第5回心の病気を考える「パーソナリティ障害」
パーソナリティ障害といわれる障害があります。
以前は人格障害という言い方でしたが「人格が障害されている」という言い方があまりよろしくないということで、パーソナリティ(個性・人柄)障害といわれるようになりました。
このパーソナリティ(パーソナリティ)障害という言い方は、アメリカ式の言い方で、ドイツ式では【性格異常】とか【異常性格】なんていうそうです。
どっちにしても、ヒドイ言い方であることには違いなく、こんな病名を付けられたら、返って傷付いてしまうのではないかなどと思ってしまいます。
まあ名称のことは置いておくとして、障害とか異常と言われるということは、正常とされる状態から逸脱しているということでもあり、そのため本人や周囲が困っているということでもあります。
●パーソナリティ障害とは?
パーソナリティ障害には
妄想性パーソナリティ障害
統合失調症質パーソナリティ障害
統合失調症性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害
反社会性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害
依存性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害
強迫性パーソナリティ障害
などがあるわけなんですが、精神科医の岡田尊司氏の『パーソナリティ障害の時代』という著書によると、各種パーソナリティ障害の共通項が書かれています。
1, 自分への強い執着
2, 傷付きやすく過剰に反応しやすい
3, 両極端な思考に陥りやすい
というものだそうです。
つまり、過剰・もしくは歪んだ自己愛を持ち、オール・オア・ナッシング(全てかゼロか)という偏った思考の持ち主ということになるのでしょう。
●生きづらさを抱える人に多いパーソナリティ障害
生きづらさを抱え込んでいる人には、明らかにパーソナリティ障害という症状の人もいますし、また、軽度のパーソナリティ障害であると思われる人がいます。
このパーソナリティ障害というもののやっかいなところは、確実な治療法というものがないということです。
パーソナリティ障害というのは、その人の持って生まれた性格、もしくは生れ落ちてから育っていく過程におけるときに身につけた性格であるということらしいのです。
つまりパーソナリティ障害は、その人の性格であるがゆえ、疾病とは言い切れない。それゆえ、パーソナリティ障害に特別に効く薬というのはなく、特にこれといった治療法もない。
ということであるらしいのです。
よって、パーソナリティ障害の治療というのは、性格改善ということになります。
そこで『性格は変わるのか?』という疑問が出てくるのですが、最近の脳医学によると、かつて性格は変わらないと思われていたのですが、どうもそうではないらしいんですね。
ただし、幼少期から培ってきた心の習慣や癖が性格の一部となっておりますので、それを変えようというのは、困難であることには、違いありません。
各種パーソナリティ障害はすべてに『生きづらさ』と関係があると思われるのですが、次回より
回避性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害
の三つについて述べてみたいと思います。
● まとめ
・ 各種パーソナリティ障害の共通項として「自分への強い執着」「傷付きやすく過剰に反応しやすい」「両極端な思考に陥りやすい」がある。
・ パーソナリティ障害の治療とは「性格改善」が目標となる。
・ 各種パーソナリティ障害はすべてに『生きづらさ』と関係がある。
FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝
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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。
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