親がクズだとアパートも借りらんねーんだよね
「巨椋さん知ってる? 親がクズだとアパートも借りらんねーんだよね」
と、その女の子はいったのです。
女の子といっても、もう20代の後半です。わたしは10代の頃から知っている子で、昔は不登校、そしてひきこもりとなりニート。
いまはちゃんと働いている女性です。
子どもの頃から、暴力をふるう父親を持ち、母親は殴られている娘を見ながらオロオロすることしかできないような人だったそうな。
そしていまでも、何か気に入らないことがあると、父親が馬乗りになって拳で殴られることもあるそうです。
彼女は、何とか通信制の高校を卒業し、通信制の大学に入り、ときどきアルバイトをしましたが、人間関係がうまくいかず必ずトラブルとなり、バイトを続けることができませんでした。
それでも何とか貯金をして、アパートの礼金・敷金などを払えるくらいの貯金ができたとき、例えお金があっても独立できない事実を知ります。
不動産屋にいって契約しようとしても、必ず「連帯保証人」が必要であり、その連帯保証人はよほどのことがない限り親とされ「親が連帯保証人にならないと契約しないという現実」にぶち当たることになります。
そこでこの女性は、独立を断念。
その後、幸い続けることができるアルバイトを見ることができたため、いま毎日に働いています。
ただ、20歳を超えた頃に、父親は不景気によりリストラ。
いま、父親を食べさせているのは彼女と母親のパートだそうです。
彼女が独立を断念したのは、父親が彼女の“ヒモ化”していて絶対にアパートを借りるための連帯保証人になってくれないから。
この現状を見て、「家族って助け合っていくものですから、いいご家族ですね」という人もいるそうですが、わたしには何もいえません。
いい家族であれば、助け合うこともできるでしょうけど、運悪くそうでなければ足を引っ張り合うことも普通にある。
場合によっては家族が「法律で保証されたストーカー」化することもある。
『不登校・ひきこもり・ニート』について関わっていると、そんな例はとてもたくさんある現実だったりします。
FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)