在日叩きをするよりももっと大切なことがあるはずだ
●このチラシは本当か?
少し前ですが、ネット上で次のようなチラシを見たことがあります。
パッとみて、思わず吹き出しそうになりました。
まず【人口比わずか0.5% 64万人の在日朝鮮人の内、46万人が無職で 年計2兆3千億円が 在日朝鮮人の生活保護費として使われているのをご存知ですか? 】
いや〜、これはどうやら12年の頃大阪で撒かれたチラシであるそうなのですが、これを書いた人や作った人、賛同して拡散している人は、もしかしたら、小学校の算数ができないのではないでしょうか(苦笑)?
64万人の在日朝鮮人の内、46万人が無職で、彼らのために使われている生活保護費が 年計2兆3千億!
えっと・・・ このチラシを作った人の考えはどうやら、2兆3千億÷49万人=5百万円というものらしいですね。
つまり在日朝鮮人の生活保護受給者は年500万円もらっていると、このチラシを作った人は訴えているわけです。
でもチラシにはこうも書かれています。
【働かずに年600万円貰って遊んで暮らす優雅な生活】
む・・・ 500万のはずが、いきなり600万円になってる。これでは計算が合わないではないか(笑)!
ちなみに生活保護の、総額は現在3兆7千万円超ですが、そのうち2兆3千億円が、在日朝鮮人が受け取っていると訴えているわけです。
政府統計における在日朝鮮韓国人の中で、どれくらいの人が2015年度だとどれくらいいるかというと、 2万9549世帯です。
(政府統計『1-26 世帯主が外国籍の被保護世帯数、世帯主の国籍・世帯人員・世帯類型別』より)
仮に在日朝鮮韓国人の生活保護者受給2万9549世帯が、2兆3千億をもらっているとしたら・・・
2兆3千万円÷29549世帯=7千7百83万6813円!
本当に在日朝鮮韓国人の生活保護者受給2万9549世帯が、2兆3千億をもらっているとしたら、一世帯で7千7百83万6813円貰っていることになる(笑)!!
どこからこの2兆3千万という数字や、在日朝鮮韓国人の生活保護受給者数46万人という数字を出してきたのかは、わかりませんが、これはさすがに常識がないといわれても仕方ないでありましょう。
●生活保護受給者に在日朝鮮韓国人は多いのか?
さて、このチラシを作った人は、どうやら『在日朝鮮韓国人無職者=生活保護受給者』と考えているらしいのですが、もちろんそんなことはありません。
では、生活保護受給者は、この国でどれくらいの人がいるのでしょうか?
政府統計によると、 156万2754世帯です。
被保護者調査 平成25年度被保護者調査 年次調査(個別調査)平成25年7月末日現在 年次 2013年 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口(平成25年度被保護者調査 年次調査(個別調査)平成25年7月末日現在 )
そして、在日朝鮮韓国人の受給世帯は2万9549世帯。
156万2754世帯÷156万2754世帯×100=1.89パーセント
わずかに在日朝鮮韓国人の生活保護受給は1.89%しかいないということになります。
また、生活保護全体で見れば、生活保護を受給しているのは約97%が日本人、残り約3%が日本の国籍を有しない人というのが現実です。
日本国民と在日朝鮮韓国人比率でいうと、在日朝鮮韓国人のほうが、日本人より3割ほど多いようなのでが、それは在日朝鮮韓国人は日本人より就職等で不利であり、貧困層が多いことを表しています。
また、役所というところでは、生活保護申請が来た場合、相談時に条件さえ満たしていれば、ちゃんと受け取らなければなりません。
ところが日本の役所では『窓際作戦』とかいって、窓口相談をしたときに「あなたは働けるはず」「まだ若いから」とかいって申請用紙すら渡さないことがあります。実のところ、相談にいって申請書を渡さないというのは、法律違反なのですが、7割もの人が窓口や相談時に追い返されているのが現状です。
在日朝鮮韓国人の場合、法律にくわしい仲間と一緒に行くので、役所は窓際で追い返されにることがないということは聞いたことがあります。
当たり前ですが、日本人も貧困者支援の人や弁護士と一緒にいくと、ほぼ100%申請をすることができます。
生活保護は申請から決定(却下)までの流れとして(1)相談、(2)申請、(3)調査、(4)決定(受給、却下)という経路になりますので、申請書を提出して却下される場合もありますが、少なくとも役所が申請書を受け取らないというのは、違法だということ覚えておいてください。
もしその先、生活保護を利用しなくてはいけなくなったときや、知り合いがそういう状況になったとき、1人で行くのではなく、支援者や弁護士と一緒に行くことをおすすめします。
●在日生活保護者を叩くよりもっと大切なこと
私は一人の日本人として、在日生活保護者を叩くよりもっと大切なことがあるのではないかと考えています。
まず、いま相対的貧困者は6人に1人いると言われています。子どもの貧困も6人に1人です。
そんな貧しい世の中だからでしょうか? 上記のような在日外国人を根拠もなくおとしめることで、自分たちの誇りを高めようとする人が多くいます。
しかしこのような行為は、むしろ自分達をミジメにしているだけと感じるのは、私だけでしょうか?
2000年代半ばの時点でOECD加盟国30か国のうち、相対的貧困率が最も高かったのはメキシコ(約18.5%)、次いで2番目がトルコ(約17.5%)、3番目が米国(約17%)で、4番目に日本(約15%)だとのこと。
(参照 引用:http://www.nippon.com/ja/features/h00072/)
先進国で最悪レベルなのです。
(http://www.nippon.com/ja/features/h00072/ より)
この問題を無視し、在日外国人や諸外国を叩くことで溜飲を下げているいる人は問題から目をそむけているとしか言えないでしょう。
0.5%しかいない在日朝鮮韓国人が、もしいなくなれば、生活保護問題や日本の貧困問題が本当に解決するとでも思っているのでしょうか?
いま日本には、生活保護を受ける資格があり受けている人が2割、受けていない人が8割もいます。生活保護受給者も含めて、こういった方々を貧困層から脱出するべく考えることが、在日外国人を叩くことよりももっと大切なことなのではないでしょうか? 少なくともこの国の国民を愛しているとすれば・・・ それをせず在日外国人を叩いているだけの人は、果たしてこの国を、あるいは人類を愛しているといえるのでしょうか?
現在、日本の労働者の約4割が非正規雇用となっています。
(引用:https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/65.html より)
非正規雇用というのは、正規雇用の人と同じ職場で同じ仕事をして働いていても、給料は増えず、給料は上がらず、ちょっとした企業の都合でまっさきに首を切られる立場にいます。
いま、正規雇用の方も、非正規雇用の方も、男性も女性も、若者も高齢者も、とても生きずらい時代にあるように、私は感じています。
これをどうにかするには、まず貧困層にいる人たちや非正規雇用の人たちの待遇を変えることができるようなシステムではないでしょうか?
一度や二度、いえ、三度四度失敗しても、出発できるようなシステムではないでしょうか?
そして、個人的にはもっとしなやかにしたたかになる心の柔軟さを身につけるべきではないでしょうか?
もちろん、間違いは正す必要がありますが、在日外国人や生活保護の人を叩いて溜飲を下げている人は、全体のほんの一部だと思いますが、そのようなことで憂さ晴らしをしているようでは、この国はやがて滅びてしまうような気がします。
先日書いたこのブログ記事『学ぶ喜びも教えられず、働く喜びも感じにくく、困窮者に冷たい国』であってはいけないと私は思うのです。
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巨椋修(おぐらおさむ)
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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。
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