第7回心の病気を考える「自己愛性パーソナリティ障害 」


●自己愛が幼稚な『自己愛性パーソナリティ障害』

 自己愛性パーソナリティ障害というのは、よくいうところの『ナルシスト』、『ジコチュー』、『自己顕示欲』などが、あまりに過度になって、自分や他人が迷惑するようと自己愛性パーソナリティ障害と言われるようになります。


アメリカ精神医学会 DSM-IVによる診断基準は以下のようになります。

誇大性(空想・行動における)、賞賛されたいという欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期に始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)で示される。


1, 自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績やオ能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。


2, 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。


3, 自分が特別であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達にしか理解されない、または関係があるべきだ、と信じている。


4, 過剰な賞賛を求める。


5, 特権意識つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する。


6, 対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。


7, 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。


8, しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。


9, 尊大で傲慢な行勤 または態度。


 要するに、『自分は人よりも優れている』、『自分は特別なんだ』と思い込んでおり、『自分は人からチヤホヤされて当たり前』、『世間の人は優れている自分の言いなりになってあたりまえ』、と思っている人でもあります。

 自分は特別なのですから、自分の要求はかなえられて当たり前だし、その他の人間を見下すことで、自分のプライドを守ろうとしたり、快感を覚えたりします。

 当然、他人がその人をチヤホヤするとは限らないのですが、もし、自分を“特別視”しない人がいると、急に不機嫌になります。

 また、他人の話しに割って入り、自分の話しばかりしたがったりもします。
そうなると返って、他人から嫌われ、煙たがられたりするようになるのは、当然といえるでしょう。

 このような心理は、子どもじみているというよりも、とても幼稚で未熟。

 この赤ちゃん並みの自己愛の持ち主が自己愛性パーソナリティ人格障害なのです。


●自己愛性パーソナリティ障害の困ったところとは?

 自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分のためなら、平気で他人を利用しようとします。

 自分のために親兄弟を含める他人が、どのような思いをしてもお構いなしといってもいいでしょう。

 自分を特別と思い、自分を主人公にした誇大な妄想にふけったり、世間がそんな自分を受け入れないとわかると、『ひきこもり』になったり、妄想の世界で王者になろうとしたりもします。

 また、ときには、自分を大きく見せるために、嘘をついたりもします。

 そして他人から中傷されたり、“特別あつかいをしてくれなかった”というだけで、簡単に傷付き、怒りをあらわにしたり、時には自殺を謀ろうとさえしてしまいます。

 時には、特別あつかいされなかったということで、うつ病になったり、パニック障害になったりする場合もあります。


●本当の自分を愛せないのが自己愛性パーソナリティ障害

 自己愛性パーソナリティ障害の人は、本当の自分を愛せません。本当の自分を、そのまま受け入れることができず、妄想上の自分を愛しているのです。

 人は誰でも、自分を愛することが必要なのですが、それには、本当の自分を受け入れるという事をしなければなりません。

 人は自分を愛する以上に他人を愛することができません。本当の自分を十分に愛せる人は、他人もまた十分に愛することができるのです。

 だから妄想上の自分を愛している自己愛性パーソナリティ障害の人は、他人を本当に愛することができず、自己中心的になってしまうのです。


●必要なのはありのままの自分を愛すること

 人間は生まれたばかりのとき、つまり赤ちゃんの時代が、もっとも自己中心的です。

 お腹が空いたといっては、大声で泣き、不愉快なことがあると、一切我慢をしないで喚き散らします。

 親がいくら忙しくても、疲れていてもお構いなし。親や他人の迷惑は一切お構いなしです。

 自己愛性パーソナリティ障害も、その原因は他のパーソナリティ障害と同じように、母子関係の分離がうまくできず、赤ちゃんのときの自己中心性を残してしまっていると言えるでしょう。

 そして成長後、本当の自分を愛せないがゆえの、歪んだ自己愛を主張し、他人を見下したりするのですが、現実では、そのために人に嫌われたり迷惑をかけ、打ちのめされてしまいます。

 自己愛性パーソナリティ障害に限らず、そして楽で楽しく生きるためには、自分を誇大にも過小にも評価せず、まず【ありのままの自分を受け入れて愛する】というのが必要です。


●まとめ

・自己愛性パーソナリティ障害の自己愛はとても幼稚です。

・人間を見下すことで、自分のプライドを守ろうとしたり、快感を覚えたりします。

・歪んた偽りの自分を愛しているため、本当の自分を愛せず、また他人を本当に愛することができません。

・ありのままの自分、本当の自分を受け入れて愛することが必要です。






FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝



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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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