世間は新しい「言葉」をつくり「問題だ」としてバッシングする

いまから15年前、ひとつの言葉が生まれました。


パラサイト・シングル


パラサイトとは「寄生」の意味。

シングルとは「独身」


すなわち、


「成人しても親に寄生虫のごとく離れずにいる独身者」


ということ。



この言葉は、その当時流行っていた小説「パラサイト・イヴ」のパラサイトから、社会学者の山田昌弘博士がつくった造語であるそうな。


この言葉は、現在の「ニート」のごとく、大いに流行った。

当時のバッシングを要約すると以下のような感じである。


「最近の若いものは、親に寄生して甘えている!」

「家事を母親に負担させて、自分はブランド商品などを買いまくって許せん!」

「成人して親と別居しないというのは、欧米では考えられない、日本独特のパターンだからダメだ!」

「親と同居する未婚者が1000万人いるのは問題だ!」

パラサイト・シングルがいると少子高齢化が進んで日本は崩壊する!」



などなど。

これは現在、二ートやひきこもりに関して言われていることと、あまり差がないのです。


つまり、新しい「言葉」をつくり、それを「問題だ」としてバッシングするということ。


そして、その言葉にコーフンしたマジメな人たちが怒るのな。(笑)


どうもね。


社会というものは、そういった伝統があるみたいなんですよ。


ガリ勉。


新人類。


オタク。


フリーター。


不登校


ひきこもり。


ニート


これらの「言葉」は、その当時に作られ、それぞれに「問題」とされたことです。


15年前は「パラサイト・シングル」でありました。


15年前、さんざんにバッシングを受けた「パラサイト・シングル」なんて最近あまり問題化されない。


今になって思えば、親と同居する若者がそんなに悪者なのか? 


って思ってしまいます。


多分、成人したとたん親元から離れる若者が急増したら、それはそれで問題になると思う。


「昔の若者は、いつまでも親と一緒に居て、親孝行をしたもんだ」


なんてね。(笑)


本当に問題なのはね。


新しい言葉じゃないと思っているんですよ。


本当に問題なのはね、「言葉」じゃなくて


「本当に困っている人、苦しんでいる人」がいるというところだと思うんです。


新しい言葉で苦しんでいる人を バッシングするよりも、一番大切なのは、苦しんでいる人、困っている人に手を差し伸べる行動だと思うんですよ。



不登校・ひきこもり・ニートを考える FHN放送局』
巨椋修(おぐらおさむ)