった頃は、家族も悩み、何とかしようと子どもを説得しようとしたり、叱咤したりしますが、家庭内暴力や、暴力とはならないものの、家庭内に嵐が吹き荒れたりします。

やがてひきこもり当事者は家族にとって、触れたくない・触れられたくない“腫れ物”となります。

それでも、やがて落ち着いていき、子どもが「ひきこもっているのが当たり前」の状態になり、そのまま長期化していきます。

この状態になると、家族に有効なアドバイスをしても、家族は現状落ち着いているものですから“腫れ物”に触りたくありません。

“腫れ物”に触ると、またあの嵐が吹き荒れる恐れがあるからです。

このままひきこもりの家族を放っておくと、やがて破滅することがわかっていても、現状の落ち着きに安住してしまい、ひきこもり者に積極的に関わることもしなくなってしまうのです。


つまり、長期化した34%ものひきこもり者と、その家族は親の老いや子どもの老いに恐怖しながら、破滅を待っている状態なのです。

そうならないためには、家族は“腫れ物”に触る覚悟が必要です。

ひきこもり者本人も同じで、現状を打破する勇気が必要となります。

ただ、ひきこもりというものは、長期化してしまうと、なかなか家族だけで脱出するのは難しいのです。

ですから、もし現状を打破したいのであれば、あきらめず、積極的に相談機関に相談をして欲しいと思います。

一度の相談でうまくいかなくても、3回、10回、20回と手をつくして欲しいと思います。



FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)