◆FHN放送局 第68回放送【うつ病は心の風邪なんかじゃない! その2】

【初回配信日】 2009年12月09日


【出演】 巨椋 修(おぐら おさむ)、ディレクター・ミタニ



●解説



うつ病の薬について

今回は、なぜ、うつ病は風邪というほど簡単なものとは言えないのかという1番の理由である「うつ病の薬」についてお送りします。

風邪薬は飲んで何時間かすると効果が出ますが、うつ病の薬というのは、飲み始めて効果が出るまで、2週間〜3カ月ほどの時間が必要です。

どんなに早くても2週間、風邪ならとっくに治っていておかしくない時間のはず。

また、うつ病の薬は人によって合う合わないがあり、十人十色。

あるAの薬を2週間〜3カ月飲み続け、効果が見られないようであれば、Aの薬を減らしていきつつ、Bの薬をまた2週間〜3カ月試していく、これを繰り返して自分に合う薬を見つけていきます。

これはお医者さんも試してみないとわかりません(苦笑)

そして合う薬が見つかり、症状が良くなっても、そこで薬を止めてしまえば、元に戻ったり、前以上にひどくなってしまう恐れがあるため、よくなってから半年〜1年間は薬を飲み続けなくてはいけません。



うつ病の薬は一体どれだけあるのか?

うつ病に使用する抗うつ薬と呼ばれるものは、十数種類の薬があるといわれています。

これらを元に考えると、仮に効果があらわれるのに3カ月かかる薬を2回試し、3回目で合う薬が見つかって治療するとしても、薬を見つけるだけで、9カ月かかり、良くなってからも1年間飲み続けるとすれば、1年9ヵ月足す治療期間と長期間になってしまうのです。

仮に治療期間が半年とすれば、2年3カ月の通院、服薬が必要となります。

もちろん、はじめの薬が自分に合い、早期発見・早期治療が行われれば、半年ほどで良くなる場合も十分考えられますが、年単位で長期戦の覚悟をしておくに越したことはないはず。

薬も大量服薬をしてしまったり、正しく飲んでいなければお医者さんも効いているのかいないのかの見極めが出来ません。

そして薬には副作用も付き物、自分がどんな副作用が出ているか、薬が効いているかどうか、お医者さんと良い信頼関係を作って治療を共に行っていくことが大切になってきます。



■こころの薬を飲むということ

こころの病気で出される薬に対し、抵抗がある人が多い事はよくわかります。

私もそうでした。

今まで培ってきた自分というものが変わってしまうのではないかという恐怖。

薬に頼る事に対しての屈辱。

漠然とした不安感。

私には、個人的体験談を語る事しか出来ません。

うつ病を含め15年ほど、こころの薬と呼ばれるものを飲んでいますが、自分が別人格になった気もしませんし、核となるもの(例えば、物の見方や考え方)は何も変わっていません。

目の悪い人がメガネやコンタクトをして生活をしているように、高血圧の人が、毎日薬を飲むように、薬を飲まずに辛い日々を過ごすのなら、薬を飲んですこやかな日々を送って欲しい。

健康な生活を送ることを第一に優先して考えて欲しいと願ってやみません。



■ポイント

うつ病の薬は十人十色(合う合わないに個人差があり、2週間〜3カ月経たないと効果は出ません)。

・良くなってからも半年から1年は薬を飲み続ける必要があります。

・長期戦を覚悟しましょう。

・自己判断は禁物、お医者さんとの信頼関係を築きましょう。



■補足

向精神薬と抗精神薬の違いについて

一般的に精神科で処方される薬の総称を向精神薬と呼びます。

そして、その向精神薬をさらに分類していくと抗精神薬、抗うつ薬抗不安薬などの薬にわかれていきます。


・薬の副作用について

一般に、口の渇き、便秘、排尿障害、頻脈、立ちくらみ、勃起障害、体重増加などが表れる可能性があります。


次回は私、ディレクター・ミタニの体験に基づいた、うつ病回復への3つのステップをお送りします。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。



不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局
ディレクター・ミタニ