◆FHN放送局 第69回放送【うつ病は心の風邪なんかじゃない! その3】


好評の【【うつ病心の風邪なんかじゃない!】、第3弾です。

今回は、ディレクター・ミタニが、自らの経験も書き記してくれています。
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◆FHN放送局 第69回放送【うつ病心の風邪なんかじゃない! その3】

【初回配信日】 2009年12月17日

【出演】 巨椋 修(おぐら おさむ)、ディレクター・ミタニ



●解説

うつ病回復への3つのステップ〜ディレクター・ミタニの経験より〜
ここまでは、第1回でうつ病は風邪のように甘く見ていい病気ではない事。
第2回、薬の効果は十人十色で、効き始めるまで、とても時間がかかってしまうことが、簡単に治らないひとつの原因である事をお伝えしてました。

今回はうつ病歴10年、私、ディレクター・ミタニの体験を元に、うつ病回復への3つのステップをお伝えさせていただきます。


うつ病は3歩進んで2歩下がる
うつ病は右肩上がりで良くなっていくものではなく、グラフにすると良くなったり、悪くなったり、上がったり下がったりをジグザグに繰り返して、少しづつ少しづつ回復していきます。

当時の私は一喜一憂を繰り返しては、何度も絶望し、調子に乗り、失敗し、この暗闇を抜け出す日は本当に来るのだろうか?
常に思い、明るい未来なんて思い描くことはとても出来ませんでした。

「ただ前に・・・」自分の出来る範囲の一歩一歩が必ずこの先へ繋がっている、そう言い聞かせながら、いや、それ以外に有効だった方法がありませんでした(苦笑)

あがきながら、この一歩、一歩がいつかへと繋がっていると信じて・・・

3歩進んで2歩下がる、有名なフレーズですが、たとえ2歩下がっても、一歩、いや半歩でも進んでいる。

その一歩一歩が、今だからこそわかる、大切な積み重ねでした。


■ステップ1 心にたなをつくろう!
まず始めに一番大切な事は休むことです。

自分に合う薬を見つけ出し、十分な休養を取って下さい。

死にたい、消えたい、殺したい、自分に生きる資格はない等等は、すべて病気が引き起こしているもの。

でも、そんなことを言われても、今、苦しんでいる人には信じられないと思います。

なので、いったん、心にたなを作り、そこへ置いておいて欲しいのです。

きっと、色々と考えてしまうとは思いますが、休養と自分に合った薬を見つける事に専念して下さい。


・当時の自分

この当時の自分ときたら、思うように動けない自分へのイラ立ちで、自分が憎くて憎くて、嫌で嫌で仕方ありませんでした。

死にたいでも、消えたいでもない、自分に対する憎悪。

自分を殺したい、一体なんで何も出来ずこんな事をしてるんだ、負の感情だけに支配され、とてつもない疲労感やしめつけられる頭痛、ゆううつな気分、ほんのささいな、体を動かす事さえおっくうで、かつ、エネルギーを必要とし、苦しみだけの毎日。

どうしても外出しなくてはいけない時は、もやのかかったような頭で、疲れきってる重い体をひきづるように動かし、満足に動けない、考えられないまま、ゾンビのように外出して行きました。

そして、翌日からは外へ出たというだけでエネルギーを使い果たし、3日〜1週間、それこそ次に無理やり外に出なくてはならない時まで、横になりながら自分を恨み、呪い続けていました。

調子が悪くなっている時、ふらつきながら外出しようとする姿を見るに見かねた妹に、目の焦点が合ってないよ!と心配され、外出を止められたことも(苦笑)


■ステップ2 自分の思う事の3割でも出来れば大成功!
体を動かせるようになってきたら、少しづつ外に出て、散歩など適度に体を動かしたり、外の日の光や外の空気を体に取り込みましょう。

この時に大切な事は決してムリをしない事。

この時点で元の自分に戻る事も、職場などの元の環境に戻る事もまだ無理。

焦って、職場復帰をしたり、無理をすると逆に悪化したり、元に戻ってしまいます。

自分がしようと思う事、出来ると思っている事の3割でも出来れば大成功。

人生七転び八起き、まだ回復過程の途中です、一歩一歩出来る事を積み上げていく気持ちを忘れないで欲しいのです。


・当時の自分

雨の日以外は、一度は外に出て外の空気を吸う、日の光を浴びる、散歩を少しづつする事から始め、ソフトボール素手で、右手で投げて左手で取る、左手で投げて右手で取るといった壁あて、左・右でバットの素振り、ペン字の練習、指運動。

適度に脳に刺激を与えているような気がする事や、体を動かす事を行い、誰に見せるものでもない自分だけの日記を手書きでつけ始めました。

この日記は後々、なんでこんな事が出来ないんだと絶望した時、心がくじけそうになった時、以前はもっと思うようにいかなくて、あがいていた自分の記録を見る事で、過去の自分に勇気づけられたりもしました。

常に頭はボーっとしているので、出かけるたびに色々な物を失くして帰ってきたり、どうしても行かなくてはならなかった旅行では、薬を失くしたと思い、半狂乱でパニックを起こしたり。

人から面と向かってキチガイとののしられた事も、キチガイと陰口をたたかれている現場に何度も出食わしたりもしました。

そんな時でも、出来る範囲の事を一つ一つ積み重ねていく事「あせらない・あわてない・あきらめない」ただ一歩一歩の積み重ねでした。

この時期は腹八分と同じような感覚で、まだまだ出来るなと思えるくらい、だいたい自分が出来ると思う事の3割ぐらいの行動だけに留めておくのが良いと思います。


■ステップ3 自分を見つめなおそう
うつ病は再発率の高い病気の上、生涯一度だけかかるというものではありません。

風邪をひきやすい人が、手洗いやうがいを日常心がけて風邪を予防するように、うつ病も、ものの見方を変える事や、考え方を変えてみる事で、だいぶ再発を防ぐ事が出来るといわれています。

調子が戻ってきたら、自分を見つめなおしてみませんか?

犯人探しという事ではなく、原因を見つめなおし、どんな物事の捉え方、行動をしていたせいか?
また、もし次に同じ状況になった時に自分はどうすればいいのか?
自分のうつに対する、ストレスに対する傾向と対策を練りましょう。

あまりきれいに物事を考える事は嫌いなのですが、これをひとつの成長のチャンスと捉えることは出来ないでしょうか?


・現在の自分

過去を振り返ると、完全主義者で100%達成出来ないといけない、80%では意味がないと思う自分がいました。

自分の限界がわからず、限界を超えて色々物事を抱え込み、また、それを自分ひとりで解決しようとしていまう自分がいました。

努力すればなんだって出来る、と思う自分。

逃げることは恥ずかしいことだ、と思う自分。

自分が大嫌いだ、と思う自分。

まっすぐな折れない心が強く正しい、と思う自分。

極端がかっこいい、と思う自分。

気持ちの切り替えが下手で、物事の優先順位を決める事が苦手でした。

番組では闘病中と紹介されていますが、今はうつ病と戦っているという感覚はなく、うつ病と共存している気分で生活しています。

うつ病になった事で、自分というパートナーとこれからも一緒にゆるゆるとあがいて、のたうちまわって、七転八倒していこうと思う日々です。

長文、お読みいただきましてありがとうございました。

そんな、ゾンビのようだった自分が、今では病気の人?と逆に疑われる姿を、もし、万が一、誰かのほんのわずかな希望になるのであれば、動画も見ていただけると幸いです。

次回はもう少し明るい話題を(苦笑)

うつ病治療の未来」についてお送りする予定です。

ありがとうございました。



不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局
ディレクター・ミタニ