第6回心の病気を考える「回避性パーソナリティ障害」


●ひきこもりに多い回避性パーソナリティ障害

『ひきこもり』がもっとも、多いといわれているパーソナリティ障害に、回避性パーソナリティ障害があります。

 と言っても、回避性パーソナリティ障害について、よくわからない人のために、その診断基準を述べておきましょう。

1,人からの批判、拒否、拒絶をあまりにも恐れるために、仕事上大切な人と会わなければならないような状況を避ける。


2, 好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたいと思わない。


3, 恥をかかされること、バカにされることを恐れるために、親密な間柄でも遠慮がちである。


4, 社会的状況の中では、批判されはしないだろうか、拒絶されはしないだろうかと心を奪われる。


5, 自分が人とうまくつきあえないと感じるため、新しい人間関係を築けない。


6, 自分は社会的に不適切な人間で、長所がなく、人より劣っていると思っている。


7, 恥ずかしいことになるかも知れないと言う理由で、何かにチャレンジしたり、新しいことをはじめたりすることに異常なほど消極的である


 ひきこもり系の人には心当たりがある人も多かったのではないでしょうか?

 この7つのうち4つ以上が、病院の診断で該当すれば、あなたはもう立派な、“回避性パーソナリティ障害”ということになっちゃうかも知れません。

 回避性パーソナリティ障害の特徴は、自分が傷付くことを恐れるあまり、対人関係や行動をためらうということにあります。

 つまり、何かを行おうとする。その何かはなんでもいいんです。その何かを行おうとすると、 恥かいたらどうしょう? 

 失敗したらどうしょう? っていう恐怖感や嫌悪感が、先に立って引いてしまうという行動に出るということですね。

 失敗や恥をかくのが怖い、不安だから、なにもしない

 これが回避性パーソナリティ障害の行動パターンです。

いわゆるひきこもりやニートの人の中には「職場にいっても、失敗するに決まっているし、だったらいっそ就職なんてしなければ、むしろそのほうが安心である。部屋にひきこもっているほうが安心である」と、考える人がいますが、まさにその考え方と一緒なんです。

 恋をしても、告白してフラれるのがいやだから、何もしない。セックスをしようとしても、笑われるかも知れないから、何もしない。

 それって「自分への どうせダメだろう」 という“自己否定”なんです。


●回避性パーソナリティ障害と親子関係

 この回避性パーソナリティ障害は、親御さんとの関係が深くありそうです。つまり、これまで親御さんに、上手に誉められたことがない。

 親御さんが何気なく

「お前はなにやらせてもダメだな」

 と、言う。もうそれだけで、子どもは深く傷付き、暗示にかかる。

 本当は否定的なことは、なるべく言わないほうがいいんですけど、万が一言ってしまった場合でも、その後にうまくフォローを入れればいいんです。


「はじめは出来なくて当たり前。こうすれば出来るんだよ、お母さんがやってみせるから、あなたもやってみて……、ほら、できたじゃない。あまりうまくはないけど、練習をしていけばできるようになるわよ」


 こう言う風に、何回も何回も繰り返していけば、少しずつ自ら行動していくようになるもの。

 子どもが行動を始めたときに、よほどのことがない限り、行動を否定・批難はしないこと。

 日常生活でも、あまり必要以上に干渉しないこと、

 子どもさんの世界に侵入しないことですね。


●小さな成功体験を繰り返し自信をつけ自己肯定感を高めましょう

 また、回避性パーソナリティ障害は、自信というものをいろいろな面で育ててこなかったともいえます。

 自信というのは、自分で思う自信だけでは十分ではなく、他者からの賞賛や受容がないと、本当の自信にはなり得ないんです。

 だから、あまりうまくいっていない子どもに、一方的に、「自信をもて!」って言っても、自信をもつのは難しいんです。

 自分の評価と他人の評価が、ある程度近づいて、それ“よし”とされるものであれば、少しずつ自信につながっていきます。

 それも、一度や二度ではなく、何回も失敗して、何回も成功をしてやっと自信になるんです。

 もしいま、周囲に自分を評価してくれる人がいない場合、ささやかで小さな挑戦を繰り返し、ささやかな成功体験を繰り返してください。

 それがやがて自信となり、自己否定を薄れさせ自己肯定感を高めてくれることでしょう。


 だから本当の自信を得るためには、何年もかかるものと思っていいでしょう。

 あと日本人の多くは、回避性パーソナリティ障害の一面を持っているような気もします。

 言いたいことがあっても我慢する。何かあっても謙遜する。そんな文化風土がありますし、日本人は、全体的に対人恐怖症、外国人恐怖症みたいなものがあるみたいですものね。

 恥、かいてもいいじゃないですか。

これは、当事者だけでなく、親御さんにもいいたいことでもありますね。


●まとめ

・回避性パーソナリティ障害はひきこもり系に多い障害です。

・回避性パーソナリティ障害の特徴は、自分が傷付くことを恐れるあまり、対人関係や行動をためらうということにあります。

・回避性パーソナリティ障害は自己否定をしている障害です。

・小さな挑戦を繰り返し、ささやかな成功体験を重ねることで、自己肯定感が高まります。






FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝



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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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