いじめという業病

これは『カラパイア』というサイトに『統計学で見る、いじめがもたらす10の憂うべき社会的悪影響』という記事が載っていました。

いじめは、やるほうもやられるほうも、将来決していい結果を残していないようです。

就職に難をきたし、精神的に病がちになり、犯罪率があがり、自殺率があがり、いじめっ子は罪の意識に悩むなどなど、何もいいことは起きないようです。


わたしは、いじめや差別、戦争のような行動は人類の業病(前世の悪業(あくごう)の報いでかかるとされた、治りにくい病気。難病)ではないかと考えています。

つまり人類が高い頭脳をもった代償としての難病。

そんな難病であるいじめや差別、戦争を、しない・されないというのは、かなり困難なことなのかもしれません。

自分がしないように思っていても、ふと気がつけば、結果的にいじめになっていたということもあるかも知れません。

いじめられないようにしていても、いじめの対象になっている場合もあるかも知れません。

近代戦争のほとんどすべてが「平和や正義のために」行われているように、いじめや差別も「いじめや差別をなくすために」起こることさえあるのです。


わたしたちがこの業病を闘うためには、しっかりした意思が必要なのでしょうね。


FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)

統計学で見る、いじめがもたらす10の憂うべき社会的悪影響
2014年04月12日



 アメリカでは12歳から16歳までの子供たちのうち、3人に1人はいじめを受けたことがあり、その内の10人に1人が学校を退学しているそうだ。

 また、いじめを受けた子どものうち64%が誰にもその事実を報告せず、例え報告したとしても、学校側の約70%がいじめが行われている事実を認めないという。学校以外にもいじめは常時行われており、ネット上でいじめを受けたことがある子どもは35%にのぼるという。(ソース)

 いつの時代になってもいじめは繰り返され、時として被害者と加害者が入れ替わっていく。いじめは学校生活における通過儀礼のようなものだとも言われているが、社会にただならぬ悪影響を与えていることも事実である。


 通過儀礼としていじめを無事克服できればいいが、そうじゃない場合も多い。海外サイトにて、いじめがもたらす社会的悪影響を、これまでに研究報告のあった統計データから見ることができる記事が紹介されていたので見ていくことにしよう。


10.将来仕事をするのが困難になる

 2013年のアメリカの調査によると、いじめられた経験のある人たちの将来的な離職率はそうでない人の2倍にのぼるという。当然のことながらこれは経済的問題に発展する。いじめを受けていた人は、子どもの頃の苦い経験に加え、経済的に困窮し暗い未来を過ごす可能性が高いということなのだ。


9.心の傷が精神に異常をきたす危険性

 子供のころのもっとも嫌だった記憶はどんなものだろうか。例えばみんなの前でおもらしをしてしまったこと、あるいは嫌な先生に意地悪なことを言われたこと。そのことを思い出すと、子供時代のすべてが嫌な記憶のように感じる。

 研究によると、いじめられた経験はその人の未来の精神状態にも影響するようだ。いじめられた経験がある人は、広場恐怖症や不安神経症になりやすく、いじめられた経験があり、なおかつ後いじめる側に回った人たちは、ひどい鬱やパニック障害に陥りやすいようである。15才までに経験したひどい記憶は、犠牲者の未来も暗くしてしまう。


8.いじめられっ子の犯罪率は上がる

 いじめがヒートアップして警察がらみになることはままあることだ。しかし、過去のいじめられっこが将来的に犯罪を犯す可能性も上がってくる。

 いくつかの研究によると、長期間いじめられたことがある人ほど、その犯罪率があがっているらしいのだ。いじめられた経験がある人の25%に逮捕経験があるということが分かった。

 子供時代は、社会性を学び世の中の仲間入りをするための勉強をする時期である。その貴重な時期に、打ちのめされ、排他的な扱いを受けたら、自然と社会への希望も無くなる。社会と切り離されたいじめられっこは怒りとみじめな気持を抱えながら、世間に出て、成人になってからその鬱憤を犯罪で晴らそうとする傾向は否めないようだ。


7.国全体の経済への影響.

 いじめの影響を受けたまま暮らさなくてはいけないのは、いじめられっ子だけではない。研究によると、いじめの問題とは我々全員に関わってくるようだ。若者のいじめや暴力の問題のために、米国では年に約16兆円以上の大金をつぎ込んでいる。これは子供の権利等のためにチャリティで寄付された金額を調べたものであり、実際の金額はもっと高額なのではといわれている。

 もしそれが本当なら、アメリカは毎年予算の2倍もの金額を、いじめ問題により失っていることになる。


6.性犯罪の増加

 子イリノイ大学アメリカ疾病予防管理センターの共同研究によると、子供の頃のいじめと、10代の性的暴力には関連性があるという。

 幼い頃、女の子の服を脱がしたり、体を触れるという嫌がらせをしていたいじめっ子は、後にそれが発展して、暴行などの性犯罪を犯す傾向にある。これは、自分たちの性的衝動をいじめに転化させているからだと言われている。特に男子は、自分たちが同性愛者になってしまうのではないかという恐れから、自分たちがきちんと女の子に興味を持っているということを証明すべく、女の子たちに性的いやがらせをするのだそうだ。


5.自殺率の増加

 いじめられた子供たちが自殺をしたという話はよく聞くが、その危険は大人になっても残っているという話はあまり知られていない。

 2007年のイギリスの研究によると、過去いじめを経験したことのある成人の自殺の傾向は、そうでない人の2倍であるという。

 この研究は老若関係なく7000人以上の人に行われた。特に子供のころ性的虐待を受けた人や、親に暴力を振るわれた人、家出の経験がある人などが集められた。いじめだけでも十分に成人になってからの自殺の原因になりうる。いじめられた、という記憶は心に根付くのだ。ちょっとしたいたずら気分でしたことや、からかったつもりの事が誰かの一生に関わっているのである。


4.関わった人全員に災いが及ぶ

 いじめっ子のみならず、いじめに加担した子もまた、つらい未来が待っていることが多い。いじめっ子は往々にして、危険行動をとったり、経済的困難な状態に陥ったりなど、成人してから様々な社会的問題にぶつかることが、これまでの研究で明らかとなっている。

 また、自分のかつてした悪行に気が付いたとしても、今度は良心の呵責にさいなまれることとなる。大人になり自分の子供がいじめを受ける場面に遭遇でもしたらなおさらだ。ちなみにいじめにまったく関わらなかった人と比べて、いじめに加担していた人の健康状態はあまり良くないという研究報告も出ている。いじめという行為そのものが関わった人を皆不幸にしていくのだ。


3.いじめに効く特効薬はいまだ存在しない

 ジャーナル・クリミノロジーが、いじめ撲滅キャンペーンをしている学校とそうでない学校195校から集めた7000人を対象に調査を行った。それによると、撲滅キャンペーンを行っている学校のほうが、いじめの問題で苦しんでいるという結果が出たそうだ。

 いじめ撲滅週間などの活動が、子供たちに、「いじめ」そのものや仲間はずれについて思い起こさせてしまうようである。しかし、決して絶望的ではない。現在いじめに関する力学をはっきりさせる優れたプログラムを開発中である。そのプログラムではぴったりの解決法が出ているという。しかし、まだまだこのプログラムに投資する人々が少ないので、本格的に動き出すまでには時間がかかりそうだ。


2.いじめっ子ほど人気がある

 UCLAの研究によると、クラスの人気者ほどいじめっ子であるという結果が出たそうだ。いじめっ子にはその場の状況をコントロールする支配力がある。このダークフォースに子供が魅力を感じてしまうのはいたしかたないことだ。

 この結果は、いじめ撲滅キャンペーンに関わる人々に衝撃を与えた。もしいじめっ子になることが、人気者になることとイコールだとしたら、皆がいじめっ子のそばに立ち、いじめの手伝いをしてしまうだろう。統計によると、1つのクラスで、誰にでも好かれている子供の数は約2%で、皆に軽蔑されている子供は約2%である。それ以外の子供たちは皆傍観者なのである。


1.いじめは自然の摂理の一部である

 人間社会のどの歴史にもいじめは存在した。動物の世界でもそれは存在する。たとえば霊長類にとっては非常に具体的な作用がある。チンパンジーや猿たちの中で集団になじめない個体は、ほかの皆を危険にさらす可能性があったり、集団全体の存続に関わる。故にいじめられる。

 しかし人類は今となっては、種の存続のために協力する必要や、集団に無理やり型をはめる必要がないほど繁栄している。それにも関わらず、いじめは残っている。いじめというのは、大昔から我々の中に残っている悪い性のようなものなのだろう。


via:listverse・原文翻訳:Yucaly