抑制の逆説効果


心理学に『抑制の逆説効果』という言葉あるそうです。


NHKの【ためしてガッテン】という番組HPより

『誰も教えてくれなかった!高所恐怖症のナゾ』

というのにおもしろい実験が出ています。


以下、『ためしてガッテン』のHPより引用




1. シロクマを思い浮かべてください。


2. 次に、シロクマを思い浮かべないでください。



しかし、ゲストの3人は「思い浮かべないようにするのは無理!」という答えでした。


シロクマを考えないようにするには、シロクマが頭の中に入ってきていないことを常に確認し続ける必要があるため、逆にシロクマを浮かび上がらせる結果になってしまうのです。


高いところめぐりツアーに参加した3人の女性たちも、「怖くない!大丈夫!」というおまじないを唱えていました。


高所恐怖症の人たちの頭の中では、これだけではなくもっとすごいことが起きていました。


「怖い」という感情がふくらむと、足がすくんだり、鼓動が高まったりという身体反応が出ます。


それらが脳にフィードバックされ、「やっぱり怖いんだ」と怖さが増幅されてしまうのです。



これを『抑制の逆説効果』というらしいんですけどね。


これを、『不登校・ひきこもり・ニート』に置き換えてみると、非常におもしろいことになります。



つまり、『不登校の方がいいんだ。ひきこもりは素晴らしい。ニートでも大丈夫』と言い続けるということは、不安を増幅しているという結果になるということですね。(笑)



では、どうすれば、その恐怖から逃れられるかというと『ためしてガッテン』の実験によるとですね。



ヘビ恐怖症のディレクターが自ら実験。


ヘビの写真を見続けると、恐怖の度合いを示す発汗量はいったん上がったものの、約10分で正常並みになりました。


ヘビの写真を10分見ていただけで、なぜか恐怖の度合いが下がったのです。


実は、恐怖はいつまでも続くのではなく、ある一定の時間を過ぎると下がり始めます。


その場に居続ければ、いずれその状況でも大丈夫だという体験ができるのです。


これを番組では「OK体験」と名づけました。


専門家によると、もともと「恐怖」は緊急事態に対する反応なので、エネルギーがそう長くは続かないといいます。


本当に危険な場合であれば、いつまでも怖がっていられますが、そうでなければ、遅くとも15分くらいで恐怖の反応は下がり始めるといいます。


と、いうことらしいんですよ。



番組では、高所恐怖症の人に、高さ142メートルのつり橋を歩いてもらって、怖くて足が竦んでしまう場所で10分間、耐えてもらう。


すると、その状況に慣れてきて、自分がこの場所にいても大丈夫なんだ。ここは安全なんだと、恐怖心がなくなってくる。


恐怖心がなくなってきたら、また前に進んで、怖くて足が竦むところまで進む。そこで10分ほど、またガマンしてもらう。


これを繰り返していくうち、番組に出ていた高所恐怖症の人は全員、つり橋の真ん中まで行けたというものでした。




さて、これを『不登校・ひきこもり・ニート』に置き換えてみますとね。


自分が安心できる場所や行動を、少しずつ増やしていくということです。


例えば、対人関係が苦手な人だったら、安心できる人たちのいる場所に出ていってみる。


最初は、恥ずかしいかも知れないし、緊張するかもしれない。話しもうまく出来ないかもしれないけれど、慣れるまでちょっとガマンしてみる。


高所恐怖症の実験みたいに10分で……というわけには、いかないだろうけど、数ヶ月、半年、一年くらいに長い目でみて、少しずつ少しずつ、自分の居られる場所や行動を増やしていくというのが、いいのでしょうね。


番組によると、慣れるポイントがあって



・心を閉じない:


怖くないと言い聞かせたり、他のことに熱中したりしていると、OK体験は訪れません。実際に恐怖を体験することがとても大切です。


·恐怖にのみこまれない:


頭の中が恐怖でいっぱいになってしまってもOK体験は訪れません。ある程度の冷静さを保てるレベルの高さや場所を選んでみてください。

と、いうことらしいんです。




これを応用すると、『不登校の方が素晴らしいんだ』とか『ニートでも大丈夫なんだ』なんて言って、誤魔化して逃げ回っているのは、逆効果だから自分の状況を素直に受け入れる。
でも、急に無理をしようとしないで、自分ができる範囲の、小さな目標をたてる。
それをやり遂げる。



ということになりますね。



FHN放送局
巨椋修(おぐらおさむ)