母親を責めても問題解決にはならない


不登校が問題化したときに一番責められやすいのが母親です。

また母親自身も自分を責めがちです。

しかし、短絡的に母親を責めるというのは、問題解決にあまり役に立ちません。


人間が成長していく間、それももっとも大きく関っているのが母親です。


その母親のほとんどが、子育ての“初心者”であったり“素人”であったりするわけですから、当然失敗はたくさんあることでしょう。


子どもが不登校になったとき、一番責められるのが母親だと聞きますが、ほとんどの場合、子育ての失敗で子どもが不登校になるわけではありません。

子どもが不登校になるのは、さまざまな要因がなさなることが多く


「原因はこれだ」


と、いちがいに言えるようなものではありません。


また


親が悪い

子どもが悪い

学校が悪い

文部科学省が悪い

政府が悪い

社会が悪い


と、原因の擦り付け合いをやったところで、何も解決はしません。




本当に何も解決しないのです。



むしろ問題はこじれていきます。




原因を擦り付けられたほうは、一方的に悪者に仕立て上げられてはかなわないと、報復攻撃をはじめざるをえなくなるからです。



子どもの成長にかかわることは、それぞれに一長一短、出来ることと出来ないことがあります。


それぞれが、一長一短を認め、フォローしあうというのが理想でしょう。




そして、不登校の解決とは何か?




それは、短絡的に「子どもが再び学校に行く」というのではなく、「子どもが元気になる」ことのはずです。


そのためには



子どもが安心して、【わたしは学校に行かなくてもここにいもいいんだ】



という環境をつくってあげることが一番の近道です。ほとんどの子どもは学校に行かない自分に罪悪感を持っていたりするため、心が傷ついているからです。

だから子どもの罪悪感を持たせないためにも、子どもを否定し過ぎないことが大事。



もし、母親が「わたしが悪いんだ。わたしの子育てが良くなかったからだ」と責めてしまえば、子どもは、「ぼくのせいで、お母さんが苦しんでいるんだ。ぼくは生まれてこなかったほうがよかったんだ」と、思ってしまいます。



もし、親が「学校が悪いんだ。先生が悪いんだ」と言えば、子どもは「そんな悪い学校にいくなんて嫌だ」と、思ってしまいます。



もし親が「わたしが悪い」と自己否定してしまうと、子どもは「ぼくが悪いから」と、子どもの自己肯定感を育てることができなくなってしまいます。



誰かのせいにするのではなく、自己否定をするのではなく、いまの現状を冷静に見て、受け入れていく。



完全な親などいません。


完全な学校も、政治や社会もありません。



いいところと悪いところは、必ずどこかにあることでしょう。


そこで改善の余地があれば、改善していくようにするといいでしょう。


ただし……


改善の余地があるからといって、がんばりすぎてはいけません。


特に母親のがんばりは、「お母さんは、ぼくのせいで無理をしているんだ」と、子どもの負担になるんです。



ほどほどに



ほどほどに



そして母親ご自身の自己肯定感を高めていってほしいと思います。


母親の自己肯定感を育てるというのは、それは母親自身の成長であり、ひいては子どもの自己肯定感や成長を育てるということでもありますから。





不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局代表』
巨椋修(おぐらおさむ)