江戸時代の子育て

●江戸・明治時代、体罰や虐待なく親がかんしゃくを起こすこともなかった

以前にも「昔の日本式教育法」についてブログに書いたことがありました。

要点をいうと、


江戸時代後期に来日したカール・ツンベルクというスウェーデン人は、その紀行文のなかで


「注目すべきことに、この国ではどこでも子どもをムチ打つことはほとんどない。

子どもに対する禁止や不平の言葉はめったに聞かれないし、家庭でも船でも子どもを打つ、叩く、殴るといったことはほとんどなかった」

イギリスの書記官オリファント「子供の虐待を見たことがない」と述べています。


明治維新後に来日したアメリカ人の動物学者エドワード・シルベスター・モースは、

「また私は、いままでのところ、お母さんが赤坊に対してかんしゃくを起こしているのを一度も見ていない。

私は世界中に日本ほど赤ん坊のために尽くす国はなく、また日本の赤ん坊ほどよい赤ん坊は世界中にいないと確信する」

「いろいろなことがらのなかで外国人の筆者たちがひとり残らず一致することがある。

それは日本が子どもたちの天国だということである。


この国の子どもたちは親切に取り扱われるだけでなく、他のいずれの国の子どもたちよりも多くの自由を持ち、その自由を濫用することはより少なく(中略)


日本の子どもたちが受ける恩恵と特典から考えると、彼等はいかにも甘やかされて増長してしまいそうであるが、しかし世界中で両親を敬愛し、老年者を尊敬すること日本の子どもほどのものはいない」

戦国時代に日本にやってきた宣教師ルイス・フロイス


「日本人は子供を叱る時に決して暴力を振るわない。六歳の子供相手でも老人に対するかのような言葉使いで教え諭す」

これらの外国人の言葉をまとめると「子どもに体罰を与えない」「親がかんしゃくを起すことはめったにない」「一見、甘やかしているようであるが、日本の子どもは、両親を敬愛し、老人も尊敬している」

ということになります。



●自分の子どもも他人の子どもも愛し誇りに思った日本人

イザ ベラ・バードというイギリスの女性旅行家が、明治11年に来日したとき、日本の子どもについて次のように書き残しています。


「これほど自分の子どもを可愛がる人々を見たことがない。抱いたり、背負ったり、歩くときには手をとり、子どもの遊戯.をじっと見ていたり、参加したり、いつも新しい玩具をやり、遠足や祭りに連れて行き、子どもがいないとつまらなそうである。


他人の子どもにも、愛情をもって世話をする。父も母も、自分の子に誇りをもっている。」


イギリスの詩人エドウィン・アーノルドは明治22年に来日し次のような文を残しています。

 「街はほぼ完全に子どもたちのものだ。」



●江戸時代は父親も積極的に子育てに参加していた

江戸時代の後期、ペリーが来る前に、外敵が海からやっていると警告の書を書いた経世家林子平は『父子訓』という本を出し、子育ての最終責任者は“父親”であることが記しています。

江戸時代、身分関係なく子育ての中心は父親。おとうさんがおんぶしてあやしている姿は珍しいものではなかったといいます。



また、儒学者軍学者山鹿素行は『山鹿語録』に、父親主導の子育てについて「遺言しなくて済むことが理想の父親」と記しているようです。


また。江戸末期から明治にやってきた外国人たちは、皆日本の父親たちが子どもと一緒に遊んだり、子守りをしている姿を目撃し驚いています。


日本人はもともと、とても子どもを可愛がる国民でした。いまはどうなんでしょう?


新しい公園や保育園が出来ると「うるさい」とクレームの嵐。


国では、子育て支援、女性の活躍とかいいながら、混んでいる電車にベビーカーを持ち込むとクレームを言われることもあり、子どもが泣くと親に文句をいう人も少なくありません。


少子化問題は大変だといいながら、待機児童の問題は改善されず、男性政治家が育休を取ろうとすると、文句を言う人がたくさにいる始末。


いまの時代ほど、この国での子育てが困難な時代はないのかも知れません。


そんな時代だからこそ、いま子どもを育てているお父さんお母さんを応援しなくてはいけないのだと、私は思います。


※ちなみに旧日本軍による体罰日中戦争以降に行われるようになったようです。またその影響からか、学校でも体罰をやるようになったようです。(参照:『少年犯罪データベースドア 戦前は学校でも軍隊でも体罰が絶対禁止だった』




 FHN放送局
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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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