『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』を読んで
●絵に描いたような努力家だった丸岡さん
丸岡いずみ著『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』を完読。
まず驚いたのは、丸岡さんのハードワークぶりです。丸岡さんは最初、北海道文化放送のアナウンサーからそのキャリアをはじめます。そして29歳のときに日本テレビに入社。
常に時間に追われ、寝る時間も食事をする時間も満足にとれないほどの忙しさだったようです。
そんな忙しさのなか、不登校やひきこもりに関心があった丸岡さんは、37歳のときに早稲田大学大学院人間科学研究科に入学。休みの日は大学の勉強するという努力家ぶり。
修士論文のテーマは『一度いじめやひきこもりを経験した子どもが、将来、そういう子どもたちを支援する側に回った場合の効果』というものだったそうです。丸岡さんひきこもりや不登校支援に関心があったのですね。
そんな丸岡さんはワイドショーの『ミヤネ屋』で人気となり、やがて『news every.』キャスターに就任。押しも押されもしない人気アナウンサーになります。
そんなときに東日本大震災。このあたりから、丸岡さんの身心が少しずつ悲鳴をあげてきます。食欲がなく夜眠ることができない毎日を送っていたそうです。
そして休職し故郷の徳島でうつ病と診断され病気療養。
●うつ病への偏見のため薬を飲まなかった
丸岡さんはいとこが勤める病院に入院し、そこから精神科に通うようになるのですが、しかし精神科の薬は飲まなかったそうです。
理由は精神科の薬に対する偏見と不安。
もうひとつは大学院で「認知行動療法」を学んでいたため、自分で治せると考えていたこと。
薬の飲まないために、うつ病はどんどん悪化していきます。眠れない、食べられない苦しみは続き、やがて自殺を考えてしまうほどに・・・
また自分の体調の悪さは「お母さんがヒ素を食べさせているんだ」という妄想まで出て来たといいます。
そんなときに過換気症候群を起こして、精神科に入院することになります。
精神科では、看護師さんがちゃんと薬を飲むかを監視しているため、いままでのように薬を飲まないですますことはできず、ここでようやくちゃんとした薬物療法を受けることができるようになりました。
すると2週間くらいで見る見る回復していったといいます。
●薬を勝手にやめたり減らしたり、飲まないという行動はかえって病気を悪くする
丸岡さんの場合、精神科のドクターととても相性が良かったことと、また、抗うつ剤との相性も良かったのでしょう。しかしうつ病で病院に通う人の中には、ドクターの合わなかったり、薬の合わなかったりすることもあるのだとか。
私はいま精神科の薬について、いろいろと調べていて、抗うつ剤の場合、効くまでに2〜4週間ほどかかり、正作用よりも副作用が先に出てくることも多いのだそうです。
そのため、効く前にやめたり減らしたりする患者さんも多く、また勝手に減らしたりやめたりすることをドクターに言わない患者さんも多く、そのためかえって悪くなってしまうことが少なくないそうなのです。(丸岡さんの場合も、まさにそれですね)
また、ネットにはいろいろと精神科の薬を悪く書いている記事もたくさんあり、それらを読んでしまうと不安になるのはわかりますが、正直、専門家でもない人が書いたネット情報はかなり怪しいものです。
たとえば多くの人が利用しているウィキペディアの医学情報も90%に間違いや欠陥があることが発表されているくらいです。
(参照:『Wikipediaの病気についてのページは、90%が間違い:米医師調べ』)
どうやらネットの医学情報はあまり間に受けないようにした方がよさそうです。やはり、薬についての疑問は、専門医か専門の薬剤師さんに直接相談したほうが良さそうです。
(私の知人にも、ネットの医学情報を鵜呑みにして、自分で薬をやめてしまい、その後問題行動を起こしてしまい、自分と周囲に迷惑をかけてしまった人がいます)
全然関係のない話しをひとつ。丸岡いずみさんの旦那さんは映画評論家の有村崑さんですが、何度かお会いしたことがあります。
この写真は有村さんと丸岡さんがお付き合いをはじめる半年くらい前だと思います。
さて、今回ご紹介した『仕事休んでうつ地獄に行ってきた』は大変読みやすい本でした。機会があればぜひご一読くださいませ。
FHN放送局
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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。
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