ろくでなし社会学4 保守化&草食化する日本


●ここ20年で若者気質は大きく変わった!

 ぼくはここ20年ほどで若者の志向や性質のようなものが大きく変わったと実感しています。

  それは90年代末から2000年代のはじめあたりを境にして変わりました。

 このようなことはおそらく、終戦後にこれまでの道徳や常識が、大きく変わってから二度目のことではないかと考えています。

  1945年、日本は連合国との戦争に負け、これまでの常識がことごとく覆されました。

  そのとき子どもだった人が大人になるかならないかという1960年前後、日本の若者はこれまでになく凶暴になり、戦後もっとも未成年者の凶悪犯罪が起こっています。

  凶悪犯罪には、殺人、放火、強姦、強盗がありますが、その中でもっとも暗数(統計にあがってこない実数)が少ないと考えられる未成年者の殺人事件件数グラフをみると、いかに60年前後の若者の殺人が多かったかがわかります。


(図は『少年犯罪データベース』http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htmより引用)


●昭和と真反対の平成の若者たち

 大東亜戦争敗戦後の若者たちは、これまで大人たちがいっていたことが、戦争に負けることで、これまで【善】や【良しとされてきたこと】が、大きく変わり若者たちは大人たちを信用することができなくなったのかも知れません。

  60年前後の若者たちの一部は、その不信を暴力や犯罪という形で表してしまったのかも知れません。

 時代は戦後の貧困時代から高度成長期の時代でした。

  そして1990年代、日本はかつてないほどの豊かさを誇り、そしてバブル崩壊。これまでジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ、世界2位の経済大国にまで上り詰めた、急速に貧困大国になってしまいました。

 戦後とはまったく逆のことが起こったわけです。

  その結果、日本人、特に若者たちは自信を失い、仕事についても恋愛についても草食化となっています。これも戦後と真逆といってもいいでしょう。

  そして若者の草食化が進むと同時に、若者の保守化も進んでいるといいます。

  これも戦後昭和の若者たちが、学生運動などの流行で保守とはなく革新運動をしていたのと逆です。

  特に時代性に敏感な若者たちはそういう時代のイメージを反映しやすいのは、いまも昔も変わりません。


●昭和の若者は革新を目指し、平成の若者は保守化している

 保守と革新の説明をしますと、保守というのは「既成の思想や制度を尊重し維持するために、その変革に反対する政治的、社会的立場」

 革新は「旧来の制度・組織・方法・習慣などを改めて新しくすること。特に、政治では、現状を改革しようとする立場」ということです。

  幕末でいえば、徳川幕府を守ろうとするのが保守。倒幕して新しい政府を作ろうとしたのが革新ということですね。

  年齢でいうと若者世代は、古い習慣をぶち破って新しいシステムを作ろうする人が多くいるので革新的なことを好み、中年以降になると保守的になるといわれてきたわけです。

  ところが2000年あたりから、若者の保守化が目立つようになってきました。 その理由は何かというと、バブルの崩壊、その後の平成不況が原因でしょう。


●なぜいまの若者は保守化するのか?

 バブルの時代は、学生は遊んでいても正社員として就職できました。

 中卒でも就職できたし、あえて就職しないでフリーターでお金を稼いで海外を放浪する人もたくさんいましたし、フリーターをしながら俳優を目指すとか、漫画家を目指すなんて人が、いま以上にたくさんいました。

  景気が良かった頃は、あえて冒険ができた時代といってもいいでしょうね。 しかし景気が悪くなってくると、冒険がやりにくくなるんです。万が一失敗すると取り返しがつかなくなりますから。

  それが90年代後半に入ると、就職氷河期がきて学生が就職することがどんどん難しくなってくる。 2010年代になるとさらにひどくなっています。 若者たちは冒険するリスクがあまりにも高くなってしまったのです。

  そしてどんどん草食化もしてきました。 いわゆる肉食・草食というのは、攻撃的であるか防御的であるか、前向きであるかそうでないかということでもあります。

  いまはすごく防御的になっているということですね。

 よく若い男性が女性に対しての草食化がいわれるんですけど、これは女性も同じです。女性の社会進出とかいいながら、若い女性ほど専業主婦になりたがるようになってきています。

 そして男女とも希望する職業は公務員。 不景気の時代、人は冒険がやりにくくなるといいましたが、それは恋愛も就職も結婚も同じといえます。

 ぼくは保守化や草食化が必ずしも悪いとは思っていません。保守化・草食化もその時代に合わせた生き残りの方法ですから。いまの若者たちは、昔の若者以上に希望がない時代に生きていて、それでも必死に生き残るための戦いをしているようにさえ思えるのです。


●昭和は躁の時代、平成は鬱の時代

 革新や肉食の時代は「躁」の時代であったかも知れません。 と、すれば保守・草食の時代は「うつ」の時代といえるかも知れません。

 躁うつ病に例えれば、医者よると、うつよりも躁の時期の方が、自殺未遂をしたり、後先を考えないような問題行動をとることが多いといいます。

 20世紀が躁の時代であるとすると、世界戦争を2回も起こし、日本だと太平洋戦争の敗戦やバブル景気の崩壊を感じながらも、誰も止めることができなかったわけですから、まさしく躁病的な時代であるといえるでしょう。

  そしていまうつの時代。 うつもつらいものですが、躁にせようつにせよ、ぼくたちはいまこの時代を生きていくしかありません。

 そして、どちらにせよ、我々は少しでも生きやすいように世の中を変えていきたいものですね。


● まとめ
・昭和時代に青春を過ごした中高年層と平成の若者層とは、思考も行動も正反対です。
・昭和の若者が肉食・革新であったのに対して、平成の若者は草食・保守となっています。
・草食・保守化は生き残るための方法であり、一概に是非を決め付けることはできません。






FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝




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