いわゆるプライドではなく誇りと自尊心を持ちましょう
●プライドを日本語になおすと
ひきこもりに詳しい精神科医の斉藤環氏が「ひきこもりの人はプライドが高い」とモノの本に書いていたことがあります。
ここで一つ読者に考えていただきたいのですが、あなたは『プライドが高い人』とはどのような人だと思いますでしょうか?
やたら威張っていて人に頭を下げるのが嫌いな人と思ったかも知れません。
おごり高ぶって自惚れている人と思ったかも知れません。
高飛車で傲慢な人と思ったかもしれません。
しかしこれらは本物のプライドではありません。
本物のプライドを日本語でいうと“誇り”です。
つまり本当の意味での「プライドが高い人」とは「誇り高き人」という意味です。
日本語の“誇り”は、他人に対しても使います。例えば友人に対して「私はキミを誇りに思うよ」とか。
プライドという言葉はこのようにネガティブな意味と、ポジティブな意味があり、どちらかというとネガティブに使われることも多いようですね。
●不登校・ひきこもり・ニート系のプライドとは「恥」と「見栄」
では不登校・ひきこもり・ニート系の人たちのプライドとはどういうものでしょうか?
私はそれを「恥ずかしい」「いまさらカッコ悪い」といった意味ではないかと推測しています。
これもどちらかというとネガティブな意味でのプライドと言えるのではないでしょうか?
●ナルシズムとプライド
パーソナリティ(人格)障害の一つに自己愛性パーソナリティ障害というものがあります。ありのままの自分を認められず、自分は素特別で偉大な存在でなければならないと思い込む障害ですが、俗にナルシストと呼ばれる人たちもその一種です。
診断基準は次のようになります。
1.自己の重要性に関する誇大な感覚をもっている
2.限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている
3.自分が「特別」であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)しか理解されない、または関係があるべきだと信じている
4.過剰な称賛を求める
5.特権意識、つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する
6.対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する
7.共感の欠如: 他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない
8.しばしば、他人に嫉妬するまたは他人が自分に嫉妬していると思い込む
9.尊大で傲慢な行動、または態度をとる
「はい」が5つ以上みられる場合は、自己愛性パーソナリティ障害の疑いがあると考えていいそうです。
ここで気が付きませんか? 後半のほうは前述したネガティブな意味での「プライドが高い人」とかなり被っているように思えますよね。
●ナルシストは自尊心が実は低い
ネガティブな意味で「プライドが高い人」や「ナルシストの人」は、実のところ凄く自尊心(自己評価・自己肯定感)が低いのですよ。
自尊心が低いからこそ、「なぜこんなに凄い私を認めてくれないんだ!」と怒ります。
自尊心が低いからこそ、自分より評価が上だと思っている人に対して悪口をいい、バッシングをし、何とかして自分と同じか、自分以下の位置まで落そうとします。
自尊心が低いからこそ、自分より下だと思った人を馬鹿にし、自分より弱い人に威張ります。
自尊心が高い人は、自信があり、自己肯定感も高く、自分で自分を認めているわけですから、自分より評価が高い人がいても、卑屈になることも嫉妬を抱くこともなく、普通に「すごいね」と認めることができます。
自尊心が高い人は、世間的に自分より評価が低い人にも対等に付き合います。そして自分より弱い人には助けの手を伸ばします。
なぜならば、自尊心・自己肯定感は自分を通して人も同じように認めるということなのです。いってみれば、心の視点を高くしていくことと似ています。
心から自分というものが魂のように抜けて高い場所からみると、どんなに身体の大きな人でも小さな人でも、所詮は大差ないものということがわかります。
視点を雲の上あたりまで上げると、人間など皆同じに見えてきます。これが神や天使の視点です。
これ宗教なら「人は神の目から見て平等」ということになるのだと思います。神や天使の目から人を見るように見るとしたら、人間などどんな人の大差ないのだから、大金持ちに卑屈になることもありませんし、弱者に威張ることもありません。
自尊心を高めるというのはそういうことだと思うのです。
いわゆるネガティブなプライドではなく、真の誇りと真の自尊心を持ちましょう。
FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)
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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。
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