第1回心の病気を考える「うつは心の風邪なんかじゃない」


●うつは心の風邪キャンペーンの功罪

「うつは心の風邪」というフレーズを聞いたことはないでしょうか?

 このフレーズは90年代の終り頃に製薬会社が打ち出したキャンペーンのキャッチコピーでした。

 このフレーズの良かったところ【功】は、それまで敷居が高かった精神病院,精神科へ、人々が足を向けやすくなったということです。

うつは風邪のように誰でもなるし、治療すれば治るんだよとキャンペーンがおこなわれたのです。

 うつは自殺という死と隣り合わせの病気です。

 そんな病気と闘っている患者さんに「ちゃんと治療したら治るんだよ」と希望を与えるフレーズだったのです。

 では【罪】は何かというと、多くの人は「なんだ風程度か」と、うつ病を軽くみてしまう傾向が出てきたことです。

 実際、人が一生の間にうつ病にかかる確率は、6人に1人とも10人に1人ともいわれていて、決してめずらしい病気ではありません。

 つまり、風邪のように誰がかかってもおかしくない病気なのは事実です。

 しかし「風邪は万病のもと」「風邪をこじらせて大変なことになる」という言葉もあるように、うつ病も、こじらせてしまうと、場合によっては死にいたる病でもあるのです。


うつ病は再発率が高い病気です

 また、うつ病は大変再発率が高い病気でもあります。

「うつ」からの社会復帰ガイド」(うつ・気分障害協会編 岩波アクティブ新書刊)によると

うつ病は正しい薬物療法で75%の人が後遺障害を残さず回復し、心理療法と併用することで90%が回復する

 と、あり

 うつ病が慢性化する難知性(治療抵抗性)のうつ病は全体の10%

 さらに

 うつ病など気分障害は10年間に4回再発する

 初めてうつ病を経験された方が、病気から回復してうつ病を再発するのは、約半数の50%

 二回目のうつ病の回復後の再発率は、75%

 三回以上の場合は、回復後の再発率は、なんと90%以上

 そしてうつ病を二回以上経験された方が、今後の人生において、再発しないで過ごすということは、「一生風邪をひかない」「おなかをこわさない」というのと同じくらい難しい

と、書かれています。

 これを見ても、うつ病というのは初期治療がいかに大切であるかがわかります。


●良くなったからと勝手に服薬をやめないようにしましょう

 しかし「心の風邪」程度と、軽く見て病院にいかなかったり、自己判断で「もう良くなったから」と服薬をやめてしまったり、または「具合が悪いから」と大量に飲んだりすると、かえってこじらせてしまうことになりかねません。

 ぼくの友人に「精神科薬物療法認定薬剤師」はらけいこ先生という人がいるのですが、うつ病の薬の場合、「もう治った」と思っても半年間は同じ薬を飲み続け、それから少しずつ減薬をするくらいの慎重さが必要とのことです。

 これを「熱が下がったからもう風邪薬を飲まないでいいや」という感覚でやってしまうと、うつ病がぶりかえしてくるかも知れません。

「うつは心の風邪」というフレーズは、うつ病に対して敷居を低くしましたが、決して甘い病気ではないということです。

 また、うつ病など精神のお薬は、依存性があるものもあり、そのための薬害も報告されています。

 薬の取り扱いはお医者さんと相談しながら決められた用法容量を守ることが大切です。


●うつは食事と運動と睡眠で改善する

 最後にうつ病の人ってその病気から、どうしても不規則な生活になり、ちゃんとした食べ物を食べなかったり、早寝早起きができないとか、飲酒習慣があるとかがあります。

 つまり生活習慣が乱れている場合が多いのですが、まず規則正しい生活と、ちゃんとしたものを食べること。

 精神医学の研究で、抗うつ薬有酸素運動が同程度の効果が報告されています。しかも、再発率が運動療法の方が低く副作用なし。

 有酸素運動で改善した人は再発率は8%。

 対して抗うつ薬で改善した人は再発率は38%。

 次に食事ですが、うつ病の人のほとんどが食事問題があることがわかっています。

 食べ物では、甘い物の食べ過ぎ、タンパク質不足、ダイエットのため野菜偏重、逆に野菜不足。うつ病の人は低血糖になりやすいらしく、そうなると不安、やる気がでない、不眠といった症状が出やすくなるそうです。

 そうならないためには、甘い物を控える。肉や魚、玉子でタンパク質たくさん。

 ごはんや麺、パン類を控えて糖質を摂り過ぎないようにする。

 レバーはナッツ類、豚肉、魚を食べてビタミンB群を摂るなどなど。

 ちゃんと食事をして運動をして、ストレスを飛ばし肉体を疲れさせることで、質のいい睡眠がとれるようになります。

 お酒はうつを悪くする物質なので、病気の間はやめること。

 うつの原因となる人間関係や仕事などの環境を改善すること。

 うつ的思考習慣を改善すること。

 これだけでも薬以上に効果的と言われています。

 生活習慣、生活環境、思考習慣って大切です。

 多くの場合、これらが原因でうつ病になってしまっていることがありますので、この原因を取り除いてあげると、うつ病はかなり良くなるといわれています。

 


●まとめ
・うつは自殺という死と隣り合わせの病気です。
うつ病は大変再発率が高い病気です。
うつ病の薬は自己判断でやめてしまったりするとこじらせてしまう危険があります。
・運動、食べ物、睡眠で改善をはかりましょう。
・生活習慣、生活環境、思考習慣の改善は薬以上に効果的です。






FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝



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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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