バッシングだけでは事態はいい方向には行きません

人気芸人の親が生活保護を受けているということで、一時すごい話題になりました。

そのあと、大阪心斎橋通り魔事件が起こりました。


心斎橋通り魔事件では、大阪府松井一郎知事が「死にたいなら自分で死ね」という発言をしました。


それでちょっと考えました。


生活保護問題においては、確かに不公平感があります。


生活保護を受けている人と、年金生活者とでは、たんに受給額だけではなく、医療費やその他税金を払わなくていいから生活保護受給者のほうがはるかに多い場合が多くあるのです。


これでは、マジメに年金を払っている人が怒るのは当然!


年金や税金を払っている人もバカらしくなるのも当然!

不正受給を受けている人が悪いのも当然なのですが、同時にこれは明らかに国家や行政のミスリードでもあります。


実は、年金を受け取っていても、アルバイトや契約社員等で働いていても、収入の基準額以下であれば、生活保護を受ける資格になり、差額が支給されます。


だから「年金や働いているのに、生活保護のほうが高いといのはおかしい」と思うのは、ただシステムを知らないだけで、間違っているといえます。


よく生活保護を申請しても断られると思われていますが、本当は役所窓口にその権限はありません。にもかかわらず窓口で断られたり、あるいは生活保護を受ける資格があるのに、受けていない人が8割もいます。


経済大国である日本ですが、生活保護利用率が先進国でも最低レベルであり、先進国であるにもかかわらず、いかにこの国が生活困窮者に冷たいのかが残念ながら、世界的に知られています。



(参照 引用:http://president.jp/articles/-/7495


(引用:http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf



心斎橋通り魔事件では、犯人はつい最近まで刑務所にいた人です。

犯人は小学校時代に母親を病気で亡くし、中学時代に非行に走ります。

高校には行かず、暴走族に入っているうちに父親も死亡し、やがてドラッグに手を出すようになり、刑務所に。

刑務所が出たときに所持金が20万円しかなく、仕事も家もなかったため絶望し自殺を考えますが死に切れず……


「だったら死刑になりたい」


と、通り魔事件を起こし、かけがえの無い命を暴力で奪ってしまいました。


わたしはこの犯人をかばう気持ちにはなれません。


しかし、一方で日本の受刑者総数は約7万人いるといわれています。


そのうち約3万人が新受刑者だそうです。


ちなみに犯罪を行い警察に捕まり、検察に送られる人は年間230万人もいます。



刑務所の新受刑者は年間3万。

検察に送られる人230万人。

すると、刑務所に送られる人は、相当なワルということになります。

あるいは、犯罪のエリート層なのか・・・


しかしよく調べてみると、受刑者の4人に1人は、知的障害者


受刑者の約7割が中卒。


再入所者は半数以上。


再犯者の7割は無職であったこと。


などがわかっています。



つまり、


中卒であるために、なかなか職が見つからない。


知的障害のために職がみつからない。続かない。

 
職がないから犯罪に走る。




というというパターンが非常に多いということでもあります。


刑務所の受刑者で多いのが窃盗(どろぼうや万引き)

ついで覚せい剤


これが過半数を占めます。

つまり、刑務所に行く人で、知的犯罪をしていく人は少なく、仕事がない、働けない、働らかない。という人が多いこと。


そして現実逃避としての覚せい剤や薬物犯がとても多いのです。


この現実は、実のところ『不登校・ひきこもり・ニート』の人たちと、実に近いところにあります。

学校に仕事場に行けない・行きたくない・いかないとか

違法ドラッグとまでは行かないにしても、アルコールや睡眠薬などで【寝逃げ】してしまう人などは、ある意味近いといってもいいかも知れません。



刑務所が、知的障害者や、仕事がみつからない・働けない人たちといった【弱者切捨て】の場となってしまっていることも多いことでしょう。


生活保護もまた、不正受給は別にして【弱者切捨て】の場になっているかも知れません。


しかし切り捨てられては困る!


本人にも良くないし、家族もつらい! そして切り捨てた国家行政にとっても得になることはありません。


「やつらはダメだから切り捨てる」

ではなく、もっと働けるチャンスを!

そのためには、雇用を増やしてもらうというのと同時に、生活保護者、受刑者、不登校・ひきこもり・ニートといった、ちょっと外れてしまった人たちが、働きやすいように【職業訓練システム】などを、考えていただきたい!


いま、政治も世間の目もその反対に「生活保護を渡すな!」とか「自殺したい人は勝手に自殺しろ!」という風潮になってきているように思うのです。


むしろ「生活保護でもいいですよ、でもできる範囲で働けるように援助しましょう」

「学校を出て無くても、働けるようにお手伝いしましょう」


っていうのが本道だと思うのです。


バッシングしているだけでは、事態は決していい方向には行きませんからね。


FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)