やっかいな障害 「境界性パーソナリティー障害」


さて、こんなニュースがありました。

被告の男は人格障害責任能力あり―長崎2女性殺害

時事通信 10月12日(金)13時17分配信

 長崎県西海市の山下美都子さん=当時(56)=ら2女性殺害事件で、殺人罪などで起訴された筒井郷太被告(27)が、起訴前の鑑定留置で人格障害と診断されていたことが12日、関係者への取材で分かった。


 関係者によると、筒井被告は1月4日から4月24日まで鑑定留置され、人格障害と診断された。自己中心的で、他人を顧みることができないという。ただ、刑事責任能力には問題がないとされている。

(※読みやすくするため、改行、太字は巨椋がやりました)

さて、この記事に出ている「人格障害」というのは、医学界では現在「パーソナリティ障害」といわれている障害なのですが、不登校・ひきこもり・ニートの方々や、それに近い方々と無縁であるわけではありません。


むしろ、その傾向がある方々が多いといえるでしょう。

さらに、2年前の新聞記事ですが、以下のような記事がありましたのでご紹介いたします。



若年自殺、未遂患者の半数超「境界性パーソナリティー障害」 都立松沢病院調査
( 2010年7月27日朝日新聞




向精神薬を大量に飲んだりリストカットを繰り返すなど、自殺に関連する行動で精神科に入院した患者の約6割が、若年層に多い「境界性パーソナリティー障害」と診断されていたことが、東京都立松沢病院の研究でわかった。



日本の自殺予防の施策は中高年のうつ病が中心だが、若い世代への対策も必要と専門家は指摘する。


都の精神科救急医療の拠点病院である松沢病院に2006〜07年に入院した患者のうち、自殺未遂を経験した155人(男性68人、女性87人)を対象に面接調査した。


自殺未遂の方法は、薬の過剰摂取が約3割、リストカットが約4割を占めた。境界性パーソナリティー障害と診断されたのは全体の56%


女性の方が割合が高く、男性の41%に対し女性は67%だった。平均年齢は33歳で、障害がない人に比べ8歳若かった。


境界性パーソナリティー障害は思春期から青年期の患者が多く、衝動的な自傷行為を繰り返す場合が多い。


自殺リスクの高さは欧米では報告されており、8〜10%が自殺に至るとされる。


精神科で処方された向精神薬の過量服薬は社会問題となっており、厚労省研究班の調査では、精神科を受診していた自殺者の58%が自殺時に向精神薬を大量に飲んでいた。


同省は6月、自殺の危険性がある患者には向精神薬を長期間、大量に処方しないよう呼びかける通知を日本医師会などに出した。


先進7カ国中、日本は唯一、15〜34歳の若い世代の死因で自殺がトップを占める。警察庁によると、20〜30代の自殺率は昨年、統計を取り始めた1978年以降で最悪を記録した。


松沢病院の林直樹・精神科部長は「日本の自殺対策は中高年のうつ病対策に偏っているが、境界性パーソナリティー障害が多い若年層への対策も必要だ」と指摘する。(岡崎明子)
(※読みやすくするため、改行、太字は巨椋がやりました)

「境界性パーソナリティー障害」は、本人にとっても周囲にとっても、とてもやっかいな障害です。


時事通信の記事にあるとおり「自己中心的で、他人を顧みることができない」という傾向があるからです。


また、朝日新聞の記事では「自殺未遂の方法は、薬の過剰摂取が約3割、リストカットが約4割を占めた。境界性パーソナリティー障害と診断されたのは全体の56%」とありますが、向精神薬(精神科全般のお薬)に対して、異様なバッシング(精神科にいったら薬漬けになって廃人になる等の)やネガティブキャンペーンをやっている人も、パーソナリティ障害の傾向がある人に多かったりします。


その方々に、前回このブログで書いた【あなたの認知は歪んでいないか?】の「認知の歪みの10パターン」を当てはめてみれば、かなりの方々が当てはまってしまうと思います。


近年、この「境界性パーソナリティ障害」の人や「新型(現代型)うつ病」の人が増えていますが、これらの障害の共通点は「人格の未成熟さ」にあるといわれています。

「人格の未成熟さ」とは何か?

文字通り、大人に成りきれず、自分にも他人にも迷惑をかけてしまう人のことです。


境界性パーソナリティ障害」の人や「新型(現代型)うつ病」の人には、向精神薬はあまり効きません。


それは病気というより、その人の「未熟さ」が根幹にあるからです。


そういう人たちが、何とかなるには、自分自身で自分を成長させるしかないのかも知れません。




不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)拝