第3回 心の病気を考える「心の病気は誤解が多い」


●一生のうち4〜5人に1人がかかる精神疾患

 心の病気というのは、他の病気と比べてとても誤解が多い病気なのではないでしょうか?

 それゆえに、自分が精神的にとてもつらい状態になったとしても、病院に行きたがらなかったり、周囲の人も行かせたがなかったりすることもあるように聞きます。

 また、精神科や心療内科に通っていても、薬に対する誤解のために「精神科の薬は危ないから……」と、服薬をやめてしまう場合もあります。

 また、精神疾患を特殊な病気と思っている人も多いようです。

 ところが、精神疾患は多くの人が思っているほど特殊な病気ではありません。

 世界保健機関(WHO)によると、世界でほぼ4人に1人が一生のうちにうつ病など何らかの精神疾患にかかっていると、2011年に発表しています。

 日本人の場合、生涯を通じて5人に1人は精神疾患にかかるといわれているしごく一般的な病気だったりします。

 
●よくある精神疾患への誤解

 では、精神疾患に対し、よくきく誤解を少し上げてみましょう。

「精神科の薬を飲み続けると、患者を薬漬けになる」

精神疾患は一生治らない」

 などなど……

 ネットを開いて調べてみると、精神科や向精神薬(精神科の薬全般をこういいます)へのバッシングの記事がこれでもかというくらい出てきます。ときには、テレビや新聞といった大手メディアも、これらのことを取り上げることがあります。

 ではこれらの精神科治療へのバッシングは正しいのでしょうか?

 答えとしては、【一部は正しい、しかし偏見と誇張、誤解が多くある】ということになることでしょう。


●精神科バッシングは本当か?

 精神疾患や精神科治療へのバッシングや誤解というのは、どれくらい信憑性があるのでしょうか?

「精神科の薬を飲み続けると、患者は薬漬けになり一生治らない」という話しはよく聞きます。

 では、患者は薬漬けになるのでしょうか?

 はい、確かに、精神科医療における薬の大量処方は問題になっており、また安易に薬を出す医者もいて問題になったりしているのは事実で、薬漬けになっている人はたくさんいます。

 向精神薬の大量処方の問題は、後日このコーナーで取り上げますので、くわしく述べることはしませんが、多くの場合、医師は薬を処方するしか時間的に余裕がなく、患者は向精神薬に多くを求めすぎる傾向があるようです。

 向精神薬には、依存性があるものや、副作用があるものが実際にあります。

 心配な人は医師に説明を求めたり、自分で聞けない人は代わりに家族に聞いて貰ったり、セカンドオピニオンを利用するといいかと思います。

 また、精神疾患は一生治らないという人がいますが、それはおそらく、かつて一生精神病院から出てこれない患者が数多くいたこと。

 他の病気と違い、精神疾患の場合『完治』とはいわず、『寛解(かんかい)』ということなどがあるかも知れません。

 寛解とは「症状が一時的もしくは永続的に良くなること」なのですが、それは精神疾患という病気は、一時的に良くなったと思っても、再発する率がとても高いからなのです。

 一生精神病院に入院したまま出てこられないことを、「社会的入院」といいますが、社会的入院とは

【医学的には入院の必要がなく、在宅での療養が可能であるにもかかわらず、ケアの担い手がいないなど家庭の事情や引き取り拒否により、病院で生活をしている状態。】
(引用:朝日新聞出版「知恵蔵2007」より)

 と、いうことなんですけど、高齢者や精神科に多いことが知られています。

 日本は世界的に精神科で長期入院する人が多いのが問題となっており、医療費削減のために、入院患者を減らそうとしているのですが、ここでも精神疾患への誤解が邪魔をしたりします。

つまり「キチ●イを野放しにしていいのか?」と心配する人がたくさんいるのです。

 また精神疾患への誤解から、家族等が引き取りたがらないということもあるようです。

 つまり誤解が誤解を生み、曲解になってしまっている場合も精神科医療の世界では多くあるようなのです。

 また、その誤解を生んでいるのは、どうやら医療や患者だけの問題ではなく日本の社会背景も関係していそうです。



●まとめ
・ 生涯で精神疾患にかかる人は4〜5人に1人いる一般的な病気です。
精神科医療では誤解が曲解になっている場合があるようです。
 





FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝



第3回 生きぞこないなう! テーマ『正義論 あなたの正義に気をつけろ!』 


第2回 生きぞこないなう! テーマ『諦め論 諦めちゃダメですか?』


第1回 生きぞこないなう! テーマ『フマジメ論 フマジメのススメ』

【脱力系TV! 生きぞこない なう!】のお知らせ。

毎月第2水曜日、午後9時放送。

↓コチラのマッハTVよりご覧いただけます。
http://ch.nicovideo.jp/machtv


スタジオ観覧のご希望(観覧料1000円)、番組で取り上げて欲しいテーマ等は

machnumberproduction@gmail.com

件名『生きぞこないなう!宛て』までお願いします。

巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

陽明門護身拳法のHPはコチラ。門下生募集中!
http://members3.jcom.home.ne.jp/yohmeimon/


門下生募集中!お問い合わせは osaogu@yahoo.co.jp まで。