自己破壊と再建・自分に都合よく生きよ
「供給はそれ自身の需要を創造する」
― ジャンバティスト・セイ ― (18世紀 フランスの経済学者)
※ジャン・バティスト・セイ(Jean-Baptiste Say、1767年1月5日〜1832年11月15日)。フランスの経済学者、実業家。
えっとですね。
これは『セイの法則』といいまして、これを分かりやすく言うと
「商品(供給)は、それ自身がお客さん(需要)を作るから全部売れるねん」
え? わかりにくい? ではもっと噛み砕いて
「市場に出した商品は、全部売れる。需要がその分だけあるから」
これは、18〜19世紀を席巻し経済学の考え方。
これは、この時代それくらいそれくらい“供給”がなかったから、通用した理論と言えます。
これを21世紀ニッポンの失業問題、あいやニート問題に当てはめると
「求職者は全部、就職できる。求人する会社がそれだけあるから」
と、なります。
はい、その法則が通用しないのが21世紀ニッポンのニート問題。
いな、いな、これは21世紀ニッポンだけに通用しなかったわけじゃない。
20世紀の世界に通用しなかった。
これは、ジャンバティスト・セイがダメ経済学者だったわけじゃないんです。
文字通り『時代が変わった』のです。
それが切実となったのは、1929年に起こった“世界大恐慌”
世の中に失業者が溢れに溢れた。
現代日本の失業率5%なんてチョロイチョロイ。
アメリカでは、失業率が25%
ドイツなんて30%になった。
生産過剰で需要が追いつかないのです。
求職者が多くて、仕事がないのです。
で……、どうなったか?
ドイツでは、無謀とも思える公共事業を行った。
強引に“仕事”を作った。
アウトバーンを作った。
戦車や飛行機工場を作った。
すると、失業者に仕事ができた。
仕事があれば給料が入る。
消費が生まれた。
失業率は4〜3%になった。
ドイツ以外の国ではどうであったか?
行き詰まった経済の結果、第二次世界大戦が起こった。
そして結果的に第二次世界大戦という大戦争が、大恐慌を治める結果になった。
軍需が、失業者に仕事を与えたのです。
しかし、それと同時に戦争という悲劇が世界を襲いました。
そして現在……
少なくとも現在日本において……
かつて、セイの法則と言われた「供給はそれ自身の需要を創造する」
という理論が通用しなくなったように、
「公共事業を強引にやったら失業者(例えばニート)がなくなる」
というわけではない。
17〜18世紀、イギリスの作家、マンデヴィルはこう言った。
「個人の悪徳は公共の美徳である」
という時代に戻ったのかも知れません。
いな、いな、元々人という生き物は、そういう生き物なのかも知れません。
そもそも、“悪徳・美徳”とは何か?
それは『自分のご都合次第である』
あるいは『他人のご都合次第である』
自分の都合がいいように生きよ。
同時に他人にも都合のいいように生きよ。
と、いうことなのかも知れません。
それがなかなか上手くはいきませんな。
だったら『自分の都合がいいようにやる』
でいいじゃないでしょうかね。
『自分に都合よくするためには、他人にも都合よくしないと上手くいかない』
てなもんですね。
それがダメなら、自分の中で、小さな戦争を起して、何かを破壊するしかない。
社会的な戦争じゃなくてね。
個人的な、内的な自己破壊と再建ですかね。