虐待の裏側にあるもの


 虐待をする親を一方的に悪者にして責めるのはカンタンです。

 しかしそれで虐待が減るわけでも、それで誰かが幸せになるわけでもありません。

 虐待をする親にも、それぞれの事情や理由、原因があります。昨日の新聞に次のような記事がありました。

多い「望まない妊娠で実母が…」 虐待死の児童、10年間に546人
産経新聞 9月19日(金)11時23分配信



 虐待を受けて死亡した児童が平成25年3月までの約10年間に全国546人にのぼり、うち約2割(111人)は生後1カ月以内に死亡していたことが19日、厚生労働省のまとめで分かった。「望まない妊娠」で実母の虐待を受けたケースが多く、同省は「妊娠期から継続した支援を行う必要がある」としている。


 まとめによると、虐待死した児童のうち、365人は「身体的虐待」、145人は「ネグレクト(育児放棄)」を受けた。主な加害者は「実母」(55・7%)が最も多く、「しつけのつもりだった」(13・1%)「泣き止まないことにいらだった」(9・2%)などの動機が目立った。


 虐待通告を受けるなどして、児童相談所が関与しながら防げなかった事案は121件だった。


 年齢別では、0歳児が最多で240人。うち111人は生後1カ月以内、94人は24時間以内に死亡していた。同省が生後1カ月以内の死亡を分析すると、「望まない妊娠」だったケースが約7割に及び、医療機関で分娩したのは約1割。約6割はトイレや風呂場など自宅で出産していた。実母の年齢は19歳以下が約3割と多い一方、35〜39歳も約2割に及び、「経済的な問題が背景にあった」(同省)とみている。


 母親の約9割は妊娠届を提出せず、母子健康手帳も未発行のままだったといい、同省では「病院が妊娠と診断した際に、助産師らが相談にのれるような仕組みが必要だ」としている。


 一方、心中や心中未遂に巻き込まれて死亡した児童は、25年3月までの約9年間に394人。動機は「経済的困窮」や「保護者の精神疾患」など。実母に精神疾患があったケースは42件あり、うち20件は「鬱病」と診断されていた。


 要点を並べてみましょう。

・虐待死した児童が、平成25年3月までの約10年間に全国546人。

・546人中、365人は「身体的虐待」 145人は「ネグレクト(育児放棄)」

・加害者は実の母が過半数(55・7%)。

・理由は「しつけのつもりだった」(13・1%)「泣き止まないことにいらだった」(9・2%)

・0歳児が最多で240人。うち111人は生後1カ月以内、94人は24時間以内に死亡。

・生後1カ月以内の死亡を分析すると、「望まない妊娠」だったケースが約7割。医療機関で分娩したのは約1割。約6割は風呂場など自宅で出産。

・実母の年齢は19歳以下が約3割。35〜39歳も約2割に及び、「経済的な問題が背景にあった」。

・母親の約9割は妊娠届を提出せず、母子健康手帳も未発行。

・心中や心中未遂に巻き込まれて死亡した児童は、25年3月までの約9年間に394人。動機は「経済的困窮」や「保護者の精神疾患」など。実母に精神疾患があったケースは42件あり、うち20件は「鬱病


 これらから、いろいろな“裏側”が透けてみえてきます。

 虐待方法である「身体的虐待」と「ネグレクト(育児放棄)」が多いというのと、虐待理由は「しつけのつもりだった」「泣き止まないことにいらだった」ということから、親自身のストレスの多さや未熟さを物語っています。

 幼い子どもを叩いたり、放置するというのは、自分の感情のコントロールができず、責任も取れていないということであり、つまりは親自身がそういった教育を受けていないことを表しています。

『生後1カ月以内の死亡を分析すると、「望まない妊娠」だったケースが約7割。医療機関で分娩したのは約1割。約6割は風呂場など自宅で出産。母親の約9割は妊娠届を提出せず、母子健康手帳ををもらっていない』ということからは、医療はもちろん、公的サービスを受けない・受けられない状態であったことを表しています。

 それは母親自身が自分の妊娠・出産のことを、彼氏や家族にも相談できなかったり、相手にされなかったということでもあります。

 
 こういった母親を責めることはカンタンです。
 しかし、その母親たちの環境や心を考えてあげてください。

 きっと心細かったことでしょう。

 寂しかったことでしょう。

 悲しかったことでしょう。


 彼女たちの環境や心の中を察してなお、彼女たちを一方的に悪者にして責める人は、おそらく何かが欠落してしまった人であることでしょう。


 亡くなった赤ちゃんや子どもたち、また幸いにも亡くならなかったにせよ、虐待を受けてしまった赤ちゃんや子どもはとても不幸でかわいそうです。

 同じく、虐待をしてしまったお母さんたちも、とても不幸でかわいそうです。


 今後、少しでもこのような不幸を少なくするためには、わたしたちはいったい何ができるのでしょうか?

 そのことを考えるべきなのは、虐待をしてしまった母親やその家族だけではなく、政治や行政だけではなく、無関係のその他大勢の人たちの役割であると思います。


 人は一人では生きていけません。一人では生きていけないからこそ、わたしたちは助け合う必要があると思うのですが、いかがでしょうか?






FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)拝




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