あなたの認知は歪んでいないか?

不登校・ひきこもり・ニートの人やその親御さん、あるいは「生きづらい」と感じている人、人間関係が上手くいかない人、精神の病気や障害にかかっている人の多くは、いわゆる『認知の歪み』という思考の癖を持っています。


では『認知の歪み』の『認知』の説明からしましょう。辞書『大辞泉』によると次のようになります。


にん‐ち【認知】


1 ある事柄をはっきりと認めること。「反省すべき点を―する」


2 婚姻関係にない男女の間に生まれた子について、その父または母が自分の子であると認め、法律上の親子関係を発生させること。


3 《 cognition 》心理学で、知識を得る働き、すなわち知覚・記憶・推論・問題解決などの知的活動を総称する。


『認知の歪み』の『認知』とは

【1 ある事柄をはっきりと認めること】

【3 心理学で、知識を得る働き、すなわち知覚・記憶・推論・問題解決などの知的活動を総称する】

のことを差します。

不登校・ひきこもり・ニートの人や生きずらい人、人間関係が上手くいかない人は、この『認知』が、歪んでしまっている人が大変多いのです。


そして『認知の歪み』ゆえに、人が怖くなってしまったり、持たなくてもいいコンプレックスに悩み、人間関係が上手くいきません。

『認知の歪みの10パターン』というのがありますから、ご自身が当てはまっているかどうか、ちょっと見てください。


認知の歪みの10パターン


1. 全か無か思考(all-or-nothing thinking)

 ほとんどの問題は, 白か黒かのどちらかに決めることはできずその中間にあります。
「白か黒か」という両極端の見方をしてしまうことを「全てか無か思考(オール・オア・ナッシング思考)」といいますが、ひきこもりやニートの人、あるいはうつ病や心の障害がある人は、このオール・オア・ナッシング思考の人が大変多いと感じます。



 
2.一般化のしすぎ(overgeneralization)

 良くない出来事があると,「いつも決まってこうだ」、「どうせこうなることに決まってたんだ」などと考えてしまう癖を持っている人がいます。



3. 心のフィルター(mental filter)

 良くないことをくよくよ考え続け、他のことはすべて無視してしまうこと。
 ちょうど1滴のインクがコップ全体の水を黒くしてしまうように。「心のサングラス」ともいいます。
 このような思考パターンに陥ると、なにごともマイナスでしか見られなくなってしまいます。



4.マイナス化思考(disqualifying the positive)

 なんでもないことやよい出来事を悪い出来事にすり替えてしまうことをいいます。
 先にあげた「心のフィルター」は、よりいっそう悪い認知の歪みの癖といえましょう。




5. 結論の飛躍(jumping to conclusion)

 根拠もないのに悲観的な結論を出してしまうことをいいます。

a. 心の読みすぎ(mind reading):ある人が自分に悪く反応したと早合点してしまうこと

b. 先読みの誤り(the fortune teller error):事態は確実に悪くなると決めつけること




6. 誇大視と過小評価(magnification and minimization)

 自分の短所や失敗を過大に考え,逆に長所や成功したことを過小評価する。「双眼鏡のトリック」ともいいます。




7. 感情的決めつけ(emotional reasoning)

 感情的決めつけは、マイナス思考の感情が前面に出てきて、プラス思考の感情が後退してしまうという考え方の癖です。




8. すべき思考(should thinking)

 何かをやろうとするときに、常に「〜すべき」「〜すべきでない」と考えると、できなかった場合は、あたかも自分が罰せられたように感じて自己嫌悪になってしまいがちです。

 また、他人を「〜すべき・すべきでない」という思考で見てしまうと、元々違う人の考えですから、自分の「〜すべき・すべきでない」思考と違っていると、相手が間違っていると怒りを感じたりして人間関係がうまくいかなくなります。




9. レッテル貼り(labeling and mislabeling)

 自分にネガティブなレッテルを貼ってしまう癖をいいます。




10. 自己関連づけ(personalization)

 何か良くないことが起こった時、自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまうことをいいます。

 例えば「ひきこもりになった子どもの責任は、ダメな母親であるわたしのせいだ」と、悪いことは全部自分の責任してしまいます。

 これは一見、責任感が強い人の発言のように思えますが、それ自体が一種の「いいわけ」になっており、逆に「本当はわたしのせいじゃない」というアピールでもあります。

 他人に100%の影響を及ぼすことは不可能です。よくないことがおこった場合、それを自分の責任と考えるよりは、どうすれば問題を解決できるのかを考えるほうが健全で大切なことなのです。「自己関連づけ」の思考パターンを繰り返すと、罪の意識を感じることになり、その結果自己評価が低下してしまいます。


心当たりのある方も多いかと思います。

もし、認知について何らかの問題があり、これらの事柄を「自分もそうだ」と、【自覚】することができるとすれば、その人は、認知の歪みから一歩改善に前進したといえるでしょう。


それは、「ありのままの自分を知ること」の第一歩を踏み出したということだからです。

自分を知らずして、自分を変えることはできないのですから。






不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)